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17 貴族の闇

 その夜はニ人と軽いキスしてから眠った。暴走しちゃいそうだしね。

 パパとママがプロレスごっこをやっている姿をユリナ)に目撃されてしまう事態は避けたい。


 大量に発散できたとはいえ、色々思い出してその夜もあまり寝られなかった。これが若さなのである。


 翌朝、僕はドルフィノ行きの準備の最終確認をしていた。


 今朝、岡さん、伊澤さんと名字で呼んだら「名前と呼んで」と修正を求められた。

 名前で呼ぶのは恥ずかしいものがあるね。まあ、そのうち慣れるだろう。


 話逸れたが、芽衣子と渚に調味料の追加分も渡したし、お金もそこそこ渡しておいた。


 二人が沢山作ってくれた日本の味の料理もアイテムボックスに入れたし完璧。


 エルフの姉妹は特に気にしなくていいかな? 一応しばらく留守にするのを芽衣子たちに伝えてもらうか。


 エルメスさんは……行けば絶対何かありそうだから行くのはやめよう。


 アイテムボックスがあるから忘れ物なんて無いけど何度も確認して全員で宿を出た。


 ディンさんの叔母さんの屋敷に向かい、僕とユリナは竜車に乗り込んだ。

 最初は笑顔で走り去る竜車に手を振っていた二人だけど、途中から寂しそうにして最後は泣いていた。そんな二人を見てると胸がと締め付けられるようだった。


「あの子たちは連れて行かなくて良かったの?」

 話しかけてきたのはディンさんの叔母さんのアリーナさん。


「ニ人は教会での仕事ありますしね。それに二人は戦えるスキル持ってません」


「そう。その子はどうして連れてきたの?」

「いや、ユリナを置いていくなんて事は出来ないでしょう。常識的に考えて」


「何の常識かしら」

 オホホと口元を扇子みたいなので隠して笑う姿は流石貴婦人って感じだ。


 高貴な感じだけど割と話しやすい人で助かったよ。僕は基本コミュ障だしね。


 竜車はヨルネットを抜け、しばらく走ると知ってる道に出た。ここは以前僕を拉致した奴隷の馬車が走ってた道だ。


 あいつらは僕を北の方に連れて行くつもりだったんだね。ボロ雑巾になった連中はあれからどうなったんだろ? どうでもいいか。


 竜車は速い。多分馬車の三倍はスピードが出ている。ちなみに赤くは無い。

 竜車は竜と言ってもドラゴンみたいな感じじゃなくてサイみたいな感じ。

 ぶっちゃけ怖すぎて近づけない。馭者の人がテイムしてるらしい。


 テイムってやっぱ使えるんだね。モリモリはテイムのスキル取って正解だった。


 ただ、こんな大きい魔物をテイムしたとして、世話できる場所が無いと意味ないよね。ままならないものだ。


 竜車は僕たちが乗ってるのと、前と後ろに護衛の竜車も走っている。護衛の竜車は装甲車みたいな感じでとてもカッコイイ。男心にビビってきてしまう。


 移動中暇だったからボックス内クラフトで護衛の馬車を真似て作り、ほぼ完全再現した。

 ただし、僕が作った竜車の方が防御力は高いぞ。ミスリルもふんだんに使っているしね。


 ちなみに護衛でディンさんたちが来てたりはしない。


 護衛の人たちはガチでその筋のプロの人達だった。

 スキが全く無いし、みんな大男で筋肉もりもりだ。羨ましすぎる。


 野営地では僕がアイテムボックスから出した旅用の家や料理が好評でアリーナさんに大変喜ばれた。野営地でベッドで寝られてお風呂入れるのはいいよね。頑丈な作りの家なので防犯効果も高い。僕たちも安心して眠れた。見張り番の護衛の人たちごめんなさい。


