ホワイトアウト。
ホワイトアウト!
猛吹雪で視界ゼロ。
目の前が白い壁状態で何も見えない。
白い壁の中に手を伸ばす。
すると手に触れる突起物。
ドアノブだ。
〈ガチャリ〉と開けてドアを引く。
猛吹雪で押されながらも何とか体の入る隙間を開けてドアの中に滑り込む。
〈バターン〉と強風に押されてドアが閉まる。
ドアを後ろ手に立つのは栗原博美だった。
博多駅前広場に現れた格好そのままで漆黒のマントに身を覆っていた。
雪を払いながらマントを脱ぐ。
「もうすぐお茶の時間だよ」
「遅刻するかとドキドキしたよ」
と部屋の真ん中にある大きなストーブの上の鉄瓶の蓋を開けて沸騰具合を覗きながら話す。
その英国紳士風の男は博多駅ビルの3階から階下の博美を見ていた男だ。
「どうだい、不殺生の業滅の刀の切れ味は?」
不殺生の業滅の刀はゲイボルグが博美の所有となった時から刀に姿を変えたもの。
人の中の魔だけを滅するその効果は元のまま維持している。
博多駅前で斬っていたのは人に巣食う業・穢れであり人は傷付かない。
切り結んだ時の血飛沫が多いのは業・穢れが多い証拠となる。
マントを脱いだ博美はゲイボルグを帯刀していない。
ゲイボルグと博美は絆を結んだので博美の身体にゲイボルグは一体となっている。
この英国紳士風の男は地獄の執政官 “夢魔公爵ギヒノム卿”。
「ゲイボルグは使い手を選ぶと言うが身体に同化する程馴染むのも珍しい」
「君は選び選ばれたんだね」




