15 拠点
こんばんは。エリオこと矢吹光一です。
今、圧倒的万能感に包まれています。
レベルはなんと355まで上がりました。
ミスリルゴーレムの経験値が凄かったのではないかと思われます。
■■機能■■
容量=∞
時間停止
ボックス内鑑定
ボックス内パーティション作成
ボックス内分離≒結合
ボックス内熟成
ボックス内温度管理
ボックス内複製
範囲収納+制限解除済
ボックス内クラフト+制限解除済
範囲クラフト
範囲鑑定
■■■■■■
容量はついに無限になったようです。
範囲収納の制限が解かれました。目についたもの全て盗めるということです。やばいですね★
範囲鑑定は、目にしたものを何でも鑑定できるようです。まぁ、僕は鑑定なんて使ったことほぼ無いんですけどね。
ボックス内クラフトの制限も解かれました。あまり実感できませんが、要するに何でも作れる様になったという事でしょう。
範囲クラフトとは、アイテムボックスに入れなくてもクラフトできるみたいです。もうアイテムボックス要素皆無な気がします。
急激なレベルアップ気絶を利用して昨晩は寝ましたが、夜中に目を覚ましたみたいです。
中途半端に眠いので二度寝しますね。おやすみなさい。
◇◆◇◆
翌朝、僕の腕の中で寝ているユリナの頭をなでなしながら今後の事を考えていた。
ずっと宿ぐらしなのもなんとなく不安なので、拠点が欲しい。家はローンで買えるのかな?
岡さんと伊澤さんが来てくれたから、料理はしてもらえるし、食事についてはクリアできそう。でも、掃除とかしてくれる人を雇わないといけないか?
それと僕が日中出かけている間にユリナの面倒見てくれる人を見つけたい。募集をかければ来てくれるのだろうか。……奴隷商に行くか?
岡さん達のことはどうするべきだろう。
妙な関係になってしまったよね。
二人は普通に可愛いけど、つい数日前まで面識が無かった人だ。
流されるまま本当にお嫁さんになってもらっていいのだろうか。
モリモリの事も心配だ。なんとか連絡とれないかな。
もし、モリモリが何処かの冒険者ギルドにたどり着いて登録したと仮定するならば、登録者照会的な事を冒険者ギルドでしてもらえたら見付ける事も可能なのでは?
尤も、照会サービスなんてあるかもわからないし、冒険者キルドで聞いてみよう。
じゃあ、今日の予定は決まった!
●冒険者ギルドに照会サービスあるか聞く。
●ゴーレムを売りに行く。
●拠点について調べる。
起き出した伊澤さんに浄化をかけてもらい、スッキリしたあと、朝食を摂りそれぞれの仕事に出掛けてる準備をする。
「行ってくるね。くーちゃんと一緒に待っててね」
「うん。いってらっしゃい!」
娘にお仕事行ってらっしゃいと言われて出かけるお父さんは毎朝こんな優しい気持になれるんだろうね。今日も頑張ろう!
あまりエルメスさんに会いたくないけど、冒険者ギルドにいこう。
◆◇◆◇
「メスの匂いが強くなってますね」
「なんでそう思うんですか?」
「複数のメスの匂いがします」
「それより登録者の照会について聞きたいのですが……」
「早く奪ってしまわないと、奪われてしまいそうですね……」
「奪うって何をです?」
「なんでもありません。それで照会の件ですね」
エルメスさんは正気に戻ったのかやっと話を聞いてくれた。
ほんと何なんだろうこの人。そうだ! こんな時こそ範囲鑑定の出番だ。
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エルメス・イザリヤ
種族 サキュバス
レベル 1511
年齢 548
スキル エナジードレイン
淫魔の瞳
吸精の瞳
配偶者 無し 処女
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おっと、本当にサキュバスだったよ。
548歳? ご年配だったんですね。女性に歳の事を言うのはやめましょう。それより怪しいスキルが気になります。私気になります。
ていうか処女なの? サキュバスなのに?
よくある設定では、夢の中に現れて精力を奪う悪魔で、精を奪うのに肉体的な接触は要らないのかも?
