第弐拾漆話
※次の日
やりたくないですね〜。寝たい。いえ、今は動きたくない、ですね。
「はあ……」
「また、ため息ですか。少しは真面目にやって下さい」
「嫌です。それに、カオルさん程度でしたらこの位で十分です」
「えい」
「はははははは、弱い、弱すぎます。これではナーラットは倒せませんよー」
「この、この、当たれ、当たれ」
「無駄ですね」
「はあ……はあ……、疲れた」
「休憩にしましょうか」
「はい……」
ようやく終わりましたか。これでゆっくり寝れます。
「まだやるんですから寝ないで下さい」
「後は一人でどうぞ。私は寝ます」
はあ、戦えない方に戦い方を教えるのは面倒くさいですね。鉄の剣は重くて持てず、木刀にも振り回され、木の棒を振るので精一杯。それに、ゆっくりやれば良いのに早く上達したくて雑に振るので当たらない。これでは、いつになったらまともに戦えるようになるのやら。
そもそも、今日と明日の残り二日間でナーラットに勝てるようになるなど、とうていできません。
なので今回の狩りはやめるべきなのですが、やめないでしょうね。今もやる気満々ですし。
「さ、休憩終わり。ウシオさん、練習を再開しましょう。お肉のために!」
「一人でどうぞ、と言ったはずですが」
「や、る、の」
「……はあ。仕方ないですね……」
その後、お昼ご飯の時間までカオルさんの練習に付き合わされました。
まあ、私から言わせればお遊びですがね。子供達のほうがよほどましですし。
そうですね〜、ご飯の後に突撃小僧を連れてきましょう。今のカオルさんにはちょうど良い相手のはずですので。
「あの〜、その子は?」
「突撃小僧です」
「だから誰!」
「今からカオルさんと戦ってもらう槍の達人です。実力的には釣り合うと思いますので」
突撃小僧と呼ばれた子供はカオルより頭一つ小さく、幼い。そして自分の身長と同じ位の長さの木の棒を手に持ち、休む事なくウシオを突き続けている。
「痛くないんですか?」
「何がですか?」
「えーと、それ」
カオルはウシオのお腹を突いている突撃小僧を指差す。
「ああ、これですか。気にしないで下さい、いつもの事ですので」
「はあ……」
カオルはウシオの事が理解できずに困惑していた。何故、面倒くさがりな人がこんなに子供から恨まれているのかと。
「それより始めますので早く構えて下さい」
「あ、はい」
カオルは棒を構えたが、突撃小僧はまだウシオを突いている。
「あなたの相手はあちらです」
ウシオが突撃小僧の首元を掴み、カオルの前に乱暴に投げる。そして、
「栽培室」
カオルにとっては嫌な思い出しかない栽培室のスキルで囲むのだった。
「大丈夫? 突撃小僧、さん?」
ウシオに投げられた突撃小僧は地面にうつ伏せの状態で倒れていたが、カオルの呼び掛けに立ち上がって答える
「……大丈夫。お姉ちゃん、名前は?」
「カオルだよ」
「俺はレミ。よろしく」
「ん? こちらこそよろしく」
カオルは、小僧と呼ばれていた子供の名前が女の子のような名前だったので首を傾げ、考える。この世界では名前に男と女の区別はないのかと。
しかし突然、
「いくぞ! 突撃ー!」
「え? うわぁ!」
棒で突かれ、それどころではなくなってしまうのだった。




