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雪空の出会い

マッチを売ってる少女に誰も見向きもしなかった。

彼女の雇い主は、

マッチを今日も売らなければ、

少女を奴隷商に再び売るのだと言っていた。


だから、少女はなんとしても売らなければならなかった。


確かに、雇い主は人使いが荒く、

虐待もする。


体はアザが日ごとに増えてくる。

だけど、食べ物は与えられ、

寝床があった。


次に奴隷商に売るということは、

実験体にされるという言葉がニュアンスとしてあった。

それか、試し斬りをするための倒木にされるか?


優しい世界があれば、

目には涙を浮かべる、

歯を、くいしばっていても、

目の前が真っ暗だった。


マッチがあれども、

それは売るものであって、

暖められないもの


少女の心のうちは

空を見上げた。


涙が頬を冷やして痛い。

このまま、凍死さえすればいいと少女は思った。

誰かに弄ばれるよりも、誰かのおもちゃになるよりも、

死ぬのなら、自然の中で死にたいと……彼女は思った。


道端に狼が建物の間を抜ける。

しかし、すぐさま人間になる。

コートを来た背の高い人間が、

月夜の影に見守られて

少女に向かってきた。


「どうされましたか?」


紳士的な男は穏やかな口調で、

されども、目は笑っていなかった。

それでも彼女は答える


「私を……食べてもいいよ……」

「そこは普通でも怯えて逃げるところでしょうに」


人狼だ、

だけど、

誰かの意思の上で

石を投げられて殺されるよりは

自分の意思で殺した方がマシだと

少女は考えていた。


雪の中の風が

一段と

一段と

激しく

少女の心を追い詰めていくように

それしか選択がないかのように

それでも、少女は自殺というものが

善きもののように思えた。


自分の意思で殺すということ、

それならいっそ、

誰にもこの体が残らなくていいように


少女は人狼の耳に小さな声で話しかける


「マッチで焼いて食してください、

人狼さんも温かい食事が与えられますので」


だが、男の口からは血がだらだらと流れると

男の穏やかな口調が激しいものへと変わってゆく


「ちっ、アイツか、はめやがったな!」


人狼の肩には矢が刺さっていた。

暗闇からの奇襲に穏やかな紳士だったものが

狼の姿へと変わってゆく


「覚えてろ、俺をはめたことをな!」

「えっ…えっ……」


少女は何があったのかただ呆然とするのみで

狼は、その台詞をはいた後、

立ち去ろうとした、

だが、


先程の街路樹へと逃げていった後、

剣の刺さる音が聞こえ、

狼の駆け出した音は消える。



「すまなかったな」


少女の目の前には

黒の三角帽子に、

黒のコートを来た男が

背中にはボウガンを

懐には短剣を忍ばせて

立っていた。


少女はお礼を言うのだろう


しかし、


少女は反対に、

矛盾したことを言った


「なっなんで……助けたんですか?私の父を殺したんですか?」


嘘も含めた、

その方が少女を

人狼として殺してくれるのだろうからという理由で


もう既に理由なんてものはどうでもよかったかもしれない。

ただ、もうこの世には救いというものが

ないのだと知ってるのだから。


少女の頭の中では

マッチのようにホワホワとした

暖かなものが浮かび上がる。


その暖かなものが、

何だったのかが

はっきりしない、

はっきりできないから、

すっきりしない。


なぜ、だろうか、

少女の目には

涙がポタッと

その一粒が


雪の中の土に染み込む、


三角帽子の男は

銃を下ろし、


羽織っていた、外套を少女の背中にかける。

そして、一言、


「生きたければ、ついてこい」


そう言って、立ち去っていく。

赤ずきんの少女は

冬空に降る雪の足跡を

追うようにして、

歩いていった。























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