「そんなに見つめてどうしたの? 何か見えたかしら?」
「え? あ、いえ……なんでもないです」
「見ちゃったものは仕方ないわね。責任は取ってもらうわ」
エルメスさんの目が光ったかと思うと、抗えないほどの淫靡な欲求に突き動かされそうになり必死で耐えた。
「……チカラを使うの止めてもらえますか?」
「はい。でも、勝手に人プライベート覗いちゃだめよ?」
スキルを解除してくれたみたいで落ち着いてきた。アレはパオーンしたままだけどね。
「はい。ごめんなさい」
「いいのよ。乙女の秘密を知ったからに責任取ってくれれば許すわ」
「どう責任とれば?」
「部屋にいらっしゃい。可愛がってあげる」
「エナジードレインされるのは……」
「大丈夫よ。スキルは使わないで精を奪うから」
「肉体的にってことです??」
「……そうよ。しっかり女にしてちょうだい」
困ったな……どうしよう。このままだと流されてしまう。
今朝も考えたように、つい数日前に会った人に流されるまま色々してしまうのは良くない。
意思を強く持つのだ!
「は……はい。こ……今度行きます」
断るはずが、エルメスさんの目を見てたら何故か行きますって言ってしまったぁ。これもサキュバスの力なのかな? それとも僕の潜在意識の現れなのだろうか。
「待ってるからね。来なかったらこっちから行くから」
「は……はい」
非常によろしくない展開になってしまった。
もし、本当に来られでもしたら、岡さんたちに何を言われるか……。
ユリナの教育にも非常によろしくない。
詰んだかもしれない。
「それで照会の件だけど、結論から言えば出来ないわ。個人情報を漏らす事はできないの」
「そうですか……残念」
「でも、エリオさんは私の旦那様になる人だから、特別照会結果を教えてあげる」
「ほんとですか! って旦那様??」
「どうするの? 聞きたい? 聞くならわかってるわよね?」
「ぐぬぬ……」
「まぁいいわ。可愛い旦那様をいじめるのはこのぐらいにしておきましょう」
「教えてくれるんですか?」
「ええ。少し待ってね」
エルメスさんが銀の板に触って何か作業を始めた。
仕事してる姿はとても出来る女性な感じで、エルフとは違う方向の超美人なのもあって、惚れ惚れしてしまう。
これでアレな人で無かったら普通に惚れてたのに。
「そういえば、こんな会話周りに聞かれて大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。私がギルドマスターだから」
「なるほど……え?」
「驚いた? 長生きの種族だから、もう120年程ここのギルマスやってるわ」
「ほへぇぇ。でも、職権乱用はダメなのでは?」
「周りを見て。誰か聞いてる人居る?」
周りを見渡すと声が届く範囲には人は居なかった。どういうことだろう?
「目のスキルには色々な使い方があるのよ」
「なるほど。納得しました」
しばらく続けていた作業を終わったらしくエルメスさんが顔を上げた。
「……これかしらね。サトシ・モリヤマという登録者が居るわ」
「それだ! それです! 何処で登録されてるんですか?」
「ドルフィノよ」
「ドルフィノですか。ヒイロ帝国じゃなくて良かった……」
「ドルフィノに行くの?」
「はい。馬車で行くと、どれぐらいかかるのですか?」
「竜車じゃないと行けないわ。途中危険な場所があるから。竜車ならば二週間ほどね」
「ちなみに危険な場所とは?」
「単純に魔物が多い地域があって、馬だと怖がって走らなくなるのよ」
「そうなんですか……。竜車の利用は、やはり高いのですか?」
「ええ。片道2000ゴルぐらいよ」
日本円に換算すると20万円ぐらいなのかな? 払えるけど高いと言えば高い。
「少し考えてみます。ありがとうございました!」
「部屋で待ってますね」
「はい……」
冒険者ギルドから出て、例の広場のベンチに座る。
少し落ちついて考えるか。
モリモリが今もドルフィノに居るかどうかは不明だけど、居場所はわかった。
冒険者登録してるって事は、無事にこの世界に馴染んでるのだろうし、急いで向かう必要は無いかもしれない。
合流したいのはモリモリだけだけど、他の人の事はどうしよう。
七星さんは苦手だから会いたくないな。
不良の大平君は絶対会いたくない。
モテ男の片山君はいい人だったから、可能なら合流したいかも。
委員長は微妙だな。ダラダラ過ごしてたら怒られそう。
会いたい人と言えば……実を言うと、ギャルグループ三人組の一人、水野恵さんのことが好きだった。
話したことは無いんだけど、よく目が合うし、目が合うとぎこちないけど笑いかけてくれて、お互い好き同士なんじゃないかと一時妄想してた。
