召喚されてしまった…
2018年4月30日、わし、安田隼人は異世界と呼ばれるところに召喚?された。
今まで、いろいろな本を読んできたから、異世界に来てもなんとなく今後何を言われるかも予測はできた。そのときの気分次第で、ミステリー小説も、推理小説も、ラノベも、ホラー小説も、まぁ、いろいろ読んできたのだ。すぐに思った。
テンプレだ。
と。
召喚されて、偉そうな人達に囲まれて、危機が迫っているとか言われて、
「貴方様のお力で、この世界を救って下さい」
って、お願いされた。召喚されたばかりではあったが、話の進み方がおおむね予測通りだったため、ある程度落ち着けていたわしは、
「この世界のことで、わしが気になっていることを詳しく教えてくれるのなら、考えてみる」
と、答えた。
そこからは、とりあえずその世界に関する本を読みまくった。魔物だの魔王だの戦争だの、そんなものよりも、[魔法]というものに心が惹かれた。
ラノベではもはやありふれたものになっている[魔法]
読むたびに、誰しも1度でもいいから使ってみたいものだなと考えたりするものではないだろうか?
それが、できる。
早速、使い方も調べた。しかし、使い方はわかっても、使えなかった。
魔力の調整がどうこうだの、使い手の性格が反映されることが多いだの、ある程度は理解することができた。
しかし、使えなかった。
そのことについて質問してみると、魔力の調整が上手くできるものに触れてもらい、魔力を解放してもらう必要があるとの事だった。(「独学で調べるその心意気、素晴らしい!」とか言われて、すぐにやってもらったが)
魔力を解放してもらったとき、魔力の流れ?とか、使い方?とか、調整?とかも、ある程度感覚で操作できた。
属性は、無だった。属性は全部で、火、水、風、雷、闇、光、無の属性があり、無属性は、使い手の個性や好きなもの、それに対する思いの強さ等よって、大幅に違うものになるという、他とは違った特徴があった。
そして、今回その使い手はこのわし。好きなことは読書。さぁ、どんな能力になるかな?と考えながら、いろいろ考えた。
火の属性を操る人は、炎を噴出したり、爆発をおこしたり、相手が剣を持っていた場合は、その剣を溶かしたりできるそうだ。
水の属性を操る人は、水をムチのようにしならせて攻撃したり、空気中の水分を利用していきなり水を顕現させたり、それを相手の頭の後ろで発動して襲うことで、呼吸を止めさたりできるそうだ。
風の魔法を操る人は、カマイタチのように鋭く切れる風の刃をとばしたり、竜巻をおこしたり、自分の背中に風をあてることで早く行動できるようにしたりできるそうだ。
雷の属性を操る人は、身体の反応等の行動を電気を使って早くすることで、身体能力の向上をしたり、電気を放出して痺れさせることで相手の行動を数秒止めたりできるそうだ。
闇の属性を操る人は、精神を壊し廃人にするような魔法を使ったり、煙幕をだしたり、呪いをかけたりできるそうだ。
光の属性を操る人は、光を照らせたり、精神に異常をきたしている人の精神を安定させたり、怪我を治したり、呪いを解くような魔法を使えるらしい。
そのときは、[魔法]が使えることには喜んだが、どうやったら元の世界に帰れるのかに頭を悩ませ続けた。
そして、ここ数日間は、単独で行動していた弱い魔物を少しすつ狩っていって、魔法を使う感覚を高める練習をした。
能力は、やっぱり自分の好きなものをもとにして考えていたものをイメージしながら、魔力を動かしたりして、やっと形になったかな?というくらいしかまだ身についていない。
能力の詳細は、まだ誰にも話していない。知られ過ぎると、自分の能力の幅が限定されてしまうという考えもあるが、それよりも、使ったときに周りを驚かせられないといった興味やイタズラ心が働いた結果でもある。
そして、魔法の名前のように、いつのまにか能力にも名前がついている事に気がついた。
能力名―略奪する模倣本