1話 ようこそ!ブルーメタルロボティックヘ
内容が大幅に変わっているのでややこしですが、旧作を読んでいただいた方には「何処が変わっているのかな」と楽しんでいたけたら幸いです。
本当に…
コックピット内に警告音が響き渡る。メインカメラから送られてくる映像には三つの機影が映っている。二十メートルほどの人型ロボットが一機と十八メートルほどのタンク型が一機。最後の一機はスモークの中に身を隠しておりその妖しく光るモノアイしか確認出来なかった。対して追い詰められている側の機体は人型が三機編成だが、その内一機は大破している。その分、味方の損傷は軽微だ。
敵もそれは理解している、とばかりに距離を取ったまま、動きを止めた。
恐らく次の一撃で勝負を決めるつもりだろう。
敵機のバーニアの光が赤から青へと変わる。
だが追い詰めれれている側も簡単にやられるわけにはいかない。
大破した機体がスロットルを開き、敵機へと迫る。同時に残りの二機が出口へ殺到する。
『あとは任せた! 死んでこい』
「ひどない!?」
ツクモは、残った敵機に狙いを定めて発砲した。敵機は回避行動を取りつつ、機銃で反撃してきた。弾が当たることはなかったが、その隙に残り一機となったツクモは敵機の懐に飛び込んだ。
(なんでこんな事になったんだ)そう思いながらツクモは操縦桿を握りしめた。
ーーー5時間前ーーー
電車に揺られながら楽しそうにスマホをいじる青年が一人、橋波七瀬今年から高校一年になる学生。
今は春休みを絶賛満喫中。
彼はスマホのトークアプリで小、中学校からの付き合いである仲間たちと会話を楽しんでいた。
『今日さぁ! コレ! やっと買えたんだよね。あとでやろうよ!』
彼がトーク内に画像を添付し、内容を送信する。画像はVRゲームのパッケージ。
最近世間を賑わせているVRMMORPGというジャンルで、名前をブルーメタルロボティック。略して【ブルロボ】と呼ばれている。
このゲームは半年前にリリースを開始しており全世界で今、絶大な人気を誇っている。
そして七瀬のトークに反応する者が現れる。
最初に反応したのは、白の背景に六角形の線がありその中に文字が刻まれているアイコンのもち主だった。彼は谷塚香月七瀬とは小学校からの付き合いである。
『おっ! やっとか、んじゃキャラメイク10時間配信でもやってもろて』
『やだよ。早く遊びたいのに』
『それじゃ、キャラクリ終わったら呼んでクレメンス』
『了! じゃ、うーさんもそう言うことで』
『あいよ』
七瀬がうーさんと呼んだ人物は霜田奏雨。七瀬と香月とは中学校からの付き合いである。
七瀬以外の二人は一週間前からブルロボを始めている。三人は前々からブルロボを一緒に始める約束をしていたのだが、七瀬はパッケージを見つけられず出遅れで始めることとなった。
『お二人方には大変お待たせいたしました。』
『ほんとだよ。もうお前なしでいいんじゃないって言ってたくらいだし』
『出遅れた分頑張るんで、勘弁して下さい』
そんな他愛のない会話をして電車から降り、帰宅する。七瀬は自室に置いてあるフルダイブゲーム機器【Sky】を機動させる。自身はベッドへ横たわり、ゴーグル型のゲーム機を装着し、仮想空間へダイブする。
ーーー
フルダイブ技術とは、仮想空間へ完全に意識を没入させ仮想空間内のアバターと一体化し異世界を体験できるという、プラネットアースカンパニー社(略称pec)の次世代ゲーム機能の事だ。
そしてそれを使った今回のゲーム。
オープンワールド型ロボットRPG
〔ブルーメタルロボティック〕
先ほども軽く説明したが、略称を【ブルロボ】今ではメディアでも毎日取り上げられている程のの大人気ゲームとなっている。
【ブルロボ】は自身の思うがままに、理想のロボットを作り、オープンワールドを駆け回り、魔物や盗賊などと戦い、ストーリーを楽しむものとなっている。様々な細かいコンテンツも無数にありプレイヤー達を楽しませている。
ーーー
七瀬がアプリを起動すると意識を白い空間へ飛ばされる。その直後にアナウンスが聞こえてくる。
『ようこそブルーメタルロボティックの世界へ』
すると目の前にホログラムディスプレイが現れる。それを慣れた手つきで操作して、キャラネームを《ツクモ》に設定し、自身の操作するアバターを作っていく。
ツクモがいつも使うアバターは、背が高く白髪で筋肉を盛った、童顔のおじさんの様なキャラクターだ。
ツクモはコレを(超カッコイイ、イケおじ)だと思って作成している。
キャラメイクを早々に終えると、自身の乗る初期機体を選択する画面になった。機体は全部で三種類。
近距離白兵機体、中距離汎用機体、遠距離支援機体から選べる。近距離、中距離は人型だが、遠距離は足がカタピラになっているタンクと呼ばれる形の機体だ。
ツクモは即座に近距離型を選択し、次に武装を決める。武装は主兵装と副兵装の二つがあり、主兵装には軽い長方形の盾とショットガンを選び、副兵装には熱を帯びた斧であるヒートハチェットを選択した。そして金銭、Gとアイテムが支給される。
ツクモは5000Gを所持している。アイテムは修復キット(回復アイテム)と小型電子グレネードを四つづつ支給された。
そしてゲームのチュートリアルを受け機体の操作感などを覚える。操作はフットペダルと操縦桿で行う。そのほかにも操作方法はあるが、ツクモは操縦桿で操作する事を選んだ。
チュートリアルが終わり、最初の街へツクモは転送される。転送の直前アナウンスが聞こえて来た。
『鋼鉄の機械に身を包んだ人生、フルメルタルライフをどうかお楽しみください』
最初の街は《サンディール》と呼ばれる大都市で煙突や鍛冶屋、ネオンの酒場などの明るいパンクな雰囲気のある建物が並び、活気のある街並みだ。
ツクモのアバターが街に生成されるとすぐさまメニュー画面を開きフレンド一覧から香月のキャラ《レーション》へ連絡を入れる。
そしてツクモはメニューを閉じるが、違和感を感じた。
(ん? なんか視点低くね? あれ? バグ? 腕もやたらと細いし…なんでぇ?)
