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第07話 使い魔


――午後4時20分――

――迷宮バーガー 晴町はれまちダンジョンセンター店――


「ぜ〜んぱ〜い゛!! 感動したっす゛!! い゛っしょにがんばりましょう〜〜!!」


「あんなもんで感動すな。泣きながら喋るから私が全敗したみたいになってるだろ」


ここは晴町ダンジョンセンターに常設されている迷宮バーガー。メニューが『シェフの気まぐれバーガー』のみという男前なハンバーガーショップである。


私とご主人様は放課後にダンジョンに潜る腹ごしらえのつもりでこの店にやってきたのだ。


「でもウチ、感動してしまって……うう、今度はまた笑けてきたっす……! ふっ、うふふ……」


なんかご主人様は私のスピーチに感動して探索者説明会が終わってから、泣いては笑い、泣いては笑いを繰り返しているらしい。今度は嬉しそうに静かに笑いだした。


情緒がヤバい!


「そういえば、なんか最後の方ざわざわしてたの何なの? ご主人様はなにか聞いてない?」


説明会のラスト、私が目標を言ったあと、会場がえらくザワついたのだ。やっぱり感動的すぎたかなー。カッコよすぎたのかも知れん。コレは1年生の有志によって私のファンクラブができるかも知れんね……(傲慢)


「ふふっ、ふ……ふぇ? あ、あーあれは、先輩が私を『ご主人様』って呼んだからっすよ……先輩のジョブは有名っすから、ウチもその後に色々聞かれたっす」


「え……? 私ってそんなに有名なの?」


初耳だ。こんなちんちくりん底辺探索者のどこに名が聞こえる要素があるというのか。もしかして、私ってすごくすごかった!?(増長)


「有名っすね……【晴町はれまちの狂犬】っていったら先輩のことっす!」


「晴町の狂犬っ!?」


「あとは【晴町第1層の番犬(ケルベロス)】とか、【猟犬注意ハウンドドッグ】とか、ネット界隈では【血濡れのチワワ】【晴女のポチ◯ナ】とか呼ばれてるっすね!」


「ネット界隈までっっっーー!!?」


ネットって何だよ? 自分が有名すぎてビビるんだが? 知らんかったし。そもそもポ◯エナとか伏せ字を使わないといけない異名つけんなよ。あとチワワって言ったやつはボコす。


「先輩は日本に3人しかいないユニーク職のうちの1人っすからね。めちゃ有名人っす!」


どやぁ! と、胸をはって自慢するご主人様。


何がとは言わないが、けっこう、ある!!


「でもユニークって別にそんな良いもんでもないぞ。ユニークが3人しかいないって言っても【忠犬】と【社畜】と【スーパーアイドル】だからな。全員めちゃくちゃ苦労してるし」


「へー、先輩って他のユニーク職の方とも知り合いなんっすね」


「うん。メッセランのグループあるし」


日本のユニーク職持ち3人でたまに情報交換が行われているのだ。だいたい不幸自慢か愚痴しか書かれていないが。


「まあ、ネット関係は夜に確認するとして……今日もこれからダンジョンに入るんだよね?」


ネット云々は今考えても仕方ない。

場合によっては通報すればよかろう。


「もちろんっす! でもその前に先輩に少し相談があるっす!」


「相談?」


「っす! 【使い魔】についてっす!」


そう言って、ご主人様がステータスボードを開いてこちらに見せてくる。


―――――ジョブスキル―――――

◆マジカル使イ魔《特殊》(NEW)

 ゆる使い魔を使役する。

 使い魔【なし】

――――――――――


「昨日レベルアップしてこのスキルを覚えたんすけど、好きな使い魔を選択できるみたいなんっすよ。どれにしようか迷ったので先輩に相談するっす」


選択……そういうのもあるのか。


ご主人様が『マジカル使イ魔』の項をタッチすると、別ウィンドウが空中に展開される。


―――――使い魔選択画面―――――

≫好きな使い魔を選択して下さい

◆アタッカー

 イヌ

 ネコ

 タヌキ

 キツネ

 ウマ

 etc……


◆タンク 

 カメ

 ヘビ

 トカゲ

 カエル

 恐竜

 etc……


◆サポート

 スライム

 ゴブリン

 ゴースト

 フェアリー

 エレメント

 etc……

――――――――――


「選択肢、多すぎっ!!」


なんじゃこの選択肢の多さは。


役割が3種でその下に生物の種類がズラッと並ぶ。さらに生物をポチッとタップすると犬なら犬で犬種がズラーッと並ぶ。


「これは確かに……選ぶの大変そう」


「っす」


全部で何種類くらいあるんだ? 細かい種類まで数えたら1000以上あるんじゃねーか?


