俺は・・・・・・・雑魚かもしれない
すいません読みづらいとおもったので投稿していた話をまとめました。
「・・・・・・・・・直人が異世界から帰ってこれる?」
そんなことが可能なのか?
だって、こっちの世界では直人は寝たきりで、意識もない存在なのに・・・・・・・
あまりに現実離れした話に、僕は緊張で喉が渇いてしまい、ペットボトルに入っているお茶を飲もうとしたけど、手が震えていてキャップがおもうように開けれなかった。
お、落ち着け、落ち着くんだ。
僕は自分に言い聞かせて、ゆっくりと、冷静に頭の中を整理する。
異世界から戻るってどうやって?
そもそも違う世界じゃないか。
この広い宇宙のどこかに直人のいる星があるなら、可能性としてはあり得るのかもしれないが、本当にそうだろうか?
もしかしたら、別の次元にいる可能性だって大いにあるとおもう。そしたらもう無理じゃないか・・・・・・
だけど、しばらく考えていくと、僕は直人の言っていることが、実は全然不可能ではないことに気が付いた。
そう、そうだよ!
僕は当然の事実を忘れているじゃないか!
直人はそもそも、地球から異世界に行ったんだ。
ならその逆は不可能じゃないはず。
それに、肉体だってのこっている。
もし、意識かもしくは魂と呼ぶべきものさえ戻ってくれば直人が生き返るかもしれない。
ああ、なんていうことだろう、僕は興奮して座っている椅子を勢い良く倒して立ち上がった。
「そしたら、また直人と会える!?」
思わず声をだして叫んでしまう。
家にいる家族に聞かれていたら、どうしたのかと心配されてしまうだろう。
けれど、今はそんなこと気にならなかった。
なによりも、もう一度直人に会える喜びの方が何倍も上回る。
これは、ずっと僕が願っていたことだ。
直人にもしまた会えたらどんなに幸せか、一日たりとも思わなかった日はない。
僕は直人に急いでメッセージを送る。
『もちろん、君が戻ってくるためならどんな協力でもするさ! ただ心配が一つある。魔王を倒すと君は言ったが、それは可能なのか? もしかして、君も異世界転生のお決まりの例にのっとり最強チートをなにかもっているのだろうか?』
返事はすぐに返ってきた。
『協力ありがとう、感謝する。 魔王を倒すことが可能かはまだ分からない。一応、転生した時にいくつかの能力は手にいれた。君と通信しているのも、その能力のひとつだ。ただ君の言う最強チートはもっていないよ。むしろその逆だとおもう』
たしかに、日本にいる僕とこうして連絡できているだけでも十分チート能力だ。現にそのおかげで、直人はマヨネーズでお金を稼ぐことが出来たのだから。
しかし、逆とは一体どういう意味だろうか?
僕は気になりどんどん読み進めていく。
『俺のいる世界は、ゲームのようにレベルの概念が存在し、基本一人にひとつは職業というものがある。この職業次第でほとんどその人の強さが決まるといっても過言ではない。そして俺はなんと珍しいことに同時に三つの職業を手にいれることができた』
おお、と思わず僕は感嘆の声をあげる。
一人ひとつの職業を複数持ちなんて、最強じゃないか。
それなら魔王だって楽々倒せてしまうんじゃないのかと、僕は楽観的な希望を抱いてしまったが、その望みはすぐに、直人のメッセージにより打ち砕かれてしまった。
『こんな風に言うと、一見滅茶苦茶強いように聞こえてしまうかもしれかいが、それは大きな間違いだ。情けないことに俺が手にいれた職業は、持っているだけで世間から笑われる三大不遇職と呼ばれるものだったのだ。戦闘に一切つかえないその職業のせいで、いまの俺ではスライムとゴブリンしか倒せない。
だが安心してくれ。俺は地道にモンスターを倒してレベル上げをすることにした。時間はかかるかもしれないが必ず魔王を倒してみせるさ』
僕は最後まで読み終わり、膝から崩れ落ちてしまった。
正直の感想を言うと、直人に悪いが、たぶん魔王を倒すの無理だとおもう。
なんだよそれ、せっかく職業三つも手にいれたのに、その全部が不遇職だなんて・・・・・・
僕が読んでいる異世界転生系の漫画の主人公は転生した直後から最強級の力を手にいれていたのに。
こんなのあんまりだ。
持っているだけで笑われるような、不遇職が実は最強でしたみたいなオチがあるわけない。
僕はひどく心が沈んでいくのを感じながらも直人にメッセージをおくる。
『友よ、やはり無理をして日本にもどってくることはない。魔王と戦って死んだら意味がない・・・・・・・ちなみに、一応聞いておくけど、どんな職業なんだい?』
『俺は知りもしない世界で死ぬより、故郷に戻りたい。だから挑戦だけはやめないつもりだ。一応教えておく、テイマーと寄生ニートと遊び人だ。どれも非戦闘職で役にたたない、助けてくれ』