六話 長い休みの始まり
元と五話改変です。と言ってもさほど変わりはありませんが良ければ見ていって頂けると助かります。改変はここまでです。改変の一話から見ていただけると助かります。
ツクモ、もとい七瀬は現在春休みに入ったばかりである。今日は朝の五時から起きて別のゲームにログインしていた。何故かというとブルロボでもう一人誘っておこうという考えで小、中学の時のメンバーが集まって遊んでいるゲームにログインしたという訳だ。そのゲームの名前は『クラフトライフズ』といいそのゲームは二頭身のキャラクターが物や街を作り、モンスターと戦うVRファンタジークラフトRPGゲームとなっている。
そこでも七瀬はキャラ名をツクモとして、ジャック・オーランタンのキャラを使いプレイしている。
「うーん、どうしよう?寝付けないから畑仕事か釣りでもするかと思ったが…うーん。畑仕事はNPCがやってくれてるし、この時間帯はいいものが釣れないし、どうしたもんか?」
ツクモがそう悩んでいると後ろから声がかかる。声のする方へと顔を向けるとそこには黄色いヘルメットを被った炭鉱夫風の男がいた。
「よお、ツクモ今日は早いな。」
「何だ坊主か。起きてたんだな。」
「まぁね、あと反応薄すぎない?もうちょっとなんかあってもいいと思う。」
この坊主と呼ばれる男は、ツクモが中学の時出会った友達で本名は海原照史、プレイヤー名が海坊主だから坊主と呼ばれている。
「それで何を唸ってたん?」
「あぁ。寝れないからここでなんかやる事ないかなぁって。」
「あっ、やる事ないなら洞窟にいるミノ掃除してくれない?最近また増えてきてさぁ。」
「えぇぇ、ミノタウロスは硬いし、面倒いから嫌なんだけど…。」
「暇潰しにはちょうどいいでしょ、それに俺は戦闘系スキルは持ってないし、今ここにログインしてるのは俺たち二人、この意味わかるよな?」
「はいはい、わかりました行ってきますよ。」
「いってら。」
「それでぇ?武器防具は?」
「それなら村の出口にBOXがあるからそこから好きなやつ持ってけ。」
「おk〜。」
そうしてしばらくツクモがミノ狩りをして三時間程がすぎた頃。
「狩りすぎたかな?いや、これくらい狩ればいいだろ。もうアイテム欄がいっぱいだ、さぁ帰ろ帰ろ。」
ツクモが洞窟から出ると昼になっていた。
「うっお、まっぶし。リアルタイムで三時間いたから…ゲーム内時間では3日経ってんのか。お腹すいたし坊主が魚でも釣ってればいいが。」
ツクモが村へと帰ると坊主以外にも人が二人ほど増えていた。一人はシャケの帽子を被り、服はオレンジ色のツナギ服を着ていた。本名は竹浦ハジメ。もう一人はブリキのロボットの姿で猫の刺繍が入ったエプロンを着ている。どことなく幼稚園の先生にも見える。本名は滝川健吾という。
「シャケと25じゃん。おっは〜。」
「「おはよ。」」
「坊主は?」
「鉱山じゃない?最近鉄も少なくなってきてるし。」
「マジカー、お腹すいてるのに、二人ともなんか食べるもの持ってない?」
「持ってない。」
「食糧庫にあるんじゃないの?」
「それもそうか。あんがとさん。」
「あっ!そうそう。ツクモさぁ暇なら後で花札でもしない?」
「うん、いいよアイテムを整理したら…そっちの家でやるでいい?」
「うーん。仕方ないな、それでいいよ。」
「じゃそれで、シャケは何するの?」
「うーん、適当になにか作ってるよ。」
「了解。」
そうしてしばらく時間が過ぎてツクモと25は和風な家の縁側で花札をしていた。
「これで…花見でいっぱい。いや〜酒が強い。」
「そうだな。とりあえず酒飲んで桜か月を見とけば勝ちだもんなこのゲーム。」
「まぁまだ俺の勝ちは決まってないんだけど、俺が5点で25が…何点だ?」
「えーと、67点あと1ゲームだから…。」
「オワッタワ。」
「どうする?降参する?」
「いや、とりあえずは最後の一回はちゃんとする。」
「おっ、その心意気はよし。」
その後も花札は続き、花札以外にもチェスや将棋、桃○郎電鉄、ス○ブラなどを遊んだ。
「っあ、やめ、やめろぉ。そこで復帰阻止はやめて下さい。」
「いや、そういう事をするゲームだからこれ。」
「あー負けたぁ。これで俺、何敗?」
「100回とちょっと。ちなみに俺は0敗。他のゲームを合わせても。」
「カァー。やっぱ勝てんわ、25には、ってそうだ25さんや。」
