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異世界の目覚ましスライム!

「ハラった…。」


 ハラペコで死にそうだ。

 オレはナゼこんなとこで、野垂れ死をしかけているんだ?

 あぁ…死ぬ前に美味いモノを食べたい。

 目を瞑ると思い出す、学生時代からの好物のアレコレ…


●吉野家の牛すき鍋膳 787円

●すき家のおろしポン酢牛丼 550円

●松屋のキムチチゲ・カルビ焼肉セット 890円

●かつやのおろしロースカツ定食 850円

●ねぎしのねぎしブラッキーセット 1800円

●洋包丁のスタミナ焼ランチ 820円

●丸亀の焼肉ぶっかけうどん 750円

●オリジンの回鍋肉弁当 530円

●ほっともっとのビーフレモン弁当 600円

●ファミマのこだわりカレーライス 358円

●ローソンの海鮮かき揚げ丼 592円

●セブンのカニカママヨ寿司 162円

●がってんの一本穴子 605円

●魚がし日本一のえんがわ 360円

●銚子丸のえんがわ西京炙り 420円

●山岡家の醤油ネギチャーシュー麺 1100円

●南京亭のジャンボ餃子 437円

●マックのビッグマック 450円

●ロッテリアのエビカツバーガー 420円

●モスの肉2倍よくばり焼肉ライスバーガー 620円

●ケンタのてりやきツイスター 380円


 全てオレの略式名称で乙!

 税率アップを含め、値上がりしないことを祈るのみ。


 あぁ~こんな時に、思い浮かぶメニューが全てチェーン店ばかりだ!

 まぁ…好きだから仕方ないんだけど。


 それにしても…なんでオレは、異世界で死にそうになっているんだろ?

 オレが異世界にいるのはナゼか?

 それはオレ自身も全くわからない!?

 ありがちな定番の…

①病気に苦しんで亡くなり異世界へ転生する。

②交通事故で即死して異世界へ転生する。

③神様の手違いで異世界へ転移や転生をする。

④神仏や悪魔と契約をして異世界へ転生する。

⑤勇者一行として異世界へ召喚され転移する。

⑥プレイしたゲーム世界に転移や転生をする。

ゲート・ドア・机の引き出しから異世界に往来や転移をする。

⑧無職・ニート・引き籠り・イジメ・失恋・童貞などのトラウマを抱えて死んで転生する。

⑨前世が英雄か勇者の生まれ変わりの転生‥これは当てはまらないか。

 …などのテンプレートはオレには無かった。

 大人になってネットゲームにハマったり、神様に出会ったことも無い。

 最近、体力の衰えは感じているが、大病も交通事故にも縁が無く至って健康体だ。

 健康診断で肝機能の数値が少し高いのと花粉症のアレルギーはあるけど。

 ましてや社会でイジメを受けたり、無職ニート状態になったことも無かった。

 DTでも無いし、悲しいことに失恋もしばらくしていない…。

 ただ、記憶の一部を喪失している自覚はあった。


 現代社会から中世ファンタジー異世界に転移したことは解かるが、現世の記憶が曖昧だ。

 独身一人暮らしの会社員で、PCを使いデスクワークで働いていたのは覚えているが、どうも詳細が思い出せない。

 仕事で覚えているのは、勤めた大手企業の子会社で進行業務に携わっていたこと位のもんだ。

 年収500万円弱で年齢的・勤続的にも並みで、役職は主任だったけど…数人の派遣社員が下にいるだけで、上司という感じではなかったし出世自体を望んでいなかった。

 長時間労働や休日返上のブラックでは無かったが、退職者・中途採用者・派遣社員が多いので、ホワイトでは無かったと思う。

 部署や同僚は覚えているものの、企業内や得意先のことが記憶からスッポリ抜けてしまっている。

 30歳過ぎの中年オッサンで、身長170cm強の中肉中背の体型と平凡な顏が変わっていないのは、池の水面や町のガラスに反射した姿で確認することになる。

 記憶が処々で欠けていて、異世界に来た理由や転移直前のことを覚えていない。

 ドラマや映画で観た若年性認知症か記憶障害だろうか?


 記憶があるのは、春眠日和の昼前だったと思う。

 森の端にある木陰の草叢くさむらで寝ていると、近くにあった木の枝から小型スライムが“ポチャン♪”と落ちて来て、“ベッチャリ‥”と顏を塞がれて呼吸困難と独特の感触に、

「うぎぁっ!」とパニクって飛び起きたのが異世界の始まりだった。

 口の中に粘着液が入って気持ち悪かったが、スライムが透明だったので視界不良では無かったのが、多少マシだったのかもしれない。

「そして今、オレの手の平にいるのが話をした目覚ましスライムです!ジャ~ン♪」

 子供の時に遊んだガチャポンのオモチャスライムを思い出し、この落ち着く手触りのせいで手放せないままモミモミしていた。

 オモチャと同じで触ってもベトベトせず、透明感のあるプルプルの肉体は薄緑色で良く見れば中に核があるのが判る。

 スライムは襲う訳ではなく、害も無く大人しくしていた。

 周囲を見回しても、親スライムや他のモンスターは1匹も見当たらなかったが…

 寝ていた近くに、オレの蛍光グリーンの大型防水リュックが置いてあったのを発見する。

 手に持っていてもスライムからダメージやケガもなかったので、着ていたパーカーのポケットにスライムを入れてリュックを担ぎ、ひらけた平地が続く草原をフラフラと歩き始めた。

「兎にも角にも、安全に寝れそうな場所を探しますか!

 オッサンの冒険スタートだな。」

 ポケットをさすりながら、答えないのを知っているにスライムへ話し掛けた。

「いきなり異世界転移させられたけど、話ができる人を探してみるか。

 天気が良くて冬じゃなかったのは、不幸中の幸いかな?」

 誰に聞かせるでもない独り言をつぶやきながら、テクテクと草原を歩き続けた。

 暫く進むと道があり、轍があるので流通道路として馬車が行き来しているが解る。 

 太陽が沈む方の道を選び進み続けると、遠く3km位先に建物群が見えたので、町らしき所を目指すことにした。

【参考資料】

『幻想異世界辞典』


【調査・執筆・編集スタッフ】

①調査:ゴンタコス(東野高校RPG同好会)

②資料:高山大輔(戦乱検)

③執筆:髙山馬蘭

④校正:ヤポン・ヒロチ(EP)

⑤加工:GON

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