ティータイム。
ここは白い悪魔ホワイトアウトが途切れる事のない不思議な盆地。
阿蘇の山奥に誰も知らない不思議な盆地がある。
その中に山小屋はある。
小さな小山でも人が迷う事はよくある。
山奥となれば人知を超えた摩訶不思議があってもおかしくは無いだろう。
Googleアースで上から見たら…。
そこはただの山奥の樹木の密集した盆地に見える。
という事は幻術的なものが醸し出すホワイトアウトなのかも知れない。
聴覚視覚も閉ざされてしまう猛吹雪の中でも山小屋の中は別世界。
心地良いクラッシックが流れ、部屋真ん中の大きなストーブが屋内隅々に行き渡る温風を届ける。
英国風のテーブルにお茶を運ぶのは地獄の執政官 “夢魔公爵ギヒノム卿”。
彼は英国風の仕来りを非常に大事にしている。
勿論、ティータイムは重要。
この時間は楽しみであり慄然とした仕来りの場である。
「さ、椅子に座って!」
とギヒノム卿は博美を促し年代物らしい茶器をテーブルに並べてストーブの上の鉄瓶の湯をティーカップに注ぐ。
フレバーはアップルティだろうか。
甘い林檎の香りが仄かに漂う。
今日は日曜日。
博美は15時のお茶の時間までと役目を決めていたのでお茶が終われば友達と映画を見に行く予定にしている。
アップルティを飲みながらあの雨の日以降の学校生活を振り返る。
あの日から偽善者は博美に纏わり付かなくなった。
教室での不埒な行動も博美の視線を気にしてゼロになった。
それは博美の威圧からだけでなく、あの偽善者らは何故か人が変わった様にまるで善者の振る舞いを普通に行う気持ちの良い学生に生まれ変わっていた。
不思議だあんな性根の腐った人間が生まれ変わった様に変化するなんて…。
ただ博美の内側に存在する櫛名田比売が思念を共有して教えてくれている。
これは不殺生の業滅の刀、ゲイボルグが齎す邪気を祓い滅する力の効果。
斬られた人間は業・穢れを祓われ濁る前の赤ちゃんの様な無垢な存在に洗い清められる。