「うん?」
「ブルーメタルロボティックってゲーム一緒にやらない?」
「なにそれ。」
ツクモが25にブルロボの説明をそして、ヨゾラの事も包み隠さずに話した。
「ほう。なるほどよくわかった。」
「やっぱダメかな?」
「うーん。ツクモからは言いたい事はそれだけ?」
「えーと、実は…ブルロボもう一本買っちゃってそれで…。」
「ハァ。くれるんだな?」
「それは勿論!そのために買ったから。」
「買ってしまった物は仕方ないし、ありがたくもらうよ。サンキューな。」
「よっしゃ!じゃ!今日のお昼頃でいいかな?」
「わかった。名前は…ソラネコって事で。それと待ち合わせは?」
「ログインしてくれたらフレンドチャットで呼んで。」
「了解。それとヨゾラさん?だっけ?もしかしたらアンドロイドって存在よりもおかしな物かもよ。」
「うん?それはどういう事?」
「それは…あっ親から連絡きた。悪い話はまた後で、今こっちの用事を済ませてくる。」
「わかった。ソフトはもうそっちに送ったからあとはダウンロードするだけだよ、それじゃまた後で。」
「あぁ、昼ご飯、食べてからログインするよ。」
そう言って25はログアウトしていきツクモも同じく現実世界へと戻ってきた。
七瀬はベッドの隣にある棚の上に置かれている時計を見ると時間が九時になっていた。
「朝ご飯でも食べようかな?」
七瀬が遅めの朝食を食べに台所へ向かう途中でリビングを通ると何かに足を掴まれる。足元を見るとソファーで寝ているスーツを着た女性に掴まれているようだ。
七瀬が手を退けようとしゃがむと女性に引っ張られ抱き枕にされてしまう。女性からはお酒の匂いが漂ってきた。女性の名前は橋波寧々、七瀬の四つ年上の姉である。容姿は茶色い髪が腰まであり、ふわふわとした雰囲気の女性だ。
「しまっ、グェ、抜け出せないちょっ、ねぇね離して。」
「いーや、ふふん、離さなーい。お姉ちゃんを癒して〜。」
「いや、無理。てかお酒くさいよねぇね。あとお腹すいてるから朝ご飯くらい食べさして。」
「えぇぇ。ご飯食べたら構ってくれる?」
「あー、うん。少しだけなら。」
「少しぃ?」
「はいはい、わかりましたよ。ねぇねが満足するまでね。」
「よろしぃ。では解放してあげます。あとお姉ちゃんの分のご飯もよろしくです。」
「了解。それじゃ着替えてきてね?流石にスーツのままなのはいかがなものかと。」
「はーい。」
七瀬と寧々が朝食を済ますと寧々は早速七瀬に絡んでくる。寧々は朝食後酒のつまみと酎ハイで気分が良くなっているようで、絡みが七瀬にとって面倒なことになっていた。
「七ちゃんは可愛いねぇ。うふふ。」
(お酒も飲まないように釘を刺しとくべきだった。酒くさい。香月には近づけないようにしよう。酒の匂いで倒れるくらいだから。)
「ねぇね。朝からそんなにお酒を飲んで大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。今日は〜大学がお休みなので問題な〜し、お姉ちゃんは七ちゃんに癒してもらうのです。」
「癒すって、具体的にはなにすればいいんだ?」
「ソファーで膝枕を注文しまーす。お姉ちゃんを存分に甘やかしてくださーい。」
「膝枕って誰得だよこの光景。はぁ、仕方ない。ほれ、ねぇね。」
「お姉ちゃんが得するんです〜。弟膝枕だー。七は優しいね。」
「優しくなんか無いよ、ただの諦め癖だよ。」
「……ムゥ。」
「ねぇね、大学で嫌な事でもあった?」
「ん?なんでそんな事聞くのかな?」
「いや朝から飲んでるし、こうやって甘えてくる時はいつも愚痴言ってるし。」
「七くんはお姉ちゃんの事よく見てますなぁ。うん嫌なことあった。聞いてくれる?」
「なんでも聞くよ、兄妹なんだから。あっでも妹達には愚痴るなよ。」
「分かってるよ、お姉ちゃんもそこまで馬鹿じゃ無いですー。」
寧々は七瀬に愚痴を溢す。お酒が入ってるので歯止めが効かずポロポロと本音が漏れ出す。愚痴の内容は、同じ授業を受けてた見知らぬ男がうざったらしく纏わりついて、面倒でこの上ないとの事。そんな話をしているとインターホンがなる。
「それでさぁ、今日は用事があるって言ったのに、『それじゃ今夜飲みにでも』って、用事がるって言ってんだよ!日本語理解してんのかって話!」
「うんうん、それで?」
「それでねぇ…。」
(ピンーポーン!)
