第2話:まずは自己スペックの確認、と諸々の説明
スペック確認は重要(出来るとは言っていない)
それから3分くらいorzしてたが、実際そこまで落ち込んでたわけでもないのでさっくり復活した。
「さて、来てしまったものは仕方がない。よりによって今日じゃなくていいじゃないかと思わないこともないが。ゲームのスタートダッシュできなくなっちまったじゃないか
で、俺のスペックってどうなってんだ?」
そうつぶやいて、未だに浮かんでいた俺のステータス画面を覗き込んでみる。
名前:タケゾー・ヤマト
性別:男
年齢:26
職業:傭兵
体力:
魔力:
筋力:
瞬発力:
持久力:
知力:
忍耐力:
スキル
備考:現在能力最適化中、しばらくお待ち下さいby神様
「…いやなんだこれ」
意味がわからなかった。なんだよ現在最適化中って。
というか神様って…死亡転移とか転生とかじゃないよなこれ?テンプレでよくある白い部屋で神様と、みたいなこともなかったし。
とかなんとか悩んでいると、備考欄の文字が『最適化完了、再起動してください』に変わった。PCかなんかかよこのステータス画面は。
そもそも閉じ方がわからんのだが。画面のあちこちをつついてみるが透過するだけで何もおこらない。閉じるのも音声入力か?
「ステータス・クローズ」
お、消えた消えた。再起動ってことはもう一回出せばいいのかね?ステータスオープン、と。
名前:タケゾー・ヤマト
性別:男
年齢:26
職業:傭兵
体力:184
魔力:∞
筋力:2525
瞬発力:6343
持久力:80010
知力:カンスト
忍耐力:石の上にも三年
スキル
異世界転移パック
ウェポンマスタリー
ウェポンクリエイト
備考:ぶっちゃけスキルで自由に変えられるから数値は適当です。いろいろ説明したいので覚悟ができたら僕を呼んでくださいby神様
「なめてんのかコラァ!?」
なんだよこのふざけた数値!?体力184?非通知番号じゃねぇか!体力2525?ニコニコしてる場合じゃねぇってんだよ!瞬発6343?俺はムサシさんじゃなくてタケゾーさんだ馬鹿野郎!持久の80010はよくわからんが…いやまて、はちまんじゅう?はちまんとう…やまんとう…ヤマトか!分かりづらいわ!下2つに関しては数値ですらないじゃねぇか!
ああもう、スキルも含めて直接問いただしてやる!
「覚悟もヘッタクレもあるかとっとと説明しやがれ神様コノヤロウ!?」
そう叫んだ瞬間、目の前が白く輝き出し、俺の意識は光に飲まれるように消え去ったのだった。
次に目を開けると、そこはテンプレ通りの白い部屋…ではなく、モニター室のようなところだった。
壁一面に無数のモニターが設置され、幾人もの人がそれを眺めている。いや、とても人とは思えない形状のナニカもいるな?
そんな室内を見回していると、背後から声をかけられた。
「やぁ、はじめまして。僕が神様です」
「人と会話するときに居眠りは感心しないぞ」
「いや、寝言じゃないから」
反射的にそんなことをツッコみながら振り向くと、そこには…えーと、なんだ、光の玉が浮かんでいた。
美形の青年とか僕っ子幼女とか白いヒゲ生やした爺さんみたいな、ステレオタイプなテンプレ姿を想像していた俺は、地味に驚愕していた。
「はっはっは、超越存在たる神が人と同じ姿をしているなんて、それこそ人間の傲慢の証だよ?」
「いやそこは俺もそう思ってたわけじゃないが、下等な存在に合わせるために近しい見た目で出てくるとかそういうことを想像してただけだ」
「他の人ならそうしていたかもしれないけど、君にそういう気遣いは無用かと思ってね?事実、地味に驚愕する程度で、明らかな上位存在に対してへりくだることすらしていない」
「俺は神を信じないし、自分より上だからといって上辺だけへりくだっても無駄な相手にへりくだる気はない。節穴持ちの王侯貴族とかなら話は別だが」
事実、明らかに俺の心を読んでる相手に、上辺だけへりくだったところでむしろ不快にさせるだけだろう。
だったら最初から平常運転のほうがなんぼかましだ。
「そんなどうでもいいことより、諸々の説明を頼む」
「仮にも神様捕まえてどうでもいいこととか、君は本当怖いもの知らずだね?
