7 Sweet rain
会社のオフィスの中、俺は目の前のパソコンに文字を打ち込み続けている。
あの日のデート以来、俺はずっと悩んでいる。
彼女は高校生だ、それは大人と子供の関係のはずだ。
咲の歌が好きなのを恋だと勘違いしてるんじゃないか?
そもそもあんな美少女なのだから、彼氏がいるんじゃないか?
日が経つにつれ、悩みの渦はどんどん大きくなっていく。
「小野さん、大丈夫っすか?」
この所ずっと難しい顔してますよ」
後輩の西川が声を掛けてきた。
いつも軽い調子な奴だが、その軽さが深く考えすぎる俺にとってはとても助かる。
「ちょっと考え事がな。」
「小野さんっていつも考え事してますよね~。とりあえずもうお昼なんで、飯行きましょうよ」
腕時計を見るともう昼だ。もうそんな時間か……
こうして俺と西川は、会社の近くの定食屋に向かった。
俺はカツ丼を頬張っている西川に遠回しに聞いてみた。
「なあ、西川。年下の女の子っていくつまでオーケーなんだ?」
「小野さん年下が好みなんすか? そうっすねぇ、やっぱり3.4才くらいっすかね? あんまり下だと子供っぽくてダメっすね~」
能天気に答える後輩とは逆に、俺の悩みはまた深くなる。
「だよなぁ……」
俺と咲は七歳も離れてる、それに未成年だ……
ますますナイーブになっている時、西川が声をかけてきた。
「あ、でもあんな娘だったら是非付き合いたいっす。超好みっす」
「どこだ?」
あたりを見渡すが、自分と同じサラリーマンばかりで、女性の客は誰もいない。
「ほら小野さん。テレビテレビ」
「テレビ?」
後輩に言われた通り定食屋に置いてあるテレビに目を向けると
「あっ……」
思わず声が漏れた。目を疑った。
そこに写っていたのは咲の姿だった。
咲は派手な衣装を身に纏っている。
その衣装は最近よくテレビで見る人気のアイドルグループ、
「Sweet rain」の衣装だった。