「誰か来たみたい。ねぇねちょっとどいてね?また後で話は聞くからさ。」
「はーい。」
玄関の扉を開けるとそこに此処に居るはずのない見知った顔があった。ゲーム内とは服装が違って少し雰囲気も違うが目の前にいるのは紛れもなくそれは夜空であった。
「えっ、あぁぁ………。」
(バタン)
七瀬は一旦思考を停止し、無意識にドアを閉めた。脳が現実を認識する事を否定したのだ。だがその現実は無慈悲で、閉まったはずのドアは夜空によって再度開けられた。
「なんで閉めるの!?」
「えっ、いや、どちら様ですか?」
七瀬は混乱のあまり記憶が一時的に飛んでいるようだ。
「どちら様ですかって、見ればわかるでしょ?」
「マジカ。夜空さんデスカ?」
「はい!そうですよ。」
「な、なんで、てかどやって此処が、それにその体…。」
「ツクモ、いえ七瀬、女の子の体はあまりジロジロ見るのよくないよ。」
「あ、いや、そんなつもりは…。」
「七くーん。長いけど何かあったの?って、あっ!もしかして夜空ちゃん?」
「えっ!?ねぇね夜空のこと知ってるの!?」
「あっ!言ってなかった?」
「何も聞いてないんだけど。」
「玄関で話すのもなんだし中で話そうか、お姉ちゃんも未だに状況は掴めてないんだけどね。詳しいことはお父さんに聞いてね。」
「パパに…(めんど)わかった。」
夜空を家に上げリビングで話を聞く、話の内容は夜空が今日から七瀬の家族になると言う事それと、どうして夜空が家族になる事になったかということ。
まずどうして夜空が橋波家に来たかについてだが七瀬が夜空と接触し、契約した時点で七瀬の親にプラネットアースカンパニーから連絡が来たようで内容は七瀬の父しか知らないようだが夜空が家族になる事を承諾したようだ。
「(プラネットさん仕事早いなぁそれに、)パパぁ…大丈夫かなぁ?」
「何か問題があるの七くん?」
「問題というか…。」
「な〜にぃ?エッチな事?」
「ちゃうわ!」
「そうだ!七瀬に手紙を預かってるから。はい、これ。」
「手紙?誰から?」
「私のお母さんから。」
「フゥム。なんだろう?」
七瀬は夜空から貰った手紙を読む。中に書かれていた内容は七瀬に対しての注意のようなものと感謝の言葉だった。
『橋波七瀬君へ。私は佐藤イヨリと言います。夜空を作ったいわゆる母親です。そしてこれからも夜空の事をよろしくお願いします。』
(はい、頼まれました。できるだけの努力はしよう。)
『そして次に夜空の身体の事についてですが、夜空の体は多分、七瀬君が思っているような鉄の体では無く、しっかりとした人の体を持っています。いわゆるホムンクルスというものです。』
(Oh、ホムン…?あーホムンクルスってよく錬金術とかに出てくる瓶の中の小人だよね?)
『夜空の体は普通の人と同じく成長し赤い血を流します。病気にもなりますし、子供も産めます。ですので普通の16歳の女の子として扱ってあげて下さい。』
(この人は母親として自分の子が人でない扱いをされる事が嫌な人なんだな。いいお母さんじゃないか。)
『夜空の人格や意思を作っているのはブラックボックスと呼ばれる心臓に位置するもので思考などは脳で行うのですが、時々ブラックボックスの不調があります。夜空が何かしらの異常を訴えたのならば手紙に同封されている場所の研究所に足を運んでください。』
(ほう。これは放置してたらやばい事になるから定期検診に来いってことかな?)