問題が発生した。ツクモはキャラメイクのときにキャラクターの反映を押さずに保存を押しそのままキャラメイクを終了したため、作成したキャラクターではなく、ランダムで選ばれた物を使用する事となった。
ツクモは急いで近くの鏡で全身を見る。
顔は中性的で真っ赤な瞳をしていて、銀色の長い髪をひとまとめにしている筋肉質ではなく、細身で身長は百五十センチほどで、女性の様に白い肌になっていた。服装はサイバーチックな白と赤のオーバーコートを着ている。
(うっわー何この子の見た目…いいな、ぶっちゃけ俺よりセンス良き良きですわぁ…ってそうじゃない。あっ性別はっと、男だねよし)
ツクモが鏡の前で百面相をしていると、背後から声をかけられた。
「ツクモ、何してんの?」
振り返るといかにも好青年の様な印象を与える男がいた。髪は短く瞳と同じ綺麗な深い緑色をしている。身長は百七十センチほど、細身だが筋肉質な体型をしている。服装は迷彩柄のサイバー風のコートやシャツに衛生兵が持つ様な茶色の大きなバッグを肩にかけている。頭の上にはレーションと名前が書かれていた。
「え、あっ、いえ何も…」
「ふーん、ふーーん、ふーーーん!!」
「やな奴だな! お前ぇ!!」
ツクモとレーションは近くの喫茶店に入り軽く話す。ツクモは誤解を解くために弁明するがレーションのからかいはとどまる事を知らなかった。
「にしても俺はてっきり、ついにそういう趣味になったのかと」
「見た目は趣味…てか好みなのは認める。白髪好きだし、だが男だ。男はノー」
「まぁ、本音を言うとお前にしては珍しいなぁとは思った。あのよくわかんない子供親父よりかは、断然そっちがイイよ」
「アレはアレで、イケおじでしょうよ」
「お前のイケおじの概念とは? 俺が作ったプリセット見てみぃ?」
そうして数分ほどレーションのイケおじプリセット解説を長々ととめどなく聞かされるツクモ、本人は慣れている上、興味もあるので会話はかろうじて出来ているが返事の語彙がどんどん消えていく最終的には「それで?」と「ふんふん」としか喋らせてもらえなくなる。
そしてしばらくしてマシンガントークの的であるツクモの開く穴が無くなりかけた頃。奏雨が現れる。プレイヤー名は《カルーア》、店に入ってツクモ達の席へつく。
見た目は、肩ほどの長さの黒髪を後ろで束ねている、威圧のある鋭く目黒い瞳の持ち主で、サイバーチックな白にアクセントの赤が入った若干オーバーサイズの軍服風のコートを着ている、背丈はおおよそ百八十センチほどで筋肉質なキャラだった。
「おっカルーアじゃん。珍しいね男性キャラって」
「最初は女性にしようと思ってたんだけどね。なんか感覚が合わなかったんよ」
「たまにあるよねぇ」
「珍しいといえばツクモ、お前も珍しくあのクソキモおじさんじゃないのね」
「ひどい評価だ…ミスってこうなったの、一応性別は男ね」
「ふーん、あっそうそうコレ渡そうと思ってたやつ」
ツクモもの前にカルーアからふくろが渡される。中を覗くと大量のGが入れられていた。
「えっ! いいんすか!?」
「たいした額じゃないしいいよ、てかさっさとその金使って追いついてこい、ツクモやろう」
「ウッス、ちなみにお二方今、なんレベ?」
「15くらい。すぐ追いつくよ、それとその金な! 衣装とかに絶対使うなよ、いいな? い、い、な!」
「ウッス」
「前科持ちだもんな」
「あと、ギルドに登録しにいくか」
「ギルド? そんなのあるんだ」
「お前、なんの情報も見てないの?」
「恥ずかしながら」
「ハァー…カス。まぁいいよ、説明してやる」
カルーアからギルドとは何かを説明される。
ギルドとはストーリー進行に不可欠な施設で、依頼などはギルドから受注する事となる。時にはプレイヤー同士で依頼をする事もある。
ほかにも役職を決めることができ、盗賊や軍人、傭兵や商人など様々な職がありそれに伴った恩恵が受けられる。
盗賊ならアングラな違法品を売買する事が出来るようになり、軍人なら高品質な軍用品を利用する事ができるようになるなど役職にそったメリットを受けられる様になる。
「それにプレイヤーが多く集まってパーティーを組む事があるだろ?」
「うんうん」
