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Real;Users  作者: 熊蜂
一日目
17/44

Hit And Away【釈近謀遠】

 妹は薄々感付いていたようだが、少なくとも私は敵を勝手に人だと思い込んでいた様だ。……翌々考え見れば確かに状況証拠からは確実に人間という項目は削除される。


 それがAIであると想定するのは飛躍し過ぎではあるが、あの状況下でじっくりと真実について追求するような暇は無かった。

Question Timeが終わったと同時に【Second】の活動は再開を始めたのだから。


「……と、いう訳で……お姉ちゃん、ちょっとここだったら野次馬が来そう。その内消防隊とかも来るだろうし……場所変えようよ。」


「……ああ。」


 吸血姫アナトミーとケモ耳大好きは破壊し尽くされた白山ヒルズの姿に目をそらし、その場を後にする。


 しかし、音も立てずに空中を飛び回る小さな影があった事を彼女等は確認できなかった。


 あの時点で殺した……とは思ってはいないが、行動は難しいだろうと思い込み、確実に油断していたが故の失態。


「ターゲットの承認を完了しました。戦闘データ計測継続します。言語処理機能も更新します。その他8種の機能を実行中です……」


 瓦礫に身を潜める戦闘用AI【Second】は着々と次の戦闘準備を備える。破損箇所は無に等しく、修復の必要性は無い。

 今取る行動は相手の油断を煽らせる間に静かに息を潜めつつ、ドローンを飛ばし徹底的にマークし、奇襲を仕掛ける。


 蚊の羽音と同じような聞き取りづらい駆動音で一つずつ、カメラを仕掛けた小型ドローンを飛翔させる。ドローンは白山ヒルズの屋上程の上空に固定され、様々な方向、方角部分に固定され行く。


 あの【Real;Users】二人が呑気に談義してる合間に【Second】は()のフェイズへと移行していた。


「……気味が悪いほど静かだな。」


「うーん周りの人すら見当たらないね……割と離れてきたと思うけど」


 監視されているとも知らずに【Real;Users】二人は、ある方向へ向かう。双方の能力を最大限に引き出しつつ、他者を気にすること無く殺し合える……公園へ。


 直角な曲がり角の多い街路を早く、そして隠密に移動する二人。まるで迷路の様に入り組んだ道であるが、かつてその付近で暮らしていた彼女らにとって、難しい道でも何でもない。


 しかし、次の曲がり角を曲がろうとした瞬間……


「ーーッ!?」


 目の前には一般人とは程遠い全身金属スーツの人型。


 だが、その人型以上に注目すべき箇所は腹部から突き出したバルカン砲。間違いない、人情など存在しない孤立無援の殺戮兵器、【Second】だ。


 ドローンの監視によって彼女らの隠密行動も筒抜けであり、行き着くであろう公園までの近道についてはもう予測済み。


 オスプレイを脱け殻として設置し、ドローンの一部として曲がり角で待ち伏せし、姿が見えた途端に先制攻撃をかける算段だった。


「しま……ッ」


 咄嗟に吸血姫アナトミーは来た道の方角へ戻ろうとするが、もう遅い。既に弾丸は放たれた。


 鈍い鉄の音が止むことは無く、数多もの鉛玉が吸血姫アナトミーの肉を貫き、撃ち抜き、肉塊へと変え行くのがSecondの算段だった。


 しかし、誤算があるとするならばやはりケモ耳大好きの存在を、そして人の全身なぞ軽く越える程の巨剣の存在を加味しなかったことにあるだろう。


 Secondの目からはあの巨剣は瓦礫にしか見えなかったのだ。


「やーーっぱり、もう修復してたかーーっ!」


「お姉ちゃん、大丈夫?」


 とてつもない俊敏さで吸血姫アナトミーの前に立ち、そしてとてつもない馬鹿力で地面に巨剣を突き刺して無慈悲に流れ行く弾丸を弾いて行く。

 また運良く、跳弾が此方に飛んでくることはない。


「……また助けられた……な。すまない……」


「だが、その剣、気に入った。足場にしてもらうぞ!」


 吸血姫アナトミーは、Secondが巨剣の存在に気付き、戦法を変えようと一旦攻撃を中断した瞬間を狙う。


 真後ろのブロック塀を蹴り、更に巨剣の(つか)を蹴り【Second】の遥か頭上にまで跳び上がる。


 それに気づかないSecondではないが、収納した兵器の開閉にも数秒程の時間がかかる。その隙は確実に逃される事はなかった。


 顔の見えないSecondの顔面に【筋力A】の(かかと)落としが降りかかった。


「ーーーーーーーー縺医i繝シCODE:縲殖rain縲訴s闔ォ螟ァ縺ェ謳榊す遒コ隱阪??諤・騾滉ソョ蠕ゥ譌ァ隕∵ア!?」


 鉄の砕ける音が快く、それと連鎖するように言葉ならざる機械的な悲鳴を発する。

 ……が、攻撃は止めるどころか更に激化する。


 【Second】の身体は機関銃、マガジン、連装砲……幾数もの銃器を体のあらゆる箇所に隆起させ、一斉に弾丸を射出する。


 破損箇所は修復……ではなく収納している兵器で補う。ここを逃せば相手が優位になる一方、最悪、ここでトドメを刺されかねない。


 故にSecondは正確に殺すという戦法から、“所構わず撃ち殺す”……則ちゴリ押しを選択する。


 だが、もう遅い。

 あの二人の【Real;Users】はこの時点でSecondに追撃を仕掛けるのは賢明ではないと悟った。


 故に彼女らは悲鳴を上げてる最中のSecondから離れた。殺戮兵器の視界には確かに見えていた筈だが、行動にズレが生じた。


「……クッ…………アレで撒いたようには見えないな……心臓が止まりそうだった。」


「急がないと、また奇襲されるかもしれないよ。ペース上げてこう!」


「……あぁ。」


 吸血姫アナトミー、ケモ耳大好きは公園へ駆ける。


 そこに世話話などする暇など無い。何が起こっても可笑しくない、命すら危うい状況に言葉を介する時間は存在しなかった。


「隕也阜縺ョ逕滉ス灘渚蠢懊r蜈ィ縺ヲ譛ォ譴「縺ョ讖溯?繧定ェ崎ィシ」


 言語の異常さを修復する事はどうでもいい。


 関係無い、周囲の生体反応を抹消すれば、その内奴等も死んでいる筈だ。

Secondは二人の足跡を追い、公園へ向かう。


 銃撃音は止まない。電灯に集まるただの蛾の集団にすら銃撃音が、飛び回るカラスにすら銃撃音が、不運なる道行く人にすら銃撃音が。


 徹底的に生体反応を抹消し尽くした【Second】の機体は汚ならしい赤色に塗りたぐられた。

あけましておめでとうございます!

今後とも【Real;Users】、宜しくお願いします!

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