『以上で夜空についての注意事項です。色々聞きたい事があると思いますが、夜空を作った私もあまり上手く説明出来ないのです。夜空を作った時私は私自分自身何をしていたのか覚えていないほど憔悴しきっていたので説明は出来ませんが、安心して下さい七瀬君にとって悪い事ではないのは保証します。』
(なんか色々不安しか無いけど、悪い事を考えても良くないし…これ信じるしかないよなぁ…ん?裏にまだなんかあるな。)
『追申、先程も言いましたが夜空は普通の女の子です。手を出してしまえば普通に子供が出来てしまいます。ですのでご注意を、夜空の意思を尊重せずに行為に及ぶのは人以前の問題です。まぁそんな事が出来るような人では無い優柔不断な人なのは調査済みです。私的には全然子供を作ってくれても構いませんよ?(笑)そのまま入籍してください。』
(イラ、何が笑じゃ!ボケェ。あとさりげに俺のことディスってないこの人。ディスってるよねこれ。顔も合わせた事ない人になんで俺は煽られてんだ?わけわかんないんだけど!あと俺の個人情報がなんか漏れてる臭いんですけど。はぁなんか、もう、どうでもいいや。)
七瀬は夜空と寧々のが見ていない時に手紙を丸めてゴミばこに捨てた。
「どうしたの?」
「えっ、あぁ。なんでもない、なんでもない。」
「そう。」
「そうだねぇね、パパとママは?」
「今は旅行中だから…。帰ってくるのは春休み明けの夜ごろだね。」
「そうかぁ…スゥ…ハァ。よし!寝る。」
「「えっ!?」」
「昼まで寝るから12時ごろ起こして。」
「七く〜ん?」
「ねぇね、可愛いお顔が怖いよ?どったのかなぁ?」
「お世辞を言っても昼寝はさせません。お姉ちゃんがいる限り不健康への道には行かせませんよ!」
「あー、ハイハイ。じゃぁ寝ます、おやすみなさい。」
「ちょいちょい、寝かさん言ってるやろがい。何、さりげに寝ようとしてんねんワレ。」
「お口ワルワルですよ、姉君。」
「おっと、しまった。…そ〜だ、夜空ちゃんもいることだし近所でも案内してきたら?それで時間を潰せばお昼にはなるでしょ。」
「あーえーと…あっもう考えるのめんどい。じゃ行くか…着替えてくるから待ってて。」
「はい、待ってますよ〜。」
七瀬は、服を外用に着替え、夜空に近所を案内する。何故か寧々が同行しているようだが。
「ねーね、なんで一緒に来るのさ?」
「えー、お姉ちゃんが一緒じゃ嫌?」
「嫌。なんか散歩を保護者に見らられてるみたいで。」
「それはお姉ちゃんも嫌だね。でもお姉ちゃんも家にいたら暇で死にそうなので、ついていく事にしました!」
「秋達と遊んでたらいいのに。」
「秋ちゃんと彼方ちゃんは朝早くに起きて友達とカラオケに行ってるよ。」
「ねぇね、置いていかれたんか。そりゃ酒臭い姉は連れて行きたくないわな。」
「お酒臭くないですー、昨日もちゃんとお風呂に入って歯も磨きましたー。」
「そう言う事言ってんじゃなくて…。」
「そんな事より七くんはどこに向かってるの?」
「今は小学校の方からぐるっと回って月島市民体育館辺りを通ってる。最後は駅辺りの店で昼ご飯買って帰る予定。」
「お姉ちゃんは昼ご飯はたこ焼きが食べたい。」
「じゃ駅前のたこ焼き屋で買って帰るか。」
「会話がさすが大阪って感じするね。」
「そう?たこ焼きは大阪じゃ無くても屋台はあるよね?ない?」
「あると思うけど、そんな気軽に『昼はたこ焼き!』みたいなことは無いよ?」
「そうなんだ。あーでもここ大阪って言っても都会田舎みたいな所だし、畑とか多いよ。ほらあっち、畑とかあるでしょ?」
七瀬が団地の近くにある畑に指をさした。
「ほんとだ。畑がある。」
「都会じゃまぁまず見る機会はあまり無いよね。」
「そうだねぇ。あっ!でもでも都会田舎って言ってもここ立地はよくて、小学校や中学校、市民体育館とか、あとデパートも揃ってるし自転車でちょっと走れば電気屋とかあるし不便は無いよ、駅も近いし住み心地はいいよ。」
「見てる感じそうだとそうだね。すごく良いところだと思う。」
「でしょ!?」
「なんでねぇねが自慢気なんだよ…ンー、ちょっと寄り道したい所があるからいいかな?」
「いいよ。どこに行くの?」
「小学校の近くに神社があるからお参りでもしようと思って。」
「へー。神社もあるのね。」
「でもなんで今神社に?七くん何かあるの?」
「夜空が家族になったからその報告みたいなのをしようかと思って。あと今後の祝福祈願的な意味を込めて。」
「「あー。」」
七瀬達は神社でお参りを済ませ、案内を再開して帰り際にたこ焼きを買って帰宅した。
七瀬は一つ空を見上げてふと思った事があった。
(今日の空は雲一つない晴天だなぁ、今夜の夜空は星が綺麗に見られそうだ。)
さっくりキャラ紹介
賑やかしその1 海原照史
キャラ名 海坊主
ツクモ達のリア友。ツクモ達とは中学からの仲で、奏雨とは小学校の時からの付き合いだ。
基本的には別のゲーのクラフターライフズで登場する。