 ユリナはやっとアリーナさんに慣れたので、普通に話すようになった。

 今は「おばーちゃん」とか呼んで懐いている。アリーナさんも満更でもなさそうだ。子供の癒やしパワー凄いです。ユリナ取られて寂しくなんてないんだからね。


 ただ、ユリナがアリーナさんに甘える度に同乗してる執事のおじさんが僕をキッと睨むの止めて欲しい。

 子供のすることなので多目に見てあげてください。保護者責任? 僕だって子供なんですよ。見た目は。


 途中いくつかの街や野営地を抜け、魔物が多いと言われる地域に差し掛かった。

 基本的に魔物を相手にせず走り抜ける。いちいち相手してられないし。


 たまに囲まれたりするので、その時は護衛の人達が一狩りする。カッコイイ。あんな戦い方してみたかった。


「確かに魔物多いですね。しかも足が結構速い」

「護衛の者に任せておけば心配ないわ。元ドルフィノの騎士ですもの」


「あ、噂に聞く一騎当千の騎士ですか! かっこいいなぁ」

「そんな可愛い見た目でもやはり男の子なのね」

 オホホと笑う姿を真似して、ユリナまでオホホするの後で止めさせよう。可愛くない。


 護衛のおかけで危うげなく進み、夕方に差し掛かった頃、緩やかなカーブの先で竜車が数台停車していた。

 その竜車の護衛の人たちは何とか竜車を魔物から守っているようだ。


 それを見た前を走っている護衛の竜車が下がり、横付けして話しかけてきた。

「閣下どうします? 助太刀しますか?」

「ええ、そうして」


 それを聞いて護衛の人達は素早く駆けつけ魔物をあっという間に片付けた。


 うーん、テンプレに参加出来なかった。

 まぁそもそも参加させて貰えないよね。見た目子供だし。


「閣下と呼ばれてましたが、もしかしてお貴族様なのですか?」

「どうだったかしら。気にしなくいいのよ」


 アリーナさんにベタベタするのは少しユリナに自重して貰った方がいいかな? 急に怖気づいてしまう僕だった。



 現場に着くと護衛の人達が僕たちが乗ってる竜車を取り囲み護衛体勢に入った。


 停車していた竜車から護衛に囲まれて、立派なカイゼル髭を生やした男性と執事が降りてきてこちらに近づいてくる。お礼にくるのかな?


