ジャブを打つ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
軽口多くて真面目な方は、皆口に出さないだけで、信頼されてると思うんですよ。
私の知人で一番人を見ているのは誰か、と聞かれたら一人の女性が思い浮かぶ。あんまり口数が多い方では無いけれど、話し掛けると比較的ノってくれる。
今日も二人で遠出した時に人の話に持っていく。
「そう言えば、○○の車ではアニソンがエンドレスで流れるんだよね。なんだったけな
……タイトルは確か、マルバスドラム」
「ヲタクである以前に腐男子ですからね」
助手席に座ったまま、ころころと笑う。
今上げたタイトルはアニメ化もされたBL漫画。彼奴は腐男子である事を隠してはいないし、周知の上。それに大してこの子は特段引いたりしなかった。ただ目を丸くして『貴重な方ですね』と言っただけだった。
「良い機会なので、○○さんの事でお聞きしたい事が。前に私が御一緒して以降、私の事を○○さんにお話はなされましたか?」
運転している最中だから、彼女の顔を拝む事は出来ない。でもきっと探りを入れてる。ジャブと言っても良い。
「したよ? 別に告げ口をした訳ではないのだから、良いでしょう?」
「えぇ勿論。寧ろそれがとても嬉しいのですよ」
以前彼女と初めて遠出した時の事、今日も同じ様に彼女は助手席に乗り込んでいた。人と話をするのは好きなので、彼女の周りの人間関係、それからこれから見知るであろう人の話になった。
「○○さん、よくいらっしゃるんですよ」
「ちょっかい掛けに?」
「ええ。最初のあの方のお言葉ご存知で? 『可愛い女の子達が』ですよ。思わず笑ってしまいました」
彼女は初めて○○と会った時の事を思い出したのか、噴き出したように笑い出した。
彼奴は滅茶苦茶に軽口が多い。それは初対面の人でも関係ない。これからも顔見知りになる人間の距離感を測っているのだ。
「でも――真面目な方ですね。私にあの場所の善悪を教えたのもあの方です。『俺は弓手だけの男だよ』と仰いながら、自分が分かる弓手の話を丁寧に教えて下さいました」
「……そうだよね。彼奴、結構真面目だよね」
多分、私が知らない間にも、何度も顔を出している。それ故に彼の人柄を知る事は多かっただろう。けれども周りの皆が『腐男子』や『ヲタク』、『人生ノリで生きてる』、近くて『時折厳しい』という意見を言う中で、この子は本当によく見てると思った。
「よく見てるね」
「皆様も同じ様に返答なさると思いますよ? 善悪の基準も、指導も、私だけに行われたものではありませんから。きっと口に出さないだけで、○○さんの事信頼なさってます」
そう言ってまた話が変わった。
これを彼奴に話したら、きっと喜ぶだろう。真正面から『○○さん真面目ですよね』という子では無いし。
それから彼奴の身にどんな変化があったのかは分からない。でもきっと良い変化であったことは間違いないだろう。
オマケ
「○○さん、向こう側で飲食は禁止だから」
「水飲む時にはそれ外してね」
基本的に軽口が多いけれど真面目。という話を○○さんの同僚に話した。
別に自分の株を上げる為に行った訳では無いけれど、気遣いの出来るあの方は、きっと○○さんにもこの話をしただろう。
だからだろうか? 前よりも軽さが減ったのは。
彼女も彼も、○○さんもずっとジャブを打ちます。
だからタイトルが『ジャブを打つ』です。
○○さんのモデルは存在します。大学時代の先輩です。
御本人が『言ってること八割適当』と仰る様に、大抵が軽口。でも残り二割は大真面目です。
それを周り皆暗黙の了解でした。
『八割は聞かなくて良い。でも声のトーン落とした、二割は真面目に聞かなきゃ駄目』
と称される程。
信頼がなければこんな事言いません。
それでも『軽い人』を頑張って演じてる事も薄々分かってるから、皆面と向かって褒めないんですよ。
その頑張りを買ってるから。
だから裏で静かに皆評価するんです。
やっぱり信頼してるじゃん( ˙-˙ )
と朝っぱらから思いました。