「そういうのをクランっていう。逆に少人数、俺らみたいなのをパーティーって分けて呼んでる。ここまではいいか?」
「はい」
そこからさらにサブジョブを選び職業に応じた特殊なスキルが貰えるなどの説明を受けた。ちなみにレーションとカルーアは傭兵ギルドに登録済みである。
「サブジョブは何にしたの?」
「俺は炭鉱夫」
「レーション、お前ってやつは…ここでも地底人になるつもりか? …最高かよ」
「俺はまだ考え中。ツクモはどうする?」
「うーん、鍛冶職人かな? 君らをサポート系で裏から手助けするよ」
「了解。被らんように俺も考えとくよ。それで説明は一応終わりかな? 細かい事はまた今度で…さっそく登録と買い物だ。」
「「了解」」
ギルド管理局まで、ツクモ達は街を寄り道をしながら向かった。
ギルド管理局は巨大な円柱型の塔で、雲を突き抜けるほど天高くまで伸びている。名前を《バベル》。
「あーーたっっか。ここがギルド?」
「そう。ホレ、中行くぞ」
カルーアに誘導され中へ入る。そこはショッピングモールや役所などが入り混じった活気のある空間だった。
ツクモは中央にある受付カウンターから役職の登録をする。
(色々あるなぁ。軍人、傭兵、盗賊、商人、情報屋、剣闘士などか…うーん盗賊とか面白そうだけど収入とか考えたら傭兵か商人だな。この二つだと……傭兵がいいかな?)
ツクモは受付でメインジョブとサブジョブを決めるとカウンターに据えられているパネルを操作し役職を入れていく、送信画面をタップし送るとスーツを着た女性がカウンターの奥から歩いてくる。
女性の見た目はロングストレートの黒髪に大人びた色気のある顔立ちにメガネをかけ、ぴっちりとしたスーツが悲鳴を上げている胸部に、背丈は百八十センチほどの、いかにも出来る風のOLの様なキャラだった。
「新規登録のツクモ様ですね? 傭兵ギルドへの登録を確認しました。こちらドックタグと端末、こちら銀盤です。」
(NPCだよね? 毎回本物だと思っちゃうな、リアルすぎ、声優さんすげーや)
「銀盤? 何コレ? どう使うの?」
「こちら、ご自身の家となる船との交換券になります。ご利用方法は銀盤に触れていただけるとわかります。」
(あっ、ここで説明してくれないのね)
「わかりました」
ツクモはその後、傭兵ギルドの説明を一通り受けた後にレーション達の元へ戻った。
「終わったよ! さて次は買い物! 装備整えたい」
「はいはい、あ! 銀盤貰ったよな? まだ使うなよ」
「何で?」
「俺とレーションの分あとお前のが有れば良さげの戦船が買える」
「へーおけっ! 置いとくよ」
ツクモ達はバベルのショッピングモール内を見て回る。機体のボディパーツや武器などが置いてある店を中心的に回る。
ツクモはスラスターと装甲板だけを買い替え武器などは新調しなかった。いや出来なかったのだ。
「ハァ武器…プレイヤーレベルが足んないって、買えませんでした」
「あぁ忘れてた、一定のレベルじゃないと買えなかったな。そういえば」
「んまぁ、最初は初期で選べるやつの方が威力はあるしいいんじゃない? 火力とか特別感のある武器が欲しいのだとするとアイテムドロップとかプレイヤーメイドだろ。まぁパイルとか言う例外を除けばだけど」
「やっぱパイルさんスゲェ、そういえば二人の機体は? 武器構成とか主な役割とかどうなん?」
「俺は前線でメイン火力バンバン出すアタッカーで、レーションは何だっけ?」
「俺は近、中距離で動ける何でも屋みたいなポジション、今のところ」
「じゃ、俺はいつも通り前衛でタンク役するね」
「肉壁なるばっかじゃなくてもいいんだよ」
「盾サポ以外は性に合わなくてね」
「そう、何にせよまずはツクモのレベル上げ! 次に行くぞ」
ツクモ達は次の目的地へと向かった。
キャラクターの紹介
主人公 橋波七瀬 (はしなみななせ)
プレイヤー名 ツクモ
いつものほほんとして、自身のファンタジー世界に入り込んでしまうオタク気質の青年。今年から高校一年になる。
好きな事は【人の気持ちを考えよ】だが時々話が噛み合わない事がある。
よく遊ぶゲームは、VR機種のスーパー化石ホリダー
好きな食べ物は、ラーメン
好きなロボットは、ザクII(コロコロ変わる)




