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フルメタルライフズ  作者: 冬馬
旧一章
3/9

二話 ミスター闘技場

 二話改変です。これの話数は少し付け足しをしたくらいだったはずです。

 

 スモーカーヘッド達「ピッグズ・バンディット」に敗北したツクモ達は、今後「ピッグズ・バンディット」に対して一方的な戦争を持ちかける為に、チェッカーの助言通りサーレン闘技場へと向かっていた。数多のプレイヤーが力試しや観戦などを目的として集うこの闘技場は、サーレンシティーで、一番人気のスポットである。その賑わい様ときたら祭りでも行われているかのようで、街の殆どのプレイヤーは闘技場の前へと群がっていた。闘技場はローマのコロッセオを連想させるような外見をしていた。プレイヤー達は闘技場の入り口に吊るされたホログラムモニターから、試合のスケジュールなどを確認していた。賭け事も行われている様で、いかつい格好をしたおじさん達が、ざわざわと騒いでいる光景も見られた。モニターには現在の試合参加者の人数が表示されており、平日にもかかわらず六千人をも超える試合が三つほどあった。上位のプレイヤーに至っては相当な額(億単位近いお金)が動いている程の白熱っぷりだ。中でも『ミスター闘技場』と題された試合は注目度が随一で、男女問わず多くのプレイヤーが一堂に会している。どうやらこの『ミスター闘技場』とはここで覇権を握り続けている強豪プレイヤーの二つ名であるらしく、彼に挑み続けるライバル的存在と共に人気が集中しているようだ。ツクモ達も下見の為に、二時から始まる『ミスター闘技場』の試合を観戦することにした。観戦するには闘技場前の受付で該当試合のチケットを購入しなくてはならない。購入後、時間になると観戦席へと自動的に転送される仕組みになっている。VIP席なども用意されてはいるが、ツクモ達はまだ入る条件を満たしていないので、そこそこ良い席を確保して満足していた。試合の時間にはまだ余裕がある様で、それまでに少し暇を潰すつもりで、闘技場周辺をぶらつくことにした。辺りには、食べ物関係は勿論、くじ引きや当て物屋などの屋台がずらりと並んでおり、ツクモ達はぶらぶらと歩き回りながら屋台を楽しんでいた。

「はぁ…まさかツクモがくじ引き屋で特等を引き当てるとはな…。しかも闘技場限定モデルのレーザーガン。こいつ、こういう運だけはあるんだよなぁ…。」

「そんなに拗ねるんだったらカフィーも引けば良かったのに…。いやぁ、それにしてもいい買い物をした!しかもこれ、出力調整が可能らしいから街中で撃っても大丈夫なんやろ?最高かよ。」

「いや、街中では絶対に撃つなよ。あと俺はお前よりも考えて金を使うから、そういう博打はもう少し金が堪らないとしない。」

「てかツクモはエイムがガバってんだから撃っても明後日の方向にしか飛ばんでしょ。今のところ、俺は金が増える博打しか興味ないし。」

「いやそれもそれでダメでしょ、レーション。てか金が減り続ける賭事とかあんのかよ。」

「あぁ、ポケ○ンのスロットでこの前全部スった。」

「俺もドラ○エのカジノで殆ど持っていかれた経験あるわ。」

「はぁ…この子達は本当にもう。金輪際賭け事とか絶対やるなよ!ツクモ、レーション。」

「「あい。」」


 ツクモ達がそう騒いでる中、あたりに人混みが出来ている場所があった。何かイベントでもしているのかと近寄ってみると、三人組の男達が一人の女の子に対してしつこく付き纏っているようで、周りの人達は何を揉めているのかと見に来ている野次馬のようである。女の子の方は、ほとほと困ってしまっている様子で、疲れている様子だった。大男が痺れを切らしたのか女の子の肩を掴む、その途端に女の子の肩を掴んでいた大男の脳天に、低出力で放たれた光の粒子が直撃する。大男は掴んでいた少女の肩を離し自分の額に手を当てる。男の仲間であろう物達はすぐさま犯人を探し始めた。周囲はざわざわと騒ぎ始めている。そこにツクモが恐る恐るその広場に現れる。男達は、すぐさまツクモに近寄り注意を向ける。野次馬達はツクモと男達を囲むように集まり出した。周囲がツクモに注意が向いた隙を見て、レーションとカフィーは女の子を人混みの中へと一緒に紛れ込んでいった。

