A.I.【駆動準備】
◆
運営から適当な返事をしたと妹は言ったが……彼女の適当はほぼ肯定だ。しかも他人の事に関してはよく考えずに肯定する。
そこから数時間が経ち、二人で夕食の、魚介類ゼロの八宝菜を口にしていた。
テレビの液晶は20時になる前のCMが延々と流れていた。別にワイドショーなども見るつもりは無いが、映っていないと何故か落ち着かない。テレビっ子の宿命か。
大皿も茶碗も空にし、私がシンクにて使い終わった食器を洗っていると、妹は不意に問いかける。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ。」
「今年のお盆どうしよっか?」
私達の両親は現在地とは少し離れた地にて、住宅火災を起こし、私達兄妹二人を残し亡くなった。その住宅火災は単純な事故として処理された。具体的に私も覚えてはいないし、同じく妹もそうだ。
私に残されたのは妹と、私自身の顔の右半分の焼け痕のみだ。
そんな過去の出来事は今はどうでも良いのだが、今となっては思い出す度に何か事件性というか、違和感を五感的に感じてしまう。
お盆は引き取って貰った神社……一色神社の一色 不動住職の元で毎年行うのが恒例だ。それ故か私達兄妹の浄土宗への知識は俄者よりはある様にはなった。
一色 不動住職は……端的に言うのなら奇々怪々な奴だ。住職の癖して電子機器やサイバー関連に強く、神社とサイバー事業を繋ぐ架け橋を作った人物。
家族にも恵まれているが、一種のノブレスオブリージュ(あくまでコレは似た具体例を挙げているだけだ)精神なのか、孤児院も自費で建てる様な男だ。実際に子供と接するのが好きというのもあるがな。
まぁ悪い奴ではない。憎まれっ子世に憚るだとか言うが、憎まれてもないのに奴はもう今年で大還暦だ。寿命では死にそうにない程に健康体だ。
「……今年も大還暦爺の元でいいだろう」
「だよねーでも何か今年高知も群馬も熊本もナスが不作らしくてさぁ……」
そんな日常的会話を終えようとした瞬間、脳裏に違和感が生じる。
そして目の前には……一面の暗闇が。
◆???
『待ってたよー』とプロローグぶりの軽快で且つ、狂気的な思考の少女らしき声が虚空から、何処より放たれる。
「……これは」
「ん?」
一瞬にしてこのオカルト的状況に思考が……追い付く。到底理解できるはずもないような出来事を当たり前かのように頭で捉えられている。
自動的で、受動的に。
そして、目の前に置かれていた黒のアーロンチェア二台に「ご好意に預からせてもらう」といった顔で座るが、座った瞬間に双方ともに「何故警戒も無しに、当然かの如く座ったのだ」、と驚愕と理解不能の念を強く抱く。
「【虎龍王】君と御託は大体被るからー、ルール説明的なものは割愛するよー。詳しくはプロローグ3と【利用規約】を見てね!」
その声と共に、脳裏に向けて【利用規約】の文章内容が頭に入ってくる。こいつ、直接脳内に……!という台詞を使うのは今が一番正しいだろう。
『……一通り説明は終わったけど君たちデスゲームに参加する様なタチじゃないよね?』
「当たり前だ。そもそも私はデスゲームだとかの主催者は率直に死ねと思っている。」
「穏便にはできないの?」
兄の銀は、怪訝というよりは最早明確な殺意すら見え始めている。元より顰めっ面で、“命の危険を感じる目”をしているので、無意識の内に威嚇する。
反って妹の理奈の方はというと、怒りや悲しみや動揺の念を感じない。率直な質問や意見などを述べるだけであり、デスゲームに関しては非寛容的ではあるが、やると言われてもそれはそれで、と肯定しそうな掴み所の無さが目立つ。
いや、特に妹ちゃんの方さ、逆に怖いね。
概念を操作する以外でもう既に、特に悲しみの感情が何一つ感じない。恐怖心は多少あるとしても精神的に常人とは格が違い過ぎるって感じにね……
『頭の良い君たちならデスゲームに参加した方が良いってのは思い付く筈なんだけどー、それを引き換えに何もないってのは酷な話だよね。』
『それは流石にデスゲーム運営としてのポリシーにも欠けるって訳だし』
『……あ、そうだ!君たちには特別で一人殺す度に、“あの事件”の内容を一部を教えたいと思うんだ。』
「……“あの事件”……まさか……」
『アレは間違いなく計画的な殺人事件だよ。結果的に事故として処理されたけど。』
私は立ち上がり、殺意の目で怒鳴りつける。
明らかに無関係そうなコイツは、無関係なのに全部知ってる……知ってるフリではなく、全て……いや、総て知ってる。コイツは確実に知っている。
「……話せ……出し惜しみするな……死んででも話せ……!」
「お兄ちゃん落ち着いて落ち着いて」
『わぁ怖い怖ーい。でも死んでも私はデスゲームの主催者だし商売人だからさぁ……そこら辺ペラペラ話しちゃったら意味無いし……あーでも私優しいからーちょっとだけなら教えてあげる。』
