表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《Next World Online》  作者: 十時 仁
≪第一章≫
1/44

プロローグⅠ

初投稿です。文章力に自信もなくストーリーも骨組みしか決まっていないですが、暇潰し程度に読んでいたたければ幸いです。



《世界は、次のステージへ、移行する》


       ‥――――― 須藤 健






▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲





キーーンコーーンカーーンコーーンー‥



「んじゃ、長居は無用!!」


退屈な数Ⅱの授業、担任の話も終わり、残る関所は学校から家までの約10キロの灼熱のアスファルトロードのみとなった。

教室の扉を抜けてすぐを右に曲がり階段を三段飛ばしで駆け降りる。

昇降口まで全速力で飛ばし、外靴に履き替えれば、後はこっちのもんだ。

後ろから先生の反響によって間延びした怒鳴り声が聞こえるが、今日ばかりは勘弁してほしい。なんと言っても今日は待ちに待った《Next World Online 》の公式サービス開始日なのだ。


現時刻は午後3時過ぎ。ここから、共に三年を過ごした相棒を全速力でこいでも家に着くまでに約1時間かかる。俺の家は小高い丘の上にあるので行きは楽だが帰りに時間がかかるのだ。

家について汗を流すのにシャワーを浴びて着替えることや、およそ二年前に開発されたVRマシン《フルダイバー》の装着やらに約30分かかるとする。サービス開始が午後6時からとなっているので時間的には余裕があれど、マシンを装着した後に行う各種設定に時間がとられるという事も含めて考えるとちょうどいい頃合いにログインできるはずだ。




▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽





家に着いた。現時刻は午後5時20分過ぎだ。

さっとシャワーを浴びたあとすぐに二階の自分の部屋へ駆け込みジャージに着替えて《フルダイバー》を装着する。フルダイバーは頭をすっぽりと覆うフルフェイスのヘルメットに、後頭部よりやや両サイドよりの所から伸びるコードに繋がった二つのリストバンド、といった形をしている。

部屋の南に位置するベッドへと横たわる。時間もちょうど6時少し前。準備は終わり、いよいよもうひとつの【世界】への扉を開く。


「リンクスタート!」


俺の音声をマシンが読み取り、それと同時に俺の視界が闇に包まれる。

見渡す限り何もない真なる闇に包まれた空間

そしてその奥に一筋の光が()す。

目の前に華美な装飾が施された大きな鏡が浮かんでいて、無地のTシャツに半パン姿の俺が写っていた。

ここはアバター設定画面。髪、眼の色や多少なら体格も設定可能だ。


目の前にウインドが出現し二つの選択肢が表示される。一つはこのままアバター設定へ移行するモノ。そしてもうひとつ、俺がタッチして選択したのはβテストからのアバターをコンバートさせるものだ。

この項目は1500人の超幸運なβテスターが当時使用していたアバターを、当然ステータスは初期化されるが、見た目をそのまま反映させるためのモノだ。

俺のアバターはくすんだ灰色の髪にダークグリーンの瞳、身長は現実とかわらず175くらいのどこぞの英雄然とした姿だが、ゲームである以上俺に限らずアバターは皆格好良いかクールか、はたまたシブいタイプのイケメンか。女性アバターであるならキレイ系かカワイイ系か、まぁいろいろあるが皆共通して言えることは、外見が整っている、ということだ。


俺はβ時代の見た目へと変化したアバターを視界におさめつつ、次のステップへ移る。

いくつかあるβテスター達への特典のうち、俺的に一番多くのリソースを占めているのがこの項目、武器防具の持ち越しだ。これに関しては完全にバランスブレイカーになると思うが、俺は貰えるモノは貰っておく主義だ。使いなれたモノが引き続き使用出来るのは素直に嬉しい。もし通常版からの参加ならば、このエディションの代わりにいくつかあるらしい初期装備から武器一つ、防具二つを選び擬似的に職業(クラス)を決める画面に移項しているらしい。数だけみれば2:3となるが、個人差はあれβからの持ち越し武具の方が初期装備より性能が良いのは当然だ。運営側も対応案として新規参入プレイヤー用に豪華なプレゼントを用意している様だが、調べてみるにかなりギャンブル性の高いものだった。その代わり“豪華なプレゼント”と銘打つだけのことはあって、俺も一瞬クラっときたが、それも今はいいことか。


閑話休題。





思考に没頭するうちに下がっていた視線を前に戻すとここでまた新しくウインドが出現していた。どうやらこのウインドに表示されている中のモノを選ぶらしい。いくつか所持していたアイテムが選択肢になかったが、それらは持ち越し不可のアイテムとして公式サイトに載っていたので別段驚くことはない。いずれもβ後期の強力なアイテムが対象になっていたことから流石の運営側もある程度はバランスを考えたようだ。

