Part2 放射能、放射性物質、放射線とは
私達はメディアを通じて、「放射能」や「放射線」、「放射性物質」という言葉を度々聞いてきました。
これらの言葉には明確な違いがあります。
しかし、これらを混同してしまい、誤った理解の仕方をしている人も多いのではないかと思います。
そこで、私は「そうだったのか! 池上彰の 学べるニュース第5巻」を参考にしながら、分かりやすくまとめてみました。
本では、蛍に例えて説明されていましたが、私は囲炉裏に例えて説明してみようと思います。
(※囲炉裏はただの例えであって、決して囲炉裏を悪く言っているわけではありません。その点を誤解しないよう、読者の方にはお願いします。)
・放射能… これは囲炉裏そのものに該当します。これがなければ放射性物質も放射線も出ません。
・放射性物質… 囲炉裏に置いてある炭に該当します。炭が赤々と光りながら燃えている状態は、放射性物質が放射線を出していると置き換えて考えることができます。
・放射線… 炭から出てくる光や熱に該当します。つまり(事実上)物質ではありません。
私達が俗に放射能漏れと言っていることは、いわば放射性物質が漏れた状態を言います。
上記の囲炉裏で言えば、燃えている炭が囲炉裏から外に出てしまった状態と考えれば分かりやすいと思います。
こうなっては大変です。外を通りかかった人が間違って炭に触れてしまえばやけどをしてしまいます。
しかし、放射性物質は半減期と呼ばれる時間の経過によって徐々に放射線を出しながら減少していき、安定な物質に変わっていきます。
例えて言うなら、燃えている炭は時間の経過によって徐々に火が弱くなっていき、やがては火が消えて真っ黒な黒鉛になって安定するといったところでしょうか。
ここで出てきた「半減期」という言葉は、最初の放射性物質の質量を1とした時に、その半分の0.5になるまで減少するのにかかる時間のことです。
例えば、半減期が1年の放射性物質が1gあった場合、1年後にその物質は0.5gに、さらに1年後(最初から考えて2年後)には0.25g、さらに1年後には0.125gになります。
このように、放射性物質は事実上消滅するまでにある程度時間を要します。
(中には半減期が1秒にも満たないものや、数億年にもなる物質もあります。半減期が億年単位なら、人間の感覚で言えば安定な物質と考えても差し支えはありません。)
ですから放射性物質漏れ(放射能漏れ)は、発生源がなくなってもある一定時間の間は影響が続きます。
そのため、一般に危ないことを招くケースがあり、我々には危ないという概念があります。
一方で放射線漏れは、光や熱が行ってはならないところに漏れ出てしまった状態に該当します。
放射線漏れであれば、炭は囲炉裏の中にとどまっているわけですから、放射性物質漏れ(放射能漏れ)とは全く違います。
放射線は、照射をやめると一瞬でエネルギーがなくなり、人体への悪影響もなくなります。
夜にスイッチをOFFにして部屋の電気を切れば、それまで明るかった部屋が一瞬で暗くなることを想像していただければ分かりやすいと思います。
X線検査やCTスキャンをイメージしてみてください。
そこで照射しているのは放射性物質ではなく、放射線です。
(もしX線検査やCTスキャンで放射性物質を照射したらそれは大変なことになってしまいます。)
(※なお、上記のことはあくまでも例えです。実際に囲炉裏と放射能を結びつけて考えないよう、よろしくお願いします。)
実は私も2011年2月までの時点では放射能や放射性物質、放射線の違いについてきちんと説明することができませんでした。
しかしその後、本やテレビ番組などで勉強し、この作品を通じて説明できるようになりました。
読者の方にもこれを機に、どうか正しく理解をしてくださるよう、よろしくお願いします。
(ただ、時々マスコミなどで混同されたり、誤解を与えるような表現があったりする場合がありますので、ご注意ください。)