私専用アロマセラピー
ただ、イチャイチャしているだけの話です。
無性に甘えたくなる時はありませんか?
「みっちゃん、ぎゅーってしていい?」
「いいよ、おいで」
恋人の許しを得て、私は彼の腕の中へ飛び込んだ。
彼の背中に腕をまわし、胸に頬を当て大きく深呼吸。
柔軟剤の淡く優しい香り。
彼が好んでつける、ちょっとスパイシーなコロンの香り。
2つが混ざりあって、溶け合って、私が一番好きな香りになる。
「…どうしたの?何かあった?」
「…うん…。仕事でちょっとね…。でも、もう大丈夫。みっちゃんが、ぎゅってしてくれたから」
私を包み込む貴方の身体から、染み込んでいく温もりと香り。
それだけで、ささくれだった心が落ち着いていくのがわかる。
ラベンダーやカモミールなんかよりずっと…ずっと、私の気持ちを穏やかにしてくれるのは、貴方の香りだけ。
「僕がぎゅってすることで元気になるなら、いくらでもしてあげる。だから、一人で抱え込んじゃあダメだよ?」
耳許で優しく囁く声に頷くと、背中に回されていた彼の腕が動いた。
軽く頭を撫でられ、前髪を掻き分けて…。
額にキスをひとつ…ふたつ。
「良い夢が見られるおまじない。おいで、一緒に寝よう」
貴方の香りに包まれながら見る夢は、きっと甘く幸せな夢。
二人寄り添って、温もりを分けあって、心と身体を休ませよう。
おやすみなさい、良い夢を。
お読み下さり、ありがとうございました。