散々悩んだ挙げ句、選んだ装備品は武器は当然β時代に愛用した二刀一対の刃渡り40センチ程の短剣(ソードダガー)防具は、俺がβで手にしたアイテムの中でもかなりレアな脚装備を選択した。二刀一対で【双剣】扱いのモノなので、なんだか得した気分だ。


ここまでがβテスター達への特典のすべてだ。次からは全員共通のスキル選択項目だ。

スキルは一人10まで装備できるが、初期設定の段階では数ある初期スキルのうち、5つしか取得装備できないようになっている。残りは向こうの世界で買うなり修得するなりしろ、ということらしい。付け加えるならば、10以上スキルを得た場合は控えとして扱い、ステータス画面から変更できるようになる。課金アイテムとしてスキル装備数の上限アップ用のものが出るとか出ないとかまことしやかに噂されているが、詳しいことはわかっていない。


俺はβでのスキル構成を思い出しつつ武器系や移動系など、それぞれのスキルをとっていく。

ここでスキルについて少し捕捉しておくと、スキルというのは大まかに三つに分ける事が出来る。


一つ目はパッシブスキル。この種のスキルは所持者がスキルの使用を意識することなく、常時発動しているスキルのことだ。例を挙げれば【毒耐性】や【麻痺耐性】等の耐性防御系スキル、【剣技熟練】や【槍術熟練】等の武器熟練系スキルが含まれる。


二つ目はアクティブスキル。この種のスキルは所持者がスキルの使用を意識的にコントロールする事が出来るモノだ。例を挙げれば【ステップ】や【ジャンプ】等の移動系スキル、【横薙ぎ】や【ダブルスタブ】等の攻撃系スキルが含まれる。


そして三つ目がマルチスキル。これは各種のスキル熟練度が一定に達した場合に起こる、スキル錬成、というシステムによって生まれるものだ。この種のスキルはとても貴重で、例を挙げれば【状態異常耐性】【第六感】(シックスセンス)等だ。【状態異常耐性】というのは耐性系スキル三つ以上の熟練度が一定に達した場合に起こるスキル錬成だ。例えば【毒耐性】【麻痺耐性】【催眠耐性】のスキル熟練度が一定に達したとする。するとそれぞれを【~無効】のスキルにランクアップさせるか、三つ纏めて【状態異常耐性】のスキルにするか選択する事が出来る。

というように、複数のスキルが錬成システムによって一つに纏められたものをマルチスキルという。

しかしマルチスキルは他のほとんどのスキルと違いランクアップさせる事が出来ない。このときにどうするか、というのが先に挙げた【~無効】のスキルへとランクアップさせたモノをさらに鍛える、という手段だ。熟練度が一定に達した場合には【状態異常無効】というように錬成する事が出来る。ただこれをやろうとすると効果が強力なぶん、とんでもなく地道な努力と時間が必要になる。


スキルについての捕捉はこんなものだ。そうこうしているうちに俺のスキルも決まった。

俺のスキル構成は、


【ジャンプ】【ステップ】【剣技熟練Ⅰ】【身体能力上昇】【聴力強化】


だ。攻撃系スキルを一切とらなかったのは【剣技熟練】のスキルを持っていれば後々熟練度上昇に伴って、アビリティを得る事が出来るからだ。アビリティ攻撃とスキル攻撃の違いについては、まぁ、そのうちで良いか。



さて、やるべき事はすべて終わった。

ここから先、俺は他の人達と共通のフィールドでモンスターと戦っていくことになる。俺は再びあの世界へと旅立つべく、アクセスワードを口にする。


「ダイビング・《Next World Online 》!!」


視界に写っていた鏡が粉々に砕け散り装飾過多の枠組みだけがまるで入り口のように大きく口を開けている。否、ような、ではなくこれは正真正銘入り口なのだ。目の前にゴシック体の英語で“Welcome to the NextWorldOnline !!”という文字が踊っている。それもバラバラにフェードアウトしていき、ゲートから射し込む光が強くなったかと思うと次の瞬間には、俺は東京ドームが丸ごと収まるとも言われる広大で、そして美しい時計塔広場へと降り立っていた。

周りから割れんばかりの歓声が聴こえる。俺と同じく、サービス開始と同時にログインした筋金入りのゲーマーたちだろう。


もうここは、剣と魔法、自分達の手で力をつけていく冒険の世界なのだ。βと解像度や背景に大差は無さそうだ。俺は半年前は何度もこの場所を訪れていたというのに、こうして多くのプレイヤーの中にいると感じる思いもひとしおというものだ。


つまり、今この瞬間にかぎれば俺も彼らと大差なく、



「うおおおぉぉぉぉおあああ!!!!」



その歓声をあげる、一人となったのだった。








誤字脱字等あれば、連絡貰えると嬉しいです。


感想に関しては出来るかぎりすべてに返信しようと思っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