感覚のズレ
かなり前に新聞の投稿文を読んだときです。
「薬局に行ったら、女性薬剤師さんに自分の月経のことについてはっきりとした声で聞かれました。その場には男性の方も何人もおられました。小声にする等の配慮が欲しかったと思います」
このような内容でした。
驚きましたね。
私がこの女性のような出来事に遭遇したとしたとしても、薬剤師さんの行動が問題だとは思わないからです。
例えば献血するときの問診票のように
「ここ半年間に不特定多数の異性または同性と性交渉を持ちましたか」
などという質問をはっきりとした声でされたとしたら問題でしょう。
そ、それはアカンやろ! ですね。
しかし、質問は月経の周期や期間、量、痛み等について。
私の感覚では
「お小水やお通じの回数は?」
と聞かれるのと変わらないからです。
(もしかして、投稿文の女性ならお小水やお通じの回数の質問にも小声を希望されるかもしれませんが)
次にふと気になったのは、この女性の年齢。
ご本人が中高生女子の場合なら、なんだかわかる気がしました。
小学生のとき、保健室の先生に女子だけこっそり別室で集まるように言われて、月経の話を聞くときのあの感覚をまだ身近に感じる年齢ですね。
しかし確認すると三十代女性、子持ち。
私と同じじゃないですか。
年齢や妊娠、出産経験が多少、関係するのではないかと私は思ったのですが関係ないようです。
私がモヤっときたのは、投稿文の「その場には男性も」というところ。その場が女性だけだったならば問題はなかった、ということなのでしょう。
……ここ、モヤっときますね。
月経って生理現象であって、やましいことでもないので本来なら堂々と話してもなんらおかしいことはないはず。
男性に聞かれちゃいかん、聞かれるのは恥ずかしい、という感覚は、あのなんだか秘密めいた小学校の性教育で培われたのじゃないかなあ。
お店で生理用品を購入したとき見えないように紙袋に入れてくれたりしますよね。あれ、私は全く必要ない、と思います。
この投稿文での問題は、女性薬剤師さんと投稿者である女性との感覚のズレ。
医療関係者と一般人の感覚の違いでしょう。
医療関係者、もしくは医療関係の学校で解剖学や生理学を学んだことがある方というのは、一般人の感覚とズレていくのは仕方ないと思います。月経の機序について詳しく学んで、クラスメイト男女ペアになり患者への問診シミュレーションで月経の質問なんぞを繰り返したときには、それはもう当たり前の身体の現象で、状態を知るうえでの情報の一部でしかないのだと思うようになります。
性器についても、それは腕や脚と同じようにただの身体の一部だと思うようになる。
医療関係の職場ではまあ仕事ですのでそんな話題は日常茶飯事。
私の以前の職場はそんな感じでしたね。
月経の症状について、男女当たり前のように堂々と詳細に会話する。
性器の状態について淡々と語り合い、改善を促すにはどうするのかとみんなで頭を悩ませる。
それに慣れているので、プライベートに関することでも割とそのような話題をフランクに話し合う。
病院の異性間スタッフ同士も、こんなもんなんじゃないのかなあ、と勝手に思ってます。(違ってたらスミマセン)
しかし、普通の会社のオフィスでは、月経や性器について男女語り合うなんてことはもちろんないのですよね。
ふと、主人に聞いてみたのですよ。
投稿文のような場面に居たとしたら、男性としてどう思う? と。
私は、主人なら薬剤師さんの質問を気に留めることすらしないんじゃないかな、と思ったんですよ。
投稿文の女性の方が思うほど、男性の皆さんって、そんなこと気にする方はいないだろう、と。
ところが。
「女性はそういうのを男性に聞かれるのは恥ずかしいと思うものだから、他の場所で話せばいいのに、と思う」
主人の答えを聞いて、また驚き。
この話題って、男性にも気を遣わせてしまうのか。
ちなみに昔、私はドラッグストアに行く主人に「子供のオムツと共に生理用品も買ってきてくれないか」と頼んでみたことがあります。
そのとき主人は「ラジャー、銘柄は何」と拒否感なく承諾してくれたので、私と同じような感覚でいるのかと思っておりましたが、これに関しては違うようです。
ううむ、このような「月経については男性に内緒でこっそりと」という感覚。
このへんな感覚、海外では存在するのでしょうか? ちょっと考えてみました。
(そう主人に話したら、ここは日本だから関係ない、論点をずらすな、と言われましたが、まあ、それは置いといて)
欧米ではこのへんな感覚ははく、投稿文の事例は問題にすらならない、いえ、何が問題なのかさえ分からない、という風になるんじゃないか、というのが私の勝手なイメージ。
イスラム圏では激タブーになるのではないか、という印象。
同じアジアでも中国なら問題にならなそうだな、という感じ。
(中国人男性は月経に詳しく月経中の女性を超優しく労わる紳士、というのをチラ聞きしたことがあるもので。女性もそれに慣れて抵抗なく男性に月経について話すのではないかと。これも違っていたらすみません)
日本では、血を流す女性というのは穢れた不浄の存在、といったものが昔からありましたね。
女に寿司は握らせねえ! というような。
そのへんから、このへんな感覚はきているのかなあ。
まあ、ここは日本でありますし、人は一人一人価値観も違います。
私も投稿文の女性薬剤師さんのように男性が側にいようが何のためらいもなく質問してしまいそうでありますので、気をつけよう、と肝に銘じた出来事でありました。




