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《Next World Online》  作者: 十時 仁
≪第一章≫
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プロローグⅡ

二話目投稿です。よろしくお願いします。

「っし、雰囲気出てきたな!」

ひとしきり叫んだ後は自分のことは一先ず置いておき、βからの相棒との約束を思い出す。


「とりあえず、合流しないとな。」


俺はβテストで共にパーティを組んでいた

『アヒル』、という人物と正式サービス中も一緒に組む約束をしている。

待ち合わせ場所は混雑を予想して正面に見える時計塔の裏ということにしてある。さっそくそこまで行くことにしたのだが、


「ひ、人が多すぎる。」

余りにも人が多いのだ。試しに左手の中指と親指を二回擦り合わせメニュー画面を開き現在のログインプレイヤー数を見てみると、なんと一万人を越えていた。

初回カートリッジの発行数がβテスター用も合わせて一万五千という話なので、全体の三分の二以上の人数がすでにログインしていることになる。


「おっ、おーい、アヒル~。」

物は試しと呼んでみるが次から次へとログインしてくる人があげる歓声のせいですぐにかき消されてしまう。


「まぁ仕方ない、歩いて行こう。」

俺は人の波に飲み込まれながらもなんとか時計塔裏に向かって歩いていく。


散々もみくちゃにされやっと時計塔裏に出ると、そこにはプラチナブロンドの髪を肩にかかる直前まで伸ばした髪型に青く澄んだ瞳、背丈は160近くのある種の典型的な見た目をした人物が近くの井戸に腰かけていた。


「おーい、アヒル~。」

まだこちらには気づいた様子は無かったので声をかけると腰を上げてこちらに歩いてきた。


「わ!よ、夜!久し振りだね。それと今の僕はアヒルじゃなくて『真昼のネコ』ってネームに変えてあるんだから。二人で決めたじゃないか。」


懐かしいアルトボイスと風変わりな喋り方はこいつの見た目と相俟って女にも見えてきてしまうが、こいつは男だ。俺も気付いたのはβでパーティをくんで二日間が過ぎた後だった。切っ掛けは・・いや、止めておこう。主に俺の精神安定のために。


「あぁ、そういやそうだったな。約束通り来たよ。改めて、よろしくな真昼!」


「ん、よろしくだな、夜!」


俺たちはβテスト最終日にいくつかの事で打ち合わせをしていた。そのうちの一つが、プレイヤーネームについてだ。すっかり忘れてしまっていたが。

当時俺たちは今とは違うプレイヤーネームを使用していた。俺のネームは『夜鷹』、昼ネコのネームはご存知のとおり、『アヒル』である。

このままのネームで正式サービス開始でも良かったのだが、真昼の方が、


どうせパーティを組むならお互い何かしら捻ったネームにしよう!


と言い出し、ない頭を振り絞ってお互いの共通点、


1、お互いに家にネコがいること。


2、名前にそれぞれ『昼』と『夜』の字が入っていること。


を考慮した結果が、このユーザネームだ。

正直、俺はどうかとも思ったが、真昼は気に入ったようなので、もはや俺に言うことはない。

ちなみに俺のネームは『真夜中のネコ』だ。自らのネーミングセンスのなさに心中で嘆いたのは言うまでもない。


「じゃ、合流も出来たことだしそろそろ外に出てみるか?


「うん、そうだね。僕ら以外の人ももう外に出てるみたいだし。」


この【始まりの街】トラベログには《始まりの塔》と呼ばれるダンジョンがあり、そこを中心に同心円上に街が広がっている。半径はおよそ三キロほど。今いる時計塔前広場は《始まりの塔》と北門の中間に位置していて、その他ではNPCショップが塔と南門の間周辺、宿とレストラン等は塔と西門の間周辺、塔と東門の間には、これといった特徴はなく、どの建物もまんべんなく建っているが、強いて言えば職人クラスのプレイヤー向けにプレイヤーハウスが売られているくらいだ。街の周囲には鉄柵と門はあるが外壁はなく、外側が草原型フィールドダンジョンとなっている。


このゲームは、外側のフィールドダンジョンでレベルを上げてその後そのエリ

ア内の《塔》を攻略する、というのがおおまかな流れになっている。

《塔》はすべて11の階層からなり、形は様々だ。どの塔にも最上階には強力なボスモンスターが待ち構えている。

塔それ自体については、モノによっては地下へと降りて行く形式のものもあるらしい。この形式はβでは未実装だったがゲームサイトに告知されていた。その他βでは未実装だったところもいくつか実装の流れとなったらしいが詳しい情報は無かった。

ここ、時計塔裏は北門のすぐ側なのでそこから外に出ることにした。





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