「ちなみに、ここの『オプション』を選ぶと、羽を付けたり、ツノを追加したりできるっす」


「自由度も高い!?」


どうやら見た目だけのアクセサリー感覚で、効果はないらしい。なんつームダな機能をつけるのか。


「なんかここまで選択肢が多いと、多すぎて逆にどうでも良くなってくるね。ヨシ! いいことに考えた! テキトーに目を閉じてポチッと決めよう」


「テキトーすぎっす! こっちは真剣に考えてるっす! 先輩もマジメに考えるっす!」


はいはい。マジメに考えますよ。


うーむ……


「まず役割で考えると『アタッカー』と『タンク』はいらないと思う。アタッカーはご主人様一人でも火力過多だし、タンクも不死の私で十分受けきれると予想する。となると選ぶのは『サポーター』一択になる。モンスター系で統一されているサポーターのキモいラインナップの中から選ぶなら『天使』が一番まともそうに見える。しかし、これがもし、なのろのうの物語なら『スライム』に隠された将来性があり、なんかコイツチートじゃね? と後々確変する可能性も捨てきれない。個人的には『サポーター』は確定として、あとはご主人様の好みで決めるのが一番だと考える」


「ええっ!? なんすかその長文っ!!?」


「長文って……しょーがねーだろ、マジメに考えたんだから。忠犬的に」


忠犬的にご主人様の命令は断れないのだ。


「あ………………ごめんなさいっす……」


なんか知らないけどご主人様が落ち込んだ!!


え!? なんで!? 泣かないで!?


「えーと、気にしてないから大丈夫だよ? それでご主人様はどの使い魔にするつもりなの?」


「ウチ的には『ゴースト』にかれるっすねー。スライムより機動力ありそうだし、この参考動画の動きも可愛くないっすか?」


ご主人様がゴーストの項目をタップすると、右上の参考動画と書かれた部分に、白丸のオバケがふよふよ踊っている姿が映された。確かに可愛い。てか、作り込みが細かすぎる! 何なんだよこのUI作ったヤツ! 動画も確認できるって親切すぎだろ!!


ダンジョンが現れて約10年……人類はいまだにダンジョンについて確信的なことは何も分かっていない……が、私には1つ分かったことがある。この魔法少女のスキルデザインをしたヤツはサイコーにアホである(褒め言葉)。希少職で、ただでさえ数の少ない魔法少女のいちスキルに、どんだけコストを使っとるんじゃと思う。


それなら忠犬もちゃんとバランス調整してくれよー。

ホントに。切実に。


「確かに可愛いね。浮いてるから機動性も高そうだ。オバケだから壁抜けできるかも知れないし、隠し部屋とかも見つけてくれるかもだね」


「そうっす! やっぱり先輩はわかる人っす! 時間もないし、もうこの子に決めちゃうっす!」


そう言って、ご主人様は『ゴースト』の項目にある『召喚!』ボタンをタップした。判断が早い。


ぼふん! と音を立てて目の前にゴーストが現れる。


サイズはバスケットボールくらい。というか、まんまバスケットボールにシーツを被せたような見た目をしている。まん丸の目が2つに、大きな口、サイドにはオバーQのような手がちょこんと生えている。ふよふよと空中に浮かんでおり、足はない。風船みたいだ。


「きゅぷるるぅぅぅ」


鳴き声も可愛い。


これで『ドギャム!バリバリィィーーン!』みたいな、むかしのポ◯モンみたいな電子音で鳴いたらどうしようかと思った。可愛くて良かった。


「やったす! これからよろしくっす!」


ご主人様が握手を求める。指はないがゴーストはご主人様の手を握り返した。おいブンブン振り回すなご主人様。ゴーストが可哀想だろ。


「あなたの名前は、そうっすね……白餡しろあんっす!」


し、ろ、あ、ん!?


『ゆる使い魔『白餡』が仲間になった!』


なんか嬉しそうにふよふよ踊っている。

意外と名前が気に入ったみたいだ。


「お互いご主人様の従者として、今後ともヨロシクな」


私も白餡と握手した。


その後、白餡の性能を確認した私とご主人様は、そのハイスペックな性能に度肝を抜かれるのだった。


―――――ジョブスキル―――――

◆マジカル使イ魔《特殊》

 ゆる使い魔を使役する。

 使い魔【ゴースト】

 索敵、地図、鑑定、洗浄、アイテムボックス

――――――――――



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★★★(^∇^)ノ♪★★☆


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