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私はもうすぐ終わる。
白いコンクリートの壁に沿って私は落下する。
朝出がけに六才の弟の「お姉ちゃん早く帰ってきてね!」の声が鮮明に鼓膜に残っている。
お母さんの卵焼きが味覚と共に蘇る。
お母さん弟、少し間を開けてお父さん、掛け替えのない存在。
些細な出来事の集まりが沢山沢山去来しては行き過ぎる。
毎日を生きることは、出来事の記憶を再生する余裕などなく次々に新たな場面が繰り広げら上書きされる。
こうして日常の時間を止めると、こんなにも生きる中身は濃厚で多種多様の出来事の詰め物だったんだと落下しながら振り返る私。
走馬灯の様な浅い記憶の上澄み液に浸りながらもう直ぐ私は終わる。