今思うと思春期特有の勘違い野郎そのものだよね。勘違いして告白すると「キモっ……まじねーわ」とか言われて、次の日クラスに広められてイジメの対象になって最後は不登校エンドなんだ。
……辛い。
とりあえずゴーレムの素材を魔石売りに行こ。
買取ギルドに入り、背伸びしてカウンター越しに叫ぶ。
「すみませーん、素材売りたいのですがー」
「またお前か。大量に持ってきたのか?」
「大量と言えば大量です」
「ストーンゴーレム、アイアンゴーレム、ミスリルゴーレムと、それらの核です」
「ミスリルゴーレムと言ったか?」
「言いました」
「……ついてこい」
僕はおじさんに連れられて、初めて見る倉庫に通された。
とても広い部屋で、貴重そうなものが棚に並べてあって管理してる人が何人も居た。
「ここに出せ」
僕が指定された場所にミスリルゴーレムを出すと、おじさんは後ずさる。
「どうなってやがんだ……」
周りの人達もぞろぞろ集まってきて興味深そうにゴーレムを見ている。
「買い取ってもらえるんですか?」
「買い取ってもいいが即金は無理だぞ。これだけの量のミスリルに払える金はギルドにねぇ」
「じゃあ腕一本とかは?」
「それなら買い取れるが、切り落とすのだって時間かかる」
「それでしたら、ほい、ほいっと」
僕は範囲クラフトを使いミスリルゴーレムの腕を胴体から切り分けた。
「なっ!? なにしやがった?」
「僕スキルは便利なんですよ。ハイエルフパワーです。あと、核というのは売れますか?」
「はぁ……。一応買い取れるが、ミスリルゴーレムの核に付ける値段なんてわからん。概算で値付けするしかねぇし、勿体ないからオークションにでも出せ」
「オークションですか……。ストーンゴーレムやアイアンゴーレムは売れます?」
「ストーンの核なら買い取る。ボディは石材屋にでも売れ。アイアンの核も買い取れる。ボディは鍛冶屋にでも行って売ってこい」
僕がどうしようか考えていると、おじさんは話を続けた
「だが、核はここで売るより錬金術師に売った方が儲かるぞ」
「もしかして核を使って自分でゴーレム作れるとか!?」
「そうだ」
「わかりました。今日はミスリルゴーレムの腕だけ売ります」
「そうしとけ。俺はもう疲れた。査定は少し待て。もうロビーに戻っていいぞ」
さっさと行けって感じに、その場を追い出されてしまった。
大人しくロビーで待ってよう。
「ゴーレムの腕を持ってこられた方ぁ。こちらにどうぞぉー」
例の軽いノリの事務員さんからお声がかかり、カウンターに向かう。
「ミスリルゴーレムの右腕、ミスリル重量にして210キルでお間違いありませんかぁ」
「重さは解らないです」
「ギルドの鑑定書が着いてますぅ。間違いないはずですぅ」
「では、それでいいです」
「〆て19万ゴルに……え? じゅうきゅ……失礼しましたぁ。19万ゴルになりますぅ。よろしいですかぁ」
「はい」
「これだけの金額になりますとぉ、お振り込みでしか~対応できません。ご了承ください~」
「はい」
「またどうぞー」
お姉さんの今日の頭を撫でる手はじっとりと汗をかいていた。
◆◇◆◇
ひゅー。いきなり小金持ちになったぞ。
19万ゴルということは……適当に日本円に換算すると1千9百万円ぐらいってことだよね?
これだけあれば拠点持てるのではないだろうか。そもそも片腕だけでその値段ならば全部売ったら……。
僕はエルメスさんやモリモリの事は頭からすっかり抜けて、お大尽になった気分で宿に戻るのだった。
宿に着くと、くーちゃんの絵を描いて遊んでるユリナに声をかけた。
「おかえりー!」
「はい。だたいまー。ユリナに話があるんだけどいい?」
「うん」
「実は家を買うか、建てようと思ってるんだ」
「うん」
「ユリナはどう思う?」
「ユリナも住んでいいの?」
「当然! ユリナはもう僕の本当の妹だと思っている」
「お兄ちゃん……」
ユリナは嬉しかったのか抱きついてきた。よーしよしよし。
「それでね、家を手に入れることについてユリナの意見聞きたかったんだ」
「んーわかんない」
「だよねー。そんな漠然と聞かれてもわかんないよね」
僕は家を手に入れた場合、今と環境がどう変わるのか予想を伝えた。
「メイドさんくるの?」
「そう。ユリナの食事とかのお世話する人を雇う予定なんだ」
「……がんばる」
メイドさんは微妙に歓迎していないようだったけど、一応ユリナの了承取れたようだ。
次に僕が向かった場所はディンさんの拠点。家を手に入れるにはどうしたらいいか聞きに行くのが目的だ。
◇◆◇◆
地図によればあそこだな。え? ほんとにここがディンさんたちの拠点なの?