「あぁー、スミマセーン、友達とふざけてたら弾が当たったみたいです。」

「あぁん?なんだテメェ。」

「えっ?あぁ…俺ですか?ツクモと言います。」

「いや名前を聞いてんじゃねぇよ!本当に謝る気あんのかよ、人様に迷惑かけてんだよ!」

「んー?おかしいな?さっきまでお宅らも人様に迷惑かけてたとちゃうん?」

「ふざけてんのか?」

「ふざけてないよ?いたって真面目。」

「舐めてんだろ俺らのこと、あぁん?どうなんだよ!?」

「まっさかー。」

「テメェふざけんなよっ!!」


 大男がツクモにその拳を振り下ろそうとした瞬間、一発大男の膝に向けて、レーザーガンを発砲する。男は膝を抱えて飛び回る。キャラの体力バーは街中では、減りはしないものの痛みは感じるようであった。

「痛っ!て、テメェふざけんなよっ、おい、お前らやれ!!」


 連れの男二人もツクモに殴りかかるが二人ともツクモのレーザーガンに撃ち抜かれていた。

至近距離からのレーザーガンは、いくらエイムが悪くとも当たると踏んでか、ツクモは徐にレーザーガンを連射する。

「スンマセン、何度も何度も、手が滑べってしまいまして。」


 そう言いながらツクモは弾が切れたレーザーガンをリロードする。そして再び男達に向けて何発も発砲する。

「ふざけっ、イッて、おまっ、やめ、ろ!」

「手が滑ったとか言ってリロードして撃ってんじゃねぇかよ。」

「いゃ、可笑しいですねぇ?何でリロードなんかしてんだろうねぇ?」

「笑い事じゃねぇぞ、イカれてんのかテメェ」

「手が滑る滑る、本当スミマセン何度も、何度も本当に、HAHAHA!!」

「もう行くぞお前ら、こんなキチガイに付き合ってられるか!」

「「ヘッ、ヘイ。」」


 ツクモの異常な行動と言動について来れずに男達は、そそくさと逃げていく、その背後をツクモはレーザーガンの射程距離外に行くまで撃ち続けていた。ツクモを見る周りの目が非常に冷たいものではあったが、事情の知っている者たちは感心する人や、何かスッキリとした表情をした人達がちらほらと見えた。周りの野次馬達が散って行った後でツクモはレーション達と合流した。レーション達の隣には先ほどの女の子がいた。女の子の容姿は薄い茶色い髪にプラチナが混ざっていて、首元もまである髪を一部小さく編み込んで、後ろに黒のリボンで止めてあり。瞳は透き通った灰色で、見方によっては銀色にも見えなくはない。服装は黒と緑色の入ったサイバー風なジャケットを着ており、中のTシャツは黒いワンピースのようなものを着ていた。全体的にこれぞサイバー風な空気が出ている。ワンピースからはその胸が大胆に主張されていた。背丈はレーションやカフィーより一回り小柄だ。

「ありがとう、ね?君、何かお礼をさせてよ。」

「うーん、いや、ありがとうだけで十分だけど。」

「いや、素直にお礼は受け取っとけよ馬鹿やろ!」

「実際、直接助けたのはそこの二人だし、お礼は二人に言ってあげてよ。」

「「もう言ってもらった。」」

「そう言うことだから、君にもちゃんとお礼がしたくて…ダメ、かな?」

「いやダメではなけど、お礼かぁ、お願いする事とか思い当たらないしなぁ。」


 自分の今して欲しい事や、物がなので余計に何が欲しいかを悩んでしまうツクモ。(助けた者としてはやはりお礼を貰うべきだろうか?)と考えながらも答えは出ぬまま、最終的に頭に浮かんだのがチェッカーへの借りを少しでも返す事だった。