まぁいいや。まず最初に君が異世界に行った理由だけど、これは簡単。不運な事故だね」
「事故?」
「そう、事故。ああ、交通事故とかそういうのじゃないよ。
君の世界にもたまにあるでしょう?神隠しとか呼ばれる行方不明事件。君はそれに巻き込まれたんだ。
今回は、次元の壁に亀裂ができて、そこが異世界とつながった、ってパターンだね。他にも未来や過去、平行世界なんかにつながるパターンも存在するけど」
「つまりここはそういう平行世界や異世界を監視するモニター室みたいなところか」
「お、察しが良いね?そうだよ、ここは様々な世界を管理する部屋、そのうちの一つ。
君の元の世界や、迷い込んだ世界の管理をしている場所さ」
「なるほど、そのうちの一つということは、ここの他にも似たような部屋があり、基本的には一つ部屋の世界間でしか次元の迷子にならない感じか。
ついでに言うと、神様っていうのは一つの部屋の室長みたいなものであり、部屋の数だけ同格の神様が存在する、と見たが?」
「君ちょっと理解力高すぎない?まぁそういうことだね。で、君が一番聞きたい質問に答えるよ。
結論から言うと、元の世界に帰ることはできる」
「それじゃあ」
「まぁ待ってくれ。結論からって言っただろう?今すぐ帰すことは不可能なんだ。
今回のことは不幸な事故であり、君の不運が招いた結果だ。だから神が手を出すことはできない。
元の世界に帰りたいなら、君が自分の努力で帰る手段を見つけるしかない。そして、幸か不幸か、あの世界には帰る手段が存在するんだ。おっと、場所なんかを教えることはできないよ?存在の有無、ここまでがいわゆる『神託』に許される範囲だから」
「なるほど、納得は行かないが理解はできる。
運不運は別に神様がどうこうしてる結果じゃない、単なる個人の資質、才能の一種ってことか。
そして神様は世界の管理をしているだけであり、資質や才能はノータッチ、と」
「そういうことだね」
ふむ、納得行かないが納得するしかないな、これは。
さて、次の質問だ。
「異世界転移についての諸々はわかった。俺があの世界を冒険するしかないってことも。
そこで次の質問だが、あのふざけた数値とチート臭いスキルはなんなんだ?」
「そのチート臭いスキルのせいだよ、あのステータスは」
「は?」
「君のスキルの一つ、ウェポンマスタリーは、すべての武器を装備して扱うことができるスキルだ。そしてその「装備」には、使用者の能力も含まれる。
簡単に言えば、エクスカリバーを装備すれば、アーサー王と同じ能力を発揮できる、いや、君の素の能力値にアーサー王の能力をプラスした力を発揮できる、ってことさ。
故に使う武器によって、君の能力は大きく変動することになる」
「結局素のステータスも大事なんじゃねぇか、遊ぶなよ。
で、他のスキルは一体どんな効果なんだ?」
「まぁ遊んだことは謝るよ、ごめん。
で、他のスキルだけど、読んで字のごとく、異世界に落ちた人御用達のスキルパックと、武器作成スキルだね。
スキルパックの中に鑑定があるから、詳しくは現実に戻ったあと、自分で参照してみてね」
「武器作成ねぇ…魔力で武器を錬成とかか?」
「正解。武器に類するものなら基本何でも作れるからぶっちゃけチートだね。
しかも作成した武器を装備すれば、ウェポンマスタリーの効果で使用者の能力値が加算される。
複数の人が使った量産武器なんかは、有名所が加算されたり選択式だったりするよ。
ちなみに複数の人が使った一品物は選択式だね。エクスカリパーとかなら次元の狭間をさまよう剣豪や探求の風なんかを選べるよ」
「いるのかよギルガ○ッシュ…
というか、実在武器じゃなくてゲームの武器や神話の武器も行けるのか」
「君が武器だと認識できてるものならほぼ行けるよ?流石に兵器クラスだと無理かもしれないけど。
戦車や戦闘機を兵器の括りじゃなくて武器の括りで見られるなら行けるかもね」
「まぁそりゃ無理だ。既にあの辺りは兵器ってことで完結しちまってる。
ところでいま俺はあの草原で寝てるのか?」
「うん、明晰夢的な感じだね。他に聞きたいことがないならそろそろ起きてもらうけど」
「この先のサポートは?」
「なしだね」
「わかった、いろいろありがとう神様。
帰る手段があるってわかっただけでも俺は満足だ」
「どういたしまして。
じゃあ、頑張ってね」
そう言うと同時に、神様が部屋全体に膨張し、俺は再び、意識を失うのだった。
普通こういう神様との会話って転移前にやることだよね?
でもたまには転移後会話でもいいじゃない。
とりあえずチートスキルを武器関連にダウングレード。
何でもできるとか制御できねぇよ何考えてたんだ昔の俺。