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エッセイ『中二な病』から心に浮かんだよしなし事2【こじらせた青春のお話】

作者: 鋼鉄のざる

昨日、一度も話したことのない会社のおじさんから、

「お、ズボンのチャック、開いてるぞ!」

と指摘されました。


こんにちは。社会の窓も『どうせ知将』の下ネタも、大全開。

『鋼鉄のざる』です。



さてさて、エッセイ『中二な病』から心に浮かんだよしなし事をつらつらと書いてみよう第二弾!

今日は当時(中学生)の私とて、『光の戦士』を笑えぬほどにこじらせていたというお話。


『中二な病』の中で、『光の戦士(疑惑)』の片思いの相手にフラれた件をちらりと入れたのですが、実はこの時、不可思議な現象が起こっていたのです。


名付けるなら、『ダブルフラれ』ですかね。

その名の通り、その日私は二回、フラれました。



一つ知っておいてもらいたいのは、私が女子として、全くモテるタイプではなく、自分でもそれはまあ自覚していた、ということです。

つまり、告白してフラれるのは、薄々わかっていたのです。



当時の私は、暴れん坊将軍をリスペクトしていまして、『いつでも誰にでも等しく親切に。そして武士らしく』をモットーにしていました。

結果、『友達というものは、タイプや性別を越えて対等につきあえるのが望ましい』と考えて行動していました。

しかも私なりの謎の信念もあり、確かに性別関係なく友達は多かったものの、『こいつ、アホやぞ?』と思われていたとは思います。


そういえば、こんなことがありました。

ある日、腹痛で早退することになりました。

それを見た友人達(ウェーイな男ども)が「あれ?ざる、早退すんの?」と聞いてきたので、「腹痛いんよ」と答えたのです。

すると、やはりそこは男子中学生。「おいおい、うんこか?」と騒ぎ立て始めました。


いや、別に便意はなかったんですよ。

ただの腹痛です。

でもね、ちょっと面倒くさくなっちゃいましてね。


「おうよ!うんこじゃい!うんこで帰るんじゃ!!」


と啖呵を切ってしまいました。

「マジでうんこで帰んのかよwww」

爆笑する男子中学生達。

「そうよ。なんなら、これから私を『うんこ』と呼べ!!じゃあね!」

まあ、そのようなことを貫禄たっぷりに言って、のしのしと帰って行ったような覚えがあります。



はい。

その日から、私のアダ名は『うんこ』になりました。


もうね。見事な自業自得です。

でも、全然問題ない。

何故なら、『うんこ』は大事な存在だと固く信じていたからです。

むしろ、『うんこ』を嫌がり恥ずかしがる周囲の人間達を、「馬鹿め」と思っていました。

だって、『うんこ』をしない人間などおらず、『うんこ』は人にとって不可欠でなんら恥ずべきではない存在だからです。

もはや、私は『うんこ』教教祖にして信者といってもよい人間だったのです。


流石に、「うんこー」と呼ばれて「なんやー?」という日常会話を続ける私達に、先生が私を呼び出しました。


「お前、『うんこ』って呼ばれてるけど、大丈夫か?」

「え?大丈夫ですけど」

「嫌じゃないのか?」

私は、ハッと鼻で笑いました。

「何を言ってるんですか、先生。そもそも皆『うんこ』を忌避しますが、それがおかしいんですよ。『うんこ』が出なければ人間は死んでしまうんです。それほど大事な存在なのに、どうして恥ずかしいもののように扱われなければならないのか!私は、『うんこ』と呼ばれても、何も感じませんよ!」


今ならわかる。

うんこが忌避されるのは、臭いし汚いからなんや。

当時の私は、こじらせ過ぎて、大事なことが見えてなかったんや……。


結局先生は、『なんや、こいつ』というような目で見て、「そうか……。嫌だと思ったら、ちゃんと言えよ」と、私を諦めました。



ね?フラれるでしょ?


中学の卒業式が終わり、好きだった『光の戦士(疑惑)』に告白して「ごめん。そういう風には見れない」と言われたのは、当然の結末だったわけです。


その後、傷心の私は、色々友達と写真を撮ったり、ウェーイしたり、中学最後の一服だぜとかなんとか言うやつらと、いつものごとく男子トイレでくだらぬ事を話したりしながら、過ごしていました。

すると、一人の仲の良い男友達が、私を校庭に誘いました。



二人で少し歩いていると、彼がおもむろに切り出します。


「ざる……、卒業だし、俺達、別れようぜ」


「…………えっ?」



私ら付き合ってたんか!?

知らんかったぞおおーーー!!!


思い返してみれば、確かに私は彼とほぼ毎日校内デートを敢行していました。


いつも彼が、「おい、ざるー。デートしようぜー」と誘いに来て、「おー、いいぞ、行くか!」と二人で校内を練り歩くのです。

彼は、必ず私の肩に手を回してくるので、私も同じように彼の肩に手を回し、『我らは仲間!』な状態で肩を組みながら放課後の校内をそぞろ歩いていました。

そうして、肩を組んだまま校庭の向こう、瀬戸内海に落ちる夕日を、二人でただ眺めてた。



あれ、デート(ガチ)だったのかーー!!

言ってよおお!

言ってくれれば、あの夕日の記憶が『男同士の友情』から、『いい雰囲気のデート』にイメチェンしてたのにい!!

そうと知ってたら私も、肩を組むんじゃなく、おとなしく肩を抱かれてたわ!


つーか、自他ともに公認の『うんこ』な女子と付き合うとか、お前、すげーな!

マジでリスペクトだわっ、馬鹿やろう!



友人の「別れようぜ」の意味を理解し、「…………え!?」となった私の思考は、このように千々に混乱しました。

ただ、へたれな私です。混乱しつつも、「え?付き合ってたの?」とは言えず、


「お、おう……わかったわ……」


と、別れ話を了承。



こうして、中学の卒業式の日、私は二回フラれたのでした。




『中二病』とはよく言ったもので、中学生は魔の時代です。

まさに、黒歴史量産の時代。

私のような、オールウェイズお馬鹿な人間なら、なおさら真っ黒な時代だったのではないでしょうか。


ちなみに、当時のこじらせまくった『うんこ』の教えは、暴れん坊将軍リスペクトと共に、未だ私の根底にあります。



そう。『うんこ』は、大事なのです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 中学の繊細な?思春期を書ききっているところが、すごいです。私の学生時代は、学業で暗黒時代だったので… 鋼鉄さまの竹を割ったような性格がわかるような作品だな、と思いました。 ご一読ありがと…
2018/10/27 23:53 退会済み
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