「あっ!それならチェッカーって人に会ってくれるかな?」

「えっ?チェッカーさん、ですか?」

「知り合いだった?」

「いえ、全然、初めて聞きました。」

「ならちょうどいい、彼は情報屋ギルドの「スクープキッド」って所のギルマスなんだけど、そこで俺の名前を出してくれたら多分色んな情報をくれると思うよ。ついでに知り合いとかいたら宣伝してくれると助かる。」

「わかりました、でもなぜ?」

「まぁチェッカーには貸しがあるから、宣伝くらいしてやらないと。」

「えっと、はい、一様事情は理解しました。では、貴方のお名前を聞いても?」

「俺はツクモ、パーティー「クレイジーカレイドスコープ」のお飾りリーダー。」

「んで俺がカフィーで。」

「俺は、レーションです。」

「私は、シュリーです。」

「シュリー、だね覚えとくよ、じゃまたどこかで。」

「えぇ、またどこかで。」

「シュリー、どこー?」

「友達が呼んでるので私はこれで失礼します。」


 シュリーは、礼儀正しく頭を下げてそそくさと、自分を呼ぶ女の子の声のところへとかけて行く。その後ろ姿を手を振りながら見守るクレイジーカレイドスコープの面々であった。それからも闘技場周辺の観光は続き、時間が来るのを楽しみ待って居た。そこで意外な発見があった。「あった」と言うよりは「居た」の方が正し、耳の尖った人型、どこからどう見てもサイバー風なエルフの姿そこにはあった。

「あれエルフだよな?カフィー」

「セヤナ、エルフやな…ん?エルフ?」

「エルフですヨネ、何でパンクな感じのロボの世界にエルフがいるんですかねぇ?」

「レーションそこは気にしたら負けやない?いやパンク以外にもサイバー要素というか、宇宙関係の描写とかPVでしてたし、宇宙エルフという可能性はなきにしもあらずでは?」

「ツクモそうなると、触手とかクリーチャー系が今後出て来る事になるのではないだろうか?」

「そうですなレーションさん、もしかしたら今後宇宙に行く事になりそうですな。」

「宇宙船に乗って宇宙でどんぱちですか、宇宙船の操縦とかこれまた人が居りそうなシステムだな。」

「レーション、そこら辺は上手いことするでしょ運営が。」

「「そうだよな、なんとかするよな、運営が。」」

「五七五みたいなのやめい。」


 宇宙エルフの話から脱線して、今後のゲーム内容の考察をし始め、最終的に運営への期待と圧が強くなっていた。ちなみに宇宙エルフ以外に獣人や(フィーラ)という小柄で、耳部分がふさふさの毛になっている種族もいるようだ。急にファンタジー要素が強くなったと感じたツクモ達だった。

 それからさらに時間が過ぎての事だった、三人の画面にホログラムメッセージが届く。

ホログラムメッセージにはこう書かれていた。

 (間もなく、剣闘士の試合が始まります。会場の指定席へと転送致しますので、お手元で何か操作されているようでしたら、お手もの操作をおやめ下さい。)そして三人の頭の上に40と書かれた数字が表示される。

「おっ、転送カウント始まったみたい。」

「これ俺らは同じ席に飛ばされるんだよな?」

「多分そうだと思うぞレーション。」

「多分…カフィーの予想が外れたらカフィーのお金でシュワシュワ奢りな!」

「何故そうなる。」

「俺は別にいいから、そゆことで。」

「それじゃカフィーの予想が当たったら、ツクモが奢れよ。」

「おk。」


 ツクモ達が賭け事の話合いが終わる頃にカウントダウンが終わり闘技場の指定席へと転送される。闘技場の内部は中央の広場は機体を存分に動かせるように縦横共にかなりの広さがあった。ツクモ達の席は中央の一番見晴らしの良い席で、隣同士の席だった。

「賭けは俺の勝ちだな。」

「クッソ、賭けなんかするもんじゃないな。」

「ほれほれ、早く俺と飲み物の分注文しやがれツクモ。」

「あいあい。」


 足が車輪になっている人型のロボがツクモの目の前に現れる。ツクモはロボの持っているトレーのようなボードを操作して三人分のキールエール(シュワシュワ)を注文し、レーションとカフィーに渡す。