 アリーナさんはその人を確認すると「あら、私も出るわ」と言って執事さんと護衛を連れて出ていってしまった。


 残されたのは僕とユリナとメイドの人一名。


 ここぞとばかりにメイドの人は僕を撫でまくった。やめて下さい僕はこう見えて、もう一家の主なんですよ……。あ、そこ気持ちいいかも。


 窓から見ると何かを話しているようだ。貴族同士っぽい挨拶してるし、向こうも貴族なのだろう。

 僕は貴族と関わりたくないし、全力でスルーしよう。


「あの方はハイドマン伯爵様ですわ」

 メイドさんが僕を膝に載せ、なでなでしながら言った。

「対等に会話してる辺り、アリーナさんも同格の貴族様なのですか?」


「奥様が話したくないようでしたので、内緒です」

「さいですか」


 見てるのも飽きたので、ボックス内クラフトをしているとメイドの人がサッと僕を膝から下ろして下がった。

 どうしたの? もっと撫でていいんだよ? と思っていると、執事さんが竜車のドアを開け、アリーナさんが話しかけてきた。


「エリオくんに協力してほしいことがあるのよ」

「なんでしょう? 僕が出て行って大丈夫ですか? 貴族様への挨拶の仕方とかマナーとか分かりませんよ?」


「問題ないわ、来てちょうだい」

「は……はい」


 アリーナさんのお尻に隠れるように歩いていくと、ハイドマン伯爵と目が合ってしまった。

 普段の僕なら即目を反らすのだけど、貴族様にそんなことしたらやばそうなので、お辞儀をしておいた。


「この子ならば直せると思うの」

「そちら少女がですか?」


 あれ? 会話を聞く限りアリーナさんの方が格上ぽいぞ。

 ユリナには自重してもらおう。あと僕は男だし。


「はじめまして、エリオと言います。ちなみに男です」

「この子は凄いの。うちの竜車の車軸も直してくれたし伯爵の竜車も直せるはずよ」


 そう、ここに来るまでに一度護衛の竜車の車軸が壊れたんだ。

 だから僕がアイテムボックスに入れ、車軸をアイアンゴーレムの素材で作り直してセットした。


「見てみないとわかりませんが、多分可能かと」

「ふむ……。では、お願いできるか?」


 ハイドマン伯爵の竜車へと案内され、見てみると車軸と言うか、車輪もメチャクチャになってた。しかもニ台。


「いったいどうしたらこんな事態に?」

「突然現れた魔物に押される形で岩にぶつかってしまったのだ。流石にこれではどうにもなるまい?」

 ハイドマン伯爵はどうしたものかと、ため息をついていた。


「いえ、問題ないです。アイテムボックスに入れるので、竜車に人が乗っているならば降りていただけますか?」


 それを聞いて、執事の人が中にいる人に降りる様に言いに行った。

 メイドさんニ人に挟まれ降りてきたのは、the貴族令嬢って感じの少女だった。


 スカートをちょこんと詰まみ挨拶する姿は少女なのに堂に入っいてる。しかもメチャクチャ可愛いぞ。


「三女のエリナだ。可愛いからと言って、手を出すでないぞ」

「そんな恐ろしいことしませんよ」


「ふむ。くれぐれも変な気を起こさないように」


 親バカすぎる。こういう親だと娘は苦労するんだよね。


 返事も面倒になったので無言でボックスに収納!


 CADの3D製図画面を見るように回転させて全体を確認していく。


 ちなみにボックス内は重力を無くす設定にもできるので、中の物が落ちる心配はない。

何でCADとかを知ってるかと言うと、職業体験教室で見たから。僕はそういう職に就きたかったんだよね。


 曲がってしまった車軸と破損した車輪を新たに作り出し、本体にセット、ついでに細かい部分の破損箇所を修正した。


「はい、できました」

「なに!? アイテムボックスに入れただけではないか」


「出しますので、お下がり下さい」


 僕が竜車を出すと、伯爵様は口をあんぐり開けていた。僕もちょっとドヤ顔。


「そっちの竜車も直しますね」


 同じ様に壊れた竜車を直して戻ろうとすると伯爵様に止められた。


「なんと、これほどの腕前の錬金術師だったとは。先程は侮った態度で失礼した。感謝する」

「いえ、錬金術師というわけでは……」


 そんなやり取りをしていると、竜車の確認をしていた執事さんが近づいてきた。


「旦那様少々よろしいですか? こちらへ」

「なんだ?」


 伯爵を連れて竜車の所に行ってしまった。あれ? もしかしてクレーム案件かな?


 残った僕は、娘のエリナさんと対面している。

 トコトコと歩いてきたエリナさんは僕を抱きしめ「可愛いですわ! (わたくし)の御付きにしたい!」と言った。

 胸部装甲は薄いけど、とてもいい香りがします。これが上流階級の香りなんですね。


 だが、気づいてしまった。鬼のような顔してこっちを見る伯爵の姿に。


「護衛の者! 奴を斬れ!」


 ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……ちょっと待って下さい! と、思ったけど、誰も動かない。


