第弐拾伍話 話し合い 別)猫 開始
「皆、集まったか。
では、集会を始める」
進行役の村人が話し合いの開始を宣言し、村長が議題を提案する。
「今回は狩りについての話し合いじゃ。それで、狩りの目的はワーキャットを仕留める事じゃ」
村長の言った議題の内容によって、場が騒がしくなる。
「待ってくれ村長、あいつらは強すぎるから狩るのは無理だ」
「そうだぜ村長、俺はまだ死にたくない」
そこにカムが狩りの必要性を訴える。
「だが、狩らないと村に被害が出るかもしれんぞ?
それに見た人が言うには小さかったようだからおそらく子供だろうよ」
「子供なら狩れるか?」
「でも誰が狩る?」
「俺は嫌だぜ」
「お前がやれよ」
狩りの標的が子供だと聞き、少し落ち着くが、今度は誰がやるかで揉め出してしまう。
「皆、落ち着け。ワーキャットの相手は馬鹿にやらせるから安心せい」
村長が勝手に決める。
「まあ、そうなるよな〜。だけど、こいつだと力が足りないから、時間がかかり過ぎるぞ」
と、カムが後ろで寝ているウシオを指差しながら言った。
「なら、いつも通りに馬鹿が前で動きを止め、俺達がとどめを刺せばいいんじゃないか?」
「それが妥当じゃろうな」
ウシオが寝ている間にどんどん決まっていく。
「後は狩りに行く人員を決める。
行商から帰ってきたばかりの村長は残るから指示役として、カム」
「ああ、俺が行く。ウシオを連れて行くなら俺が行かないと駄目だからな」
「カムの言う事なら聞くからな。まあ、後は半々でいいだろ」
「いや、残る人数を少し増やして魔物の襲撃に備えてくれ」
カムが提案する。
「何故じゃ?」
「ワーキャットの親が出てきたら厄介だからな」
「負けるぞ、どんなに頑張っても勝てねえだろ」
「今のうちから村の皆を隣村に逃がしとくか?」
「それがいいかもな」
子供がいるのだから親が来る可能性もある。
という事を忘れていたようで、どうやって村人を守るかを話し合い出す。
しかし、カムは必要無いと言う。
「村に残った奴だけで勝つ必要はないし、逃げる必要もないぞ。
時間を稼いでくれればいいんだ。俺達が戻ってきて挟み撃ちにするまでな」
「なるほど。だが、お前達に知らせる合図はどうする?」
「狼煙でいいだろ」
「良いじゃろ。じゃが、戦えない者は隣村に避難させる。村人に被害が出ては村長失格じゃからの」
村長もカムの意見に賛同した。しかし、村人のためと言い、隣村に避難させる事に決める。
だけど他の皆は分かっていた。
村人より自分の孫が可愛いから避難をさせるのだと。
「だな。これで決定、と」
「出発は三日後、それまでに準備を済ませるように。解散」
「ちょっと待ってくれ」
「なんだカム。まだ、何かあるのかよ」
進行役の村人が、解散を宣言したのに皆を引き止めるカムに、いらいらしながら言った。
「ついでにナーラットも狩っていいか?
ウシオのところに一人増えたから肉が足りないんだよ」
「ナーラットじゃったら子供達に狩らせれば良いじゃろ。
今回は狩りに子供を三人連れて行ってもらうからのう」
「大丈夫か? いつも通りに狩りに連れてって」
「大丈夫だろ」
「だよなー。馬鹿がいるしな」
「死んでも子供を守れよ馬鹿」
「ははは、心配する必要無いだろ。馬鹿はそう簡単に死なんし」
カムの心配を余所に誰も子供達の心配はしていない。
馬鹿の心配はもっとしていなかった。