「今日で二回目だなこれ奢るの。」

「賭けをしたお前が悪い、俺は別に賭けをしようとか言ってないしな。」

「返す言葉もございません。」


 ツクモは小さく肩を萎めエールをズズッと啜る。エールのつまみに、えんどう豆と砂肝を追加購入して宴の準備をしているツクモ、レーションとカフィーもツクモが追加注文した料理に手を伸ばし口に運ぶ。

「よし、準備完了、にしても俺たちやってる事って…結構オッサンじみてないか?」

「「オッサンで結構、美味いものが食べられればそれでいい。」」

「さいですか。」


 ツクモ達が宴会の準備を済ませて数分後、実況が喋りだす。

『レーディース&ジェントルメン、これより始まりますは、この闘技場の目玉!ミスター闘技場の試合にお集まりいただきありがとうございます。私、実況を務めます闘技場実況系ギルド、「シーラス」のメンバー、ザルチと申します。さぁ!前置きはいいとして早速選手入場と行きましょう!東ゲートから現れるは、紅の機体、それを操る我らが「KING」ミスター闘技場こと、ジーク!!!』

「「「オオオオオオォォォォォ!!!」」」

「ジーク!今回も派手にぶっ壊してくれよ!!」

「ジークさーん!応援してまぁぁす!」


 ジークという男が紅に輝く機体に乗り東ゲートから登場すると、観客席から歓声が湧き上がる。ツクモ達はその勢いに潰されそうな感覚を覚える。ジークの乗る機体は剣闘機と呼ばれる機体で、普通の機体と違い、闘技場の場でのルールに反ってカスタムされている。今回は軽装甲機体だけという被弾ダメージが上がるだけと比較的優しいルールだ。厳しいルールとしては素手のみなどのルールが挙げらる。ただただ絵面的にも厳しいルールだったりもする。ジークの乗る紅色の機体は高火力が出るバスターソードを一本しか、装備していないシンプルな機体だ。


『さぁ、西ゲートからは、その甘いマスクで数多くの女性達を魅了、そうしながらも双子の愛は不滅、腐女子一同は発狂もの!お互いの息があった連携プレイで敵を狩る、兄のフーレンと弟のシーレン。そして今回、ミスター闘技場への挑戦が21回目にもなる挑戦者二人、これまで10勝10敗、今回で挑戦21回目!これに勝てばミスター闘技場の壁まであともう少し、さぁどんな闘いになるのか!』

「「「キャァァァァァ!!、フーレン様ァァァァァ!!!」」」

「「「シーレン様ァァァァァ!!こっち見てぇぇぇぇぇぇぇ!!」」」


 フーレンとシーレンという兄弟が西ゲートから姿を現すと、ジークに負けず劣らずの歓声が聞こえて来る。フーレンとシーレンはジークと違い女性ファンが多いようだ。特に『腐』のつく女性方や、お姉様気質の方々に人気があるようで、周りの男達は少し引き気味であった。

「さて、これより闘技場のルール説明いたします。まずは本試合のルールから。今回は、軽装甲機体での戦闘という事で高火力な武器で押し切られたら一瞬でHPが溶けるという事です。そして、それをどう上手く回避して相手に高火力をぶつけるかが肝です。本闘技場では2対1、3対2などの一人までの、人数オーバーが許されています。そのかわりHPが少ないなどのデメリットもありまが、そのデメリットを背負いフーレン兄弟は自身の機体をどう生かすのか!そしてフーレン兄弟のコンビネーション技を、我らがジークはどういなすのか!今回も目が離せない試合です!」


 今回は2対1の勝負で一見フーレン兄弟に分があると思われるが、デメリットもあり2対1の場合数の多い方が本来の性能の半分しか出せないようで、装備的にはジークの武器が火力型で押し切れるとも言える。フーレン兄弟の機体は見た目が似たような機体で、この場合ペアルック機と呼ぶべきだろうか、そんな機体が二機並んでいるが性能はまたっく別物である。色は深緑がフーレン、藍色がシーレンの人型の機体で、犬のようなヘッドに、フーレンは単眼のメインカメラを付けて、腕にはシールドが付いており、右手には刃先に高熱を帯びたショーテルのような武器を持っている。シーレンは犬のようなヘッドにデジタルカメラを、左手にライトビームガンと呼ばれるハンドガンタイプのビームガンを装備し、左腕のメインウェポンにビームソードを装備している。