「お父様、いい加減にして下さいまし」

「だが!」


「この子は(わたくし)に手を出していませんわ。(わたくし)が手を出しているのです」

「ふぬぬぬぬ!」

 この人にそんな理屈は通らないようだ。


 エリナさんは仕方なくという感じで、名残惜しそうに手を離して僕は開放された。


「伯爵は相変わらずなのね。でもうちの子の手を上げたら、こちらもただでは済ませられなくなるわ」

 アリーナさんがそう言うと、伯爵は顔を青くしてして引き下がった。


「うむ。失礼した。それで竜車なのだが、所々にミスリルが使われておるのは何故だ?」


「補強ですよ。素材は僕が倒したミスリルゴーレムだから、お金かかってないので気にしないで下さい」


「ミスリルゴーレム……だと?」

 伯爵はアリーナさんを見て「何なのこいつ?」って顔をしていた。


「言ったであろう。エリオくんは凄いのよ」

「は……はぁ」



 その後、伯爵の竜車と共に魔物だらけの地域を抜け、ドルフィノはすぐ目の前に迫っていた。


「あれがドルフィノよ」


 竜車の窓から見える景色は、まるでギリシャの街並みのようだった。

 お城もある。あそこの王様がいるのだろう。


「うわぁぁ、綺麗な街並みですね! 海が見える」

「あれがうみー? すごーい大きい!」

 ユリナも初めて見る海に大興奮してる。


「でも、街に外壁なくて大丈夫なんですか?」

「もう少ししたら見えてくるわ。それを見ればわかるわよ」


「え?」


 街に近いせいか、魔物は全然居ないので竜車は更にスピードを上げた。ラストスパートだね。


 グルっと回るように街並みを過ぎていくと、大きな木が見えてきた。


「あれは神樹?」

「ハイエルフのあなたには馴染み深いでしょうね」


 確かに僕が追い出された里にもあんな感じの木があった。(エリオ)が放尿プレイしてしまった木だ。

 あれって、よくある設定みたいにエルフだけモノのじゃなかったんだね。


「神樹の効果で魔物は近づけないということですか。でも、人間までは防げなかったのですね」

「ヒイロ帝国のことかしら? 街に被害は出なかったと聞いているわよ」


「それなら良かったです。ここには僕の知り合いも住んでると思われるので」

「そう。会いに行くのは荷物を出してからにしてちょうだいね」


「はい。わかってます」


 街並みを更に進んでいくと、大きなお屋敷が見えてくる。


 その手前で伯爵たちとは別れた。

 屋敷に招待したいと言われたけど、怖いので丁重に断ったよ。

 でも、アリーナさんが居なかったら断り切れなかったと思う。貴族怖い。


 屋敷に到着すると、執事さんが門に行き、到着を伝えた。すると大きな門が開き、森林公園かよってぐらい広い庭を進んでいく。


 屋敷には大勢の使用人たちが並んでい、僕とユリナはあまりの場違い感に固まったいた。


 豪華な客間に通され、しばらく接待され続けたが、居心地悪くて仕方ない。早く荷物置いて脱出したい。


「すみませーん、荷物出したいのですが、どうしたら?」

 馬車に乗ってた人とは違う執事さんに質問するが「お待ち下さい」としか言われなくて日和った。

 そして、ユリナがお出された菓子を食べ尽くした頃、やっとアリーナさんがきた。後ろには凄い美人さんがいる。


「おまたせしてごめんね」

「いえ、荷物はどうしましょう」


「そんなに焦らないで。まずは紹介するわ。ディンの妹のカリンよ」

「あ、エリオです。ディンさんにはいつもお世話になってます」


「兄からの手紙読んでどんな子が来るかと思ったら想像以上ね! 可愛い!」

 カリンさんは走ってくると僕とユリナを抱きついた。


「カリン、はしたないことしないの」


「すみません叔母様。こんな可愛い子を目にしたら我慢できませんわ」


 その後もみんなで歓談してたけど、正直僕は帰りたくて仕方なかった。貴族関係ぽいし関わり合いたくない。


「叔母様! わたしは彼が気に入ったわ。兄の提案を受けたいです」

「おらそう? でも、エリオくん次第ね」


「何のことでしょう?」

「兄がね、エリオ君を私の婿にするのを提案してきたの」


 ブフーーーってお菓子を吹き出してしまう。鼻の方に入ってしまった。ちょっ……タイム!