そこはどう見ても廃墟で、夏になると誰かが肝試しに来そうな雰囲気だった。
建物自体は大きい。でも、庭は草ボーボーだし、外壁も部分的に壊れて色もくすんでいる。
眺めていても仕方ないので、壊れて閉じなくなった門を抜け、玄関先までやってきた。
「すみませーーーん。ディンさんいますかぁーーー」
僕はノックしながら大きな声で呼んでみた。
返事がない。
ギィィィ……
扉が開くと太陽みたいな明るい笑顔のミリさんが居た。
「エリオー! 全然来てくれなくて寂しかったよ!」
僕はミリさんに抱っこされる形で中に引きずり込まれた。家の中は意外と綺麗で外のイメージとは少し違って違和感ある。
「おー来たな。エリオ。黒のエイスに入る気になったか?」
ディンさんはリビングのソファーに座って出迎えてくれて、ミリさんは僕を抱っこしたままソファーに腰を下ろした。
「お久しぶりです。今日伺った理由は家の手に入れ方を知りたくて来ました」
「もうそんな金溜まったのかよ?」
「それなりにですが」
「予算は?」
「19万ゴルぐらいです」
「ヒュー。スゲェな。期待してた以上だ。まぁいいや。出かけようぜ」
「どちらに?」
「俺に心当たりがある。そこなら安くて良い家だ」
「あー、もしかしてあそこ?」
「ああ」
僕はデインさんに連れ出され、相変わらずミリさんに抱っこされたまま街に繰り出すのだった。
赤ちゃんを抱くように対面抱っこされてるので柔らかいものが体に当たってアレなんですよ。下ろされてもすぐ歩けなさそうです。
ちなみに今日はいい匂いします。
案内されて来た場所を見て驚いた。家というか屋敷だ。
「本当にここで合ってます?」
「ああ。ここは俺の叔母が住んでるんだが、歳だし実家があるドルフィノに帰ることになった」
「それで空き家になるから売りたいと?」
「そうだ」
「もしかして、ディンさんのご実家は物凄いお金持ちですか?」
「家を出た俺には関係ねぇよ」
「そうですか。失礼しました」
その後、ディンさんの叔母さんと色々相談した結果、10万ゴルで家を譲ってくれることになった。
ハッキリ言ってあり得ないレベルの安さだけど、お引越しの運搬は僕のアイテムボックスで手伝う事で元は取れるらしい。本当にそれだけで元が取れるのかは甚だ疑問ではある。
腑に落ちない部分はあるものの、僕は引っ越しのためにドルフィノに無料で行ける。モリモリに会えるかもしれない。家も安く手に入る。の一石二鳥どころか三鳥。今はこれで良しとしておくか。
ディンさんに感謝の印にお酒を10本ほど渡し、ミリさんをなんとか振りほどき宿に戻った。前かがみでね。
そして夕食を済ませ、お風呂にも入った。ユリナも夢の中だ。
また二人はチラチラとこっちを見ている。今日は岡さんが手招きしていた。ドギドキしながら歩いていくと、
「今日は矢吹っちからしてよ。はい」
そう言って岡さんは寝転がった。
挙動不審になりながらも僕は岡さんに覆い被さり口を合わせた。
岡さんの口腔内から伸びた触手は僕の中を動き回り、絡みつき、驚きの吸引力で僕の唾液を吸い尽くした。
岡さんはコクンと飲み込むとトロンとした表情で「矢吹っちの美味しい」と言った。
伊澤さんからも同様に吸われ、水分も摂らずにオールドファッションを食べたような口の乾きに難儀するのであった。
この後メチャメチャ水飲んだ。
評価ありがとうございます!ほんと励みになります。