「今回はどんなコンセプトなんだ?フーレン兄弟。」

「よくぞ聞いてくれた我がライバル、今回は手数の多さで貴様を翻弄し、とどめを刺す。これで貴様を倒し、今度こそ我らが本物のミスター闘技場になる!」

「あっ戦法教えちゃうんだ、それに確か前回は、牛と馬のえーと…火力増し増しの機体だっけ?」

「そう、前回は兄ちゃんがサポートでポカらかしたからね、今回は、僕が兄ちゃんのサポートについてるよ!」

「おぉぉ、我が愛しの弟よ、我がライバルに戦略を教えるとはなと優しい、流石は我の弟よ!」

「あぁハイハイ、仲良いいことは良き事で、さて、気を取り直して…今回も派手にぶち壊してやるよ!ホモ兄弟!」

「あぁ、かかってくるがいい!我がライバル!!」


 ジークがバスターソードを構え戦闘態勢を取る。フーレン兄弟もそれに合わせて陣形を組む、シーレンが先頭に立ちその右斜め後ろにフーレンが控えている。双方の準備が整うとデジタルカウントダウンが始まる。観客は皆一斉ににカウントをとる。

「「「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」」」

『バトル開始!!!』


 実況の掛け声と共に双方が走りだす。先に仕掛けたのはシーレンだった。走りながらライトビームガンを連射する。その全てをジークは避けながらシーレンに向かいバスターソードを振るう。それをフーレンが横からシードで防ぐ。

「我が弟にその「でかい物」を突き刺そうとはもしや貴様!我だけでなく弟までも貴様の手で辱める気か!ケダモノめ!弟の貞操は我の物だ!」

「人聞きの悪い言回しと、勘違いをするな!!馬鹿ホモ兄貴が!」


 周りの客はもう聞き慣れているのか男性陣は苦笑いを女性陣は、様々な反応をして居た。自分の妄想に耐えきれえず昇天するものや、試合そっちのけで、ペンを持ち自分の画面に向かって「何か」をひたすらに描く者たちがいた。ツクモ達は、乗りには乗れる気もしないが、精神衛生上良く無いのでやめておく。

 それと気が抜ける会話で気分が削がれたり、フーレン兄弟の見事な連携プレイでジークを翻弄したり、それを防ぎ切り反撃をするジークなどの熱い光景を見せられたりと、気分が昂ったり、緩くなったりする不思議な試合がしばらく続いた。

「ホモ兄弟、お前らまたこの短時間で強くなってないか?」

「あぁ、そっ言ってもらえると助かるよ我がライバル、貴様を倒すためにさらに此処で我が弟と共に鍛錬を重ねたからな!」

「ライバル…か……知ってるかフーレン、漢って生き物はなぁ、ライバルが強くなると熱くなるんだよ!負けたくないからなぁ!」

「フハハハハ、そうだろうよ!我もその口だ!当然我が弟もな!」

「そうだね兄ちゃん!」

「それがどうしたというのだ?我がライバルよ!」

「こっから本気を出させてもらうって事だよ!ついてこいよ、ホモ兄弟、いや、俺のライバル共!!」

「あぁ、何処までも、ついていってやる!我がライバル!!」

「ウォォォォォォォォッ!!!!」


 持っていたバスターソードを地面に突き刺し、ジークが吼えるように叫ぶ、それは闘技場全体を熱狂させるほどの雄叫びを。すると雲が太陽を覆い風が強くなり始め、ジークの乗る紅色の機体はさらに真紅に染まり微かに光を放っている。スラスターは紅く染まり鮮血のマントの様だ。