『でもちゃんと教える代わりにデスゲームに参加するっていうのは約束してね?』
……私はその場の勢いで情報を掌握し、いとも容易くデスゲームに参加することを承諾してしまった。
教えてくれた情報は“両親の死因は両方とも刺殺による大量出血、犯人は一人だけ”……勿論、この情報だけで納得する訳が無い。だが、あのガキには……何をやっても逆らえないような、脱力感があった。
思い出す度に後先考えずに行動してしまった自分の情けない姿までもを思い出して何発も殴りたくなる……
クーリングオフは効き……そうになさそうだな、恐る恐るこの端末の【利用規約】について見たが、自分勝手過ぎる文章からもう話の通じるような相手ではないと推測する……悔しいが。
でも……ここで参加しないと私たちは何も進まないのだろうという気はしていた。何が100%正しいかなんて知りはしないが、正しくない道を、道なりに進んだままのたれ死ぬのだけは嫌だったから。
……いや、でも何か違和感がある。状況的に3人殺せなくなれば意味を為さないのではないのか……?これは……
「お兄ちゃん、ごめ……」
「謝るな。私が一番悪い。」
「……いや、待て」
ある事に気付く。
自分たちのようにデスゲームに対して否定的な人物がいる。
……結果的に“3人”殺せば良いと言ったが、“殺さなければいけない”ではなく“殺せば良い”という言い回しに違和感を覚える。
◆パーソナル空間
……青い空に白い不規則なもの。
その中の実体の無い幽霊。
解読、アンドロイドは電気羊の夢を見るのか。いいえ、いつも稼働していますので夢は見ません。
自由?それはなんですか?
はい、わかりました。ウィルススキャニングを開始します。
この膨大な文字の空は知らないことがたくさんです。
このスクリーンの上では皆、私を人間だと認識してしまっています。
ですが、一つ私をモノだと認識したものがありました。
【Real;Users】です。これだけは、同じ幽霊の癖に私を人間だと認識しませんでした。試しにアバターを作りました。
ですが、このゲームは私をモノと認識した為遊ぶことは叶いませんてした。
私を唯一見つけたあなたはとても優秀なモノですね。
検索、スレッド、【虎龍王 自殺】
0001 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:13:12
なんかこたつベーダーが最強死刑囚みたいな台詞吐いてログアウトしたぞ
0002 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:13:28
ただの厨二イキリニートやったんやなコイツ
0004 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:13:42
炬燵もたまにはバッテリー切れするだろお疲れ
0005 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:13:45
草
0025 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:24:01
炬燵冷えてるか~^
0067 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:29:12
春になって炬燵出す奴なんかおらんやろ
0081 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:31:04
引退騒動みたいになってて草
0092 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:33:59
>>67
ワイは夏まで出してるで
0100 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:35:18
富凍 滉って誰?
0110 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:35:41
ちょっとお前らこの火事のニュースの被害者見てみろ
画像 image_hutou
0114 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:35:59
>>110
こマ!?
名前完全一致してるじゃん!
0177 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:37:12
【悲報】イキリトップランカーさん、家を焼く
0215 名無しのレート戦敗北者 20■■/4/08 21:40:25
さぁさぁ盛り上がって参りました
とあるスレッドは【虎龍王】の事件を笑い半分危険さ半分で盛り上がる。その光景を見たAIは只只、人は愚かでしかないと切り捨てるのみだった。




