幕間:伝説を超えて現れし勇者たち〜王者と神の勇者、登場!〜
(ラウンド3の熱気が収まりきらぬまま、会場全体が静まり返る。あすかが次のセクションに移ろうとしたその瞬間、舞台の背後――光が差す扉が静かに開かれる)
(荘厳な音楽が鳴る。照明が変わり、観客がざわめき出す。あすかが驚いたように扉の方を向く)
あすか:
……っ!この光…まさか!?
(ゆっくりと入ってくるのは、金の甲冑に身を包み、王冠を戴いたアーサー王と、獣の毛皮を纏い、棍棒を携えた筋骨隆々の男、ヘラクレス)
(会場、騒然。対談者たちも立ち上がり、動揺を隠せない)
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驚きの反応と対話の始まり
ジャンヌ(目を見開き、思わず立ち上がる):
あ……あの剣の意匠……まさか、伝説の――!
義経(目を細める):
……あの威風、ただ者ではない。まさか本当に……
マキャヴェリ(目を大きく見開き、珍しく声を漏らす):
“王の中の王”と、“神の試練を超えし者”……!
これは――神話と歴史の境が崩れる瞬間か。
老子(静かに頷き、深く一礼する):
風に名はなくとも、道を知る者は、自然とわかる。
まさに“英雄”とはこのような気配なのですね。
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アーサー王の登場と語り
アーサー王(穏やかながら、響き渡る声で):
皆、驚かせてしまったようだな。
だが、あなた方の語りを、私はずっと“円卓の騎士”としての誇りをもって拝聴していた。
“勇者とは何か”――
我がブリテンを治めし王として、この問いは、常に我が剣の根幹であった。
義経(深く一礼しながら)
……お会いできるとは思いませんでした、アーサー王。
その剣、エクスカリバーは、まさに“正義を体現する剣”と聞き及んでおります。
アーサー王(義経を見つめて):
あなたの剣にも、深い悲しみと、清らかな意志が込められていた。
あなたは剣の勇者であり、心の王でもあったのだろう、義経殿。
(義経、目を伏せ、唇を結ぶ)
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ヘラクレスの登場と語り
ヘラクレス(力強く歩み寄り、声を張る):
俺は、ギリシャの地で十二の試練を越えた者――
だが、その試練のほとんどは、己が“過ち”によって課された罰だった。
(対談者たち、ハッとする)
ジャンヌ(静かに問いかける):
……あなたのような存在でも、“罰”を受けたのですか?
ヘラクレス:
ああ。俺は神の血を引きながらも、人を殺し、憎まれ、苦しみ、泣いた。
だからこそ知っている――
勇者は、決して無垢な存在じゃない。だが、立ち上がることで勇者になるんだ。
老子(柔らかく微笑み)
……立ち上がること、すなわち“道”を歩むこと。
あなたの力は、ただの暴ではなかったのですね。
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哲学と戦火の交錯 ― 対談者のリアクション
マキャヴェリ(腕を組みながら、興味深そうに):
……アーサー王。あなたの治世は伝説とされ、理想国家の象徴とも言われています。
だが、その“円卓”は、本当に秩序を保っていたのでしょうか?
アーサー王(静かに答える):
理想は、常に綻びと背中合わせだ。
騎士たちも、人の欲や妬みによって争った。
だが、それでも――“理想を追う場”としての円卓を、私は信じ続けた。
理想は儚くとも、それを追う姿こそが“勇”なのだ。
ジャンヌ(目を潤ませて)
……それでも信じる。その姿勢が、誰かの光になる……!
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二人のゲストの問いかけと余韻
ヘラクレス(全員を見渡しながら):
お前たち全員が、それぞれの時代で“勇者”として生きた。
そしてそれぞれ、裏切られ、傷つき、誤解され――
でもな、それでいい。勇者は、勝った者じゃなく、“最後まであきらめなかった者”のことだ。
アーサー王(円卓の中央に視線を落とし):
“勇者は本当に必要か”――
それは問い続けられるべきテーマだ。
なぜなら、それを問い続ける限り、人は正義や希望を手放さないからだ。
(対談者たちが静かにうなずく)
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あすか、驚きと感謝の言葉を述べる
あすか(感無量の様子で)
……本当に……なんという光景でしょうか。
伝説の勇者たちが、ここに集い、時を越えて“勇”を語り合っている……
これ以上の締めくくりが、あるでしょうか?
(会場、拍手とため息が交錯する)
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アーサー王(一礼しながら)
では――我らはもう、退こう。
未来の“勇者”たちよ。
剣を取る者も、言葉を使う者も、祈る者も――勇気を忘れるな。
ヘラクレス(背を向けながら)
あとは任せたぜ、“今”を生きる者たちよ。
(光の中にゆっくりと消えていく二人の姿)
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(再び静けさが戻る舞台。対談者たちは、言葉なく、どこか少し微笑みをたたえて席に戻る)
あすか(深く一礼して)
……それでは、エピローグへと参りましょう。




