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Real;Users  作者: 熊蜂
二日目
24/44

Duel【逆転正義】

「んじゃ早いところ逃げるよ」


 敷に点灯が再開すると察した赤兎は停電の続く内に走る。


 【虎龍王(こたつおう)】は赤兎の後ろを着いていき、何事もなかったかの様に警察署を後にする。恐らく警察署には虎龍王がいた跡すら残ってはいないだろう。


 そして廃ビルの中に足を踏み入れる。


 赤兎がここが一番人目につかず、隠し事を話すのにうってつけと判断したからだ。


「俺の能力は【逆転正義(ぎゃくてんせいぎ)】。伏線を張らせた物事の因果を認識上のみで逆転させる。君のお母さんの事件は事故死として処理されるはずだったけど……俺がその事件に触れる事によって“他殺事件”として処理された。」


「君の疑いはもう晴れる。綺麗さっぱり何もなかったかの様にね。……ただ、ちょっとこっちも君への配慮が足りなかったことは詫びるよ。」


 赤兎はしてやったりとの顔になったものの、流石にやり過ぎたと、(こうべ)を垂れる。


「…………なるほど。僕の事はどうでもいい……だが、一つ不可解な点がある。」


「……何故父まで死ななければならなかった?」


「……()のお父さんがなんだって?」


「今朝、自殺した。……状況証拠として僕が殺人犯として疑われていたニュースが録画されて放置されていた。……恐らくは僕が母親を殺したと思ったからだろう。」


「……そうやって因果を変えてしまったら……何も無かったことにはならない。もう人は確実に一人死んだ。」


「……帰ってこない。」

「お前が無関係の人間を殺した。」

「殺すように……してしまったのだ……!」


 静かな怒りを顕にする。

 自分への迷惑はどうでもいい。だが、その自分への迷惑が他人にまで及んだ事は許せない。特に、本来死ぬべきでなかった人が死んでいるのだから。


「……行くぞ」

【虎龍王】は主要武器、“ストーブレード”を取り出し、ビームサーベルの如く熱線を射出させる。


 一方赤兎は……


『コテ!・メン!・ドウ!』


 独特な電子音が鳴り響くと共に「変身機能の認証に成功しました」と端末から鳴り響く。


「正義!変身ッ!」


 赤兎は仮面を付けた“侍”の【Real;Users】に変貌する。

 注目するべきは黒いライダースーツの上に装着された剣道着、そして“籠手”、“面”、“胴”、そして竹刀型の武器、“バンブレイバー”


「……なんだそれは」


 【虎龍王】は困惑する。虎龍王にとってそんな変身音聞いたことも無い。初めて面と向かって変身してくれる相手とはいえ、流石に何か違うのではないのか……と疑問を持たざるを得ない。


「ん、仮面刑事シリーズ知らない?今でもやってる気がするけど」


「……いやそういう意味ではなく……」


 まぁいい、と空気を飲む。


「……結局お前も全く関係ない人間を殺した、“正義”が楽しいだけのエゴイストなだけだろう。同盟を組む義理はない。」


「あんたがそう来るなら……オレは徹底的に叩き潰すだけさ」


 対話は難しい、叩き伏せるしかないと悟った【牙狼(ガロウ)】。【虎龍王】の先手を窺う。


 【虎龍王】が踏み込み、袈裟斬りを繰り出す。

 瞬時に“バンブレイバー”で受け止める。


 ……だが、【虎龍王】の攻撃は始まったばかり。


 “バンブレイバー”を往なし、“胴”の右方向に攻撃。まだ弾き返──

 全身の左方向に向けての膝蹴りが【牙狼】に食い込む。


 後退。

 【虎龍王】は逃がしはしない。数cm宙に浮きながら飛ばされる【牙狼】に向かって走る。


「……速いッ!まさか……【点火】で空気を爆発させ……ぐぅうううッ!」


 喋る機会すら与えさせない。


 次の攻撃を“バンブレイバー”で受け止めたものの、態勢を整えるので精一杯。不味い、次の攻撃が……


 遅い、既に“ストーブレード”は【牙狼】の右肩に直撃する。


 ヒット。派手な火花と共にビシャンという肉と鉄が共に焼ける音が鳴る。


「がぁああああああッッ!!」


 鳴り響く悲鳴。だが、その程度の痛み、左腕が折れる痛みよりはまだマシだろう。


 容赦はしない。まだ此方の攻撃は終わっていない……次は左腹だ。


 ヒット。「ぐわぁああああッッ!!」と悲鳴が。

 だがしかし、次の一手は相手の“バンブレイバー”で受け止められた。


「ここからだ……ここからが“逆転”のセオリーだッ!」


【メン・メン・メン!】


『カマエ!“牙狼・ジョーダン”!オドロケ!オノノケ!オノノケン!』


 【牙狼】の“バンブレイバー”と“面”が紅色に染まる。特に“バンブレイバー”の先端付近に斧の様な刃が浮かび出る。電子音の言った通り“斧の剣”に変貌する。


「……!」


 “ストーブレード”が弾き返された。即座に持ち手を変え、態勢を整える。


『イッポンワザ!“|攻撃力(フルパワー)超上昇兜割(ヘッドブレイク)”!』

「食らえぇえええ!!」


 【虎龍王】が身構えようとする間に、高く飛び上がり、斧の剣と化した“竹刀”を【虎龍王】諸とも地面に叩きつける。


「……ッ!」

 

 【虎龍王】は衝撃に耐えきれず、弾き飛ばされる。胴体がコンクリートの柱にキツく叩きつけられる。


 兜の間から噴き出す流血が垣間見えた。


【コテ・コテ・コテ!】


『カマエ!“牙狼・チューダン”ブットバス!カットバス!カットラス!』


 【牙狼】の“面”が黄色に変色。“バンブレイバー”は横半分に割れ、双方に黄色の湾曲した刃が浮かび上がる。その形状はまるで“カトラス”だ。


『イッポンワザ!“大旋風(ストーム)連続斬撃(スラッシャー)”!』


 先程とは逆。

 弾き飛ばされる【虎龍王】を逃すことはなくモードチェンジする。


 起き上がろうとする【虎龍王】に向けて目にも止まらぬ斬撃の嵐。


 防御手段は無く、コンクリートの柱に叩きつけられ、想像もしない“旋風の様な斬撃”が何度も、何度も────


「か……ハ……ァァァァッッ!!!」


 声すら録に出せないレベルの叫びを上げる。


 約30秒後には、コンクリートの大柱が見る目もなくなる迄に粉砕された……それほどまでに斬られ続けた【虎龍王】の姿があった。


「か、ハ、か、ハ…………」


 が、変身を解かない。立ち上がる。


「……ハァ……ハァ……」


 先程の痛みが消えるわけでもない。【牙狼】にも多大なダメージは与えられている。


 両者共々己の敗北を、互いの勝利を許すことはない。


 だが、どちらも一本さえ決まれば終わりである。

 どちらも“ギリギリ”である以上【逆転正義】の小細工も使えまい。


 勝利はどちらの手に……

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