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第七話 食事 承)終わり

 薫の食欲がおさまるまでには暫くの時間を要した。食べた物は、お粥三杯に肉を小さく切って串に刺して焼いたものを十本、野菜炒め約三人前、最後に水をどんぶりに五杯。


 薫の見た目からは食べきれるとは思えない位の量が胃袋に収まった。そして、やっと一息つけたのだった。


「ご馳走さまでした」


「落ち着いたか、カオル嬢ちゃん。


それにしてもよく食べたなー。男並みにたべるんだな」


「普段はこんなに食べませんよ! 今は凄くお腹が空いていただけですから!」


 薫は少し不機嫌になりながら答えた。

 そして、今まで気になっていた事を聞いてみた。


「ここはどんな所なんですか? 確か、日の国と言っていましたけど……。

 私のいた世界とは違うと思うんです……日本に魔物なんていませんでしたから……」


「うん? ここはデコの村で、火の国の外れにある、特に変わった所もない普通の村だな。


それで、違う世界?

カオル嬢ちゃんはどっか遠い所から来たってことか?


まあ、確かに変な服を着てるし珍しい名前だからな」


 やっぱり日本ではないんだ。


 私、これからどうしたらいいんだろ……?



「カオル嬢ちゃんはもしかして、勇者なのか?」


「え? 勇者?」


「ああ、国の王属だけが呼ぶ事のできる、どこから来たのかが分からない存在。それが勇者だ。


勇者は見たことのない服を着てたと聞いたことがあるんだが、


違うのか?」


「違います!」


「あー、違うのか。じゃあ、何者だ?」


「私は学生です」


「がくせい? なんだ、それ」


「えーと、それは……」


「カムさん、カムさん。おばあちゃんが言っていたのですが、学生は人から教えを受ける立場の方だそうです」


「あー、なら、誰かの弟子なのか?」


「いえ、沢山の方から学ぶそうです」


「そうなのか? どうなんだ、カオル嬢ちゃん。今のウシオの説明で合ってるか?」


「はい。合ってますけど」


「そうか。だが、何故、森にいたんだ?」


「……私にも、わかりません。気付いたら、森の中にいました」


「気付いたら森の中にいた? なんで?」


「すいません。

私にも理由が分からないんです。ごめんなさい」


「あー、まあとにかく、村長が帰って来るまでこの家にいてくれないか。

その事について何か知っていそうな人も一緒に帰ってくるから、話が聞けると思う」


「おばあちゃんですね」


「えっ、私、帰れるんですか?」


「わからん」


「そうですか……」


 村長さんが来るまで待つしかないのか。はぁ。疲れた。

森の中を走るなんて普段やらないからなー。


そのせいなのかわからないけど、まだ朝なのに眠い。お腹もいっぱいだし。


「おじさん。疲れたので、寝ていいですか?」


「ああ、いいぞ。


それと、おじさんじゃなくてカムと呼んでくれないか。何か変な感じがするんだ」


 そうですよね。名前で読んだ方がいいですよね。


「分かりました。カムさん」


「おう」


 私は少し寝る事にしました。





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