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第伍拾玖話

森に入り、火山を目指す一行。


緊張し身構えている者もいれば、やる気がなく欠伸をしている者もいる。そんな一行が、危険を承知で村の近くに現れた魔獣を退治する為、森を進んでいた。


「ウシオ、これが今回の作戦な」


カムはウシオへ紙を手渡した。その紙は盾持ちが会議進行役から預かり、カムへ渡した紙であった。


その他の者へは話しをするだけで済むが、ウシオは会議進行役の話しを真面目に聞かない為、作戦を何かに書いて渡すか、カムを経由して話してもらうしかない。今回は詳細を伝える為、紙にしてあった。


「分かりました」


ウシオは了承して紙を受け取り、読むことはせず、懐にしまい込んだ。


「しっかり読めよー」


カムは念を押す。ウシオが読まずに作戦通りにいかなかった場合、皆に危険がおよぶ。カムはウシオにさらに言った。


「忘れずに読めよ」







日が真上に見える頃、一行は、猫がいると思われる場所を発見した。


そこは周りに草がなく、中が暗い洞穴だった。入り口には獲物を運んだ時に垂れたと思われる血の跡があり、洞穴の中まで続いていた。


「どうするカム」


剣持ちは鞘から剣を抜き、戦う準備を終えてからカムの指示を待った。カムが「行く」と言えば後は洞穴に突撃するのみ。しかし、カムは待つ事を選択した。


「まて、まて。あんな穴の中じゃ戦えないだろ。おびき出してから叩くぞ」


剣持ちは剣を見せてカムに進言した。


「こっちのほうが早い」


「今回はワーキャットだぞ? それじゃあ勝てないだろ。それに、あいつから作戦を預かってる。だからそれでいく」


剣持ちは作戦があると聞き、鞘に剣を納めた。そしてカムへ早く言えというような視線を向けた。しかし、カムは話さずにウシオへ合図を送った。


「ウシオ、頼む」


「分かりました」


ウシオが了承した直後、一行の足元の地面から複数の植物の芽が顔を出し、それぞれ一人ずつ掴み、洞穴を上から眺める事の出来る位置にある木に作った足場まで移動させた。


カムから聞いていたり体験した事のある者達は慌てずに対応したが、嫌みな弓持ちと若い弓持ちは驚き、声をあげようとした。だが、それは伸びた蔓によって阻止された。こんなに近くで声を出しては気付かれる。そう、ウシオが判断した為の措置だった。


皆が木の上に揃い、声を出そうとした二人を除いて蔓から解放された。


カムが口を開く。


「カオル嬢ちゃんは見張りを頼む。あの穴からワーキャットが出て来そうだと思ったら教えてくれ」


「はい」


カオルは戦闘では役に立たない為、素直に頷き、洞穴が良く見える位置に移動して見張りを始めた。その他のウシオを除く者達は、


「落ち着いたか?」


「騒ぐなよ。いいか、大丈夫だから声を出すんじゃねーぞ」


口を蔓で塞がれた二人に話しかけ、落ち着かせていた。


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