「お兄ちゃん大丈夫?」

 むせる僕をユリナが心配して顔を覗き込んでくる。やばいかも。


 よし少し落ち着いた。


「いきなり過ぎて状況が飲み込めません。どういう事ですか?」

「色々事情があってカリンは家を出るしか無いの。身を寄せる候補の一つがエリオくんだったわけ」


「なるほど……。やんごとなきお方のお家事情というわけですか。ですが、すみません。僕にはヨルバンに残してきた、よ……嫁がいますので」

 嫁って言ってしまったぁ。なんか凄い大人になった気分だ。


「第二婦人でも構わないわ」


「ニ人居ますので……」

「ユリナもお嫁さんだよ!」


「さ、三人居ますので……(予定)」


「まさかそなた、このような幼子に……」

 アリーナさんはドン引きしている。


「いや、そこは空気読んで下さい。この子が大きくなって、それでも心が変わらなければの話です」

「絶対なるもん!」

「全然構わないわ。第四でも第五でも。私は魅力ないかしら?」


「いえ、ありまくりですよ。ですが、本当に申し訳ありません。お断りするしかないです」


 カリンさんは凄く残念そうな顔をしていたけど、僕にはどうすることもできないよ。ド平民の僕は貴族社会の事情に関わりたくない。


 その後もしばらく説得されたが、のらりくらりと断り続けて疲れてしまった。

 屋敷で昼食をいただいた後、屋敷の裏の倉庫にアリーナさんの家の調度品や荷物を出した。ふぅ、これでスッキリ。


 アリーナさんから屋敷と土地の権利書をもらい。これでやっと仕事は終わった。それでは、これにておさらば! とは行かず、今日は屋敷に泊まることになった。


 そして今僕は何度目かのピンチだ。

 僕が寝ている右側にユリナ、左側にはカリンさんがいる。


 しかもカリンさんは裸だ。

 違う! 僕は無実だ。寝室を訪ねてきたカリンさんが素早くガウンを脱ぐとベッドに潜り込んできたのだ。


「あの……これはいったい?」

「夜這いにきちゃった」


「ご覧の通り、それは不可能ですので、お帰り願えますか?」

 カリンさんは寝てるユリナをチラッと見る。

「でも肌を見られちゃったし、もうエリオさんの所にしかお嫁にいけません」


「いや、ホント勘弁して下さい」

「酷いです。女に恥かかせて……」


 ついにカリンさんは泣き出してしまった。


 これか! これが伝説の「涙は女の武器」ってやつか。伝説の武器をこの目で見る日が来ようとは。


 だが、僕はもう流されない! そう決めたんだ。


「すみません。お断りするしかないです」

「……じゃあ、せめて私の初めてだけでも貰って欲しいの」


「はい?」

「このままだとブタ侯爵に嫁がないとだから」


 おっとぉ、キナ臭い話が出てきたぞ。巻き込まないで欲しい。


「お願い……。お願い……」


 カリンさんは僕に抱きつき、首筋にチュッチュッてし始めた。

 ゾクゾクする。ヤツも元気になってしまった。


「あわわ……わ、わかりましたよ、婚約みたいな形でいいですか? 期限は未定の」

「ほんとですか!? 嬉しいです」


 しばらく首筋をチュッチュッして、口にもチュッとして満足したのかカリンさんは帰って行った。結局また流されてしまったな。


 そしてこれが伝説パートⅡ、ハニトラってやつね。


 カリンさんから侯爵とか不穏なワードも出たし、とんでもない事に巻き込まれた気がする。


 もういいや。寝る。おやすみ!


 翌朝ニコニコしてるカリンさんとアリーナさん見て、してやられた感が凄い。貴族は怖いって痛感したよ。


 婚約の詳しい話を進めようとしてたけど、それはまた今度! と告げ、朝食も摂らずにユリナを抱え僕は逃げるように屋敷から出た。

 そしてユリナを抱えたまま海に向かってひた走る。


 綺麗な街並みと海には癒やされるけど、疲れたよホント……。

 ふぅ……とため息をつく。


「お兄ちゃん疲れてる?」

「もう大丈夫! せっかくドルフィノまで来たんだから楽しもう」

「うん!」


「まずはごはん食べにいこうか」

「うん。お腹減った」


 しかし綺麗に街だなぁ……。ドルフィノに住みたいかも。


 でも、ヨルバンに屋敷ゲットしちゃったしね。


 街を見下ろす坂を、ユリナと手繋いでを歩いていると、見慣れた制服の女の子と出会った。


 水野さん。


 僕の初恋の人だ。

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