「悪いな、この機体は本来使ってる専用機体じゃ無いから、専用機体ほどとはいかんが、それでもコイツはやるぞ、油断すんなよ!」

「あぁ知っている、それでも貴様がそれを見せたという事は本気で熱く昂っているという事、我は嬉しぞ!ジーク!!」

「あと、この機体はスラスターをマントに見せるために相当な量のエネルギー容量食うんで、長い間も持たんからさっさと決めさせてもらう!」

「それはいかんな、なら我らも全力で答えよう、さぁ!本番を始めようではないか!!我に勝てたら特殊なマントでもくれてやるぞ!」

「マジか!さらにやる気が出る事を言ってくれるじゃねぇか!」


 ジークの乗る機体は今まで以上に、パワー、スピード共に、桁違いに強化されておりフーレン兄弟を襲う。だがフーレン兄弟も巧みな連携技を駆使し、ジークの猛攻を防ぎ、攻める。それは獣同士の死闘にも見え、会場にいる観客は未だに誰一人として熱を下げる事を知らない、無論ツクモ達も拳を握りしめるくらいに熱くなっている。ジークの真紅の拳は、フーレンの盾を掻い潜り、シーレンを闘技場の壁まで吹き飛ばす。シーレンの機体のHPが無くなり動かなくなる。

「クッ!!よくも我が弟を!」


 ジークが振り上げた右拳がフーレンを襲う時、フーレンが盾でジークの右拳を弾き飛ばす。ジークはそれで体勢を崩し体勢立て直すため一旦引こうとする。その隙を逃さず、すぐさま右手の高熱を帯びたショーテルがジークのコックピットを狙う。

「取った!我の勝ちだァァァァァ!!」

「それはどうかな!!」

「なっぁ!?」


 ジークは自身に向けられたショーテルを足で蹴り飛ばす。そして観客達がお決まりかの如くジークと一体になり同じセリフを叫ぶ。

「「「轟け!俺の拳が今!真紅に染まる!天地を撃ち、竜になる!喰らえぇぇぇぇぇぇぇ!!『炎竜拳!!』ダアァァァァァ!!!」」」

「フッ、認めよう今回は貴様の勝ちだが!次こそは我らが勝つぞ!!フハハハハ!!」

「あぁ、お前が俺のライバルでいる限りいくらでも相手をしてやる!」


 ジークの真紅に染まる鉄の拳がフーレンの機体の胴体部分にあるコックピットを貫く。

次の瞬間フーレンの機体は爆散しジークも爆煙の中に消える。しばらくの静寂が訪れ、爆煙が晴れる頃、真紅に染まる機体が天に向けて拳をかざす。太陽を覆っていた雲が晴れ天からジークに向けて光が降り注ぐ。観客達は最初の歓声よりも、より大きく歓声を上げる。無論ツクモ達もだ。

『これぞ!これこそ!我らが誇る最高の英雄!KING!チャンプ!ミスター闘技場ダァァァァァ!!!この試合は動画にもあげられていますので何時でも、みなおすことが見直すことができます。是非!皆さんの知り合いにも見せてやって下さい!!』

「「「ウオオオオオオオォオオオオオオオォオオ!!!」」」


 会場の熱はは収まることなく試合は終わった。

闘技場内部の廊下ではツクモ達が話していた。

「いやぁ、良かった良かった、凄い熱い試合だったねぇ」

「あぁ、漢のロマン、マシマシの試合だったな、にしてもあの、覚醒スキルチートじみてるなぁ。」

「俺はもうあれ見て限界駆動をレベルMAXにする事を決めたなぁ、カフィーはどうする。」

「俺もアレしたいから上げるつもり、本当カッコいいよなぁ。」

「わかる。炎竜拳!!って。」

「「いやそっちじゃねぇよ、子供か!!」」


 三人が楽しそうに話してると、ツクモの背後から嬉しそうな声で誰かが話しかけてくる。その声は聞き覚えのある声だった。

「いやぁ、ちょっと恥ずかしいけど、そんなに楽しそうに俺の必殺技を言ってもらえると嬉しいなぁ。」

さっくりキャラ紹介


主人公 霜田奏雨 (しもだかなう)

あだ名うーちゃん

キャラ名 カフィー

 ギルド『クレイジーカレイドスコープ』のメンバー、七瀬と香月とは、中学校からの友達で、二人といるせいか、たまにおかしなスイッチが入ることがある。

機体 バルバトスのような物理特化で機動力のある機体 正式名称 未定

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