プロローグ
現代におけるVRMMOの総人口は日本だけで3000万人以上、全世界では4億以上であるとネットニュースで見かけた気がする。
スマートフォンという端末が、すでに古くなってきた現在では、首にかけるハンドフリーな端末が主流となってきた。
どこでも簡単にネットに繋がることができる今は、FD環境の整ったサバーと携帯可能なHead Mounted Connect (ヘッドマウントコネクト)HMCがあれば、人・場所・時間を問わずに仮想世界へと行ける。
現実に仮想を混ぜた視覚干渉型の技術も飛躍的に進歩している。現実にいながら仮想のディスプレイで映像を見たりメールや会話をしたり、もう近未来志向が日常で水準化してしまっている。
多種多様なジャンルのあるFDの中でも、一番といっていい人気はやはりVRMMO Virtual Reality Massively Multiplayer Online (仮想現実大規模多人数オンライン)である。
現在までに数千タイトルが世に出ては消え、栄えては衰える。中には違法性の高いものも存在し、そういったものを取り締まるための行政機関も作られるほどだ。
そして、その違法性とは別の意味で問題になっているのは異世界逃避症候群と呼ばれる精神病だった。
現実に居場所がない、家族とも不仲で、仮想空間でしか会話もできない。そんな人間が仮想空間だけで生活しようと試み、その結果FD中に死亡するといった事例が増えてきた。
その対象に年齢や生活環境は今や関係がない。小学生から老人まで、貧乏人から金持ちまで。
仮想世界が進歩すればするほどに人々は魅了され、現実とのギャップに悩むようになる。
「現実に不満がない人間なんて存在しないだろ」
そんなことを呟く俺も中2の夏から学校に行っていない。理由は人間関係かもしれないし、家庭の事情かもしれない。
「仮想世界にだって人間関係はあるし、それなりにコミニティーを維持しないと楽しめない」
現実と仮想世界の違いは何か、そう考えた時に浮かぶのは"理想の体現"である。
現実で努力すれば理想に届くのかと言われたら、"届く人間もいる"としか言えない。が、仮想世界なら努力すれば、時間をかければ結果が付いてくる。
理想に近い自分を、時間をかけるだけで手に入れられたなら、その世界に逃避するのも仕方ないと言える。
「"あなたにとって仮想世界とは?"…そんなの決まっている――」
仮想世界はこの世界に実在する。つまり、"仮想と呼ばれる世界"は現実に存在している。
ただ現実の体ではいけないだけで――
「仮想世界=現実だ――」
次話にかんしては活動報告に記載。




