金なら目の前にあるだろ
俺の唯一の友人が、大切な人を助けるための金がないと嘆いている。
可哀想に
哀れだ
「貧相な発想だな」
嗤ってやれば反抗する。
「お前には分からないさ」
そーかよ
俺は結構偉い人なんだぜ?それなのにお前は・・・・
「なあ金が欲しいか?」
「ああ欲しい」
即答でニヤリと笑い、覚悟を決める。
金の入手には心当たりがあるからな・・・そのプランで行こう。。
「俺とお別れ・・・もうこの関係を終わらせる。それを条件でてめぇの願いを叶えてやる」
優しいお前は、嫌だなんてほざいてやがる。
そんなんだから・・・・・俺に好かれるんだよ。
「明日楽しみしてろよ」
「うんとは言ってないんだけど」
交わってはいけなかった、そんな当たり前に目を逸らしてきたけど
そろそろ償う時でもあるかもな。
スタスタとアイツの声を無視してこの場を去り
静かさと嫌な風がこの場に残る。
お尋ね者のチラシが飛んで来て、地面に落ちた。
「・・・・・・お尋ね者だ」
知らない顔に、高額な賞金が書かれている。
「これぐらいのお金が欲しいもんだ」
もう帰ろう。アイツも帰ったし。
次の日だった、突然警察の人が来て言った。
「逮捕のご協力感謝します。これは1億2000万。ミラトラ・スールの首にかけられた金額です」
目を疑った、昨日見たお尋ね者のチラシと同じ金額がこの場にあるのだから。
でも・・・逮捕した覚えが無い。
「人違いなのでは?」
「・・・・実をいうと、ミラトラ・スールは急に自首をしてきました、俺の首はやるから、逮捕したのはコイツということにし、俺の懸賞金を逮捕した奴に渡せ。そしたら俺の首はお前らに渡す。そう約束しました。だからお受け取りください」
なんとも言えない気持ちになり、眉をひそめる。
今分かったんだ彼は犯罪者だって。
「僕は、ミラトラ・スールという名前は知らない、知ってるのは親友のラトリ・トリコウルだ」
だから
「なんか友を売ったみたいで」
受け取れない・・・・そう言いたいけど
「無駄にはしない。あの・・・彼に言っといて、刑務所出たら、一回顔面殴らせろってさ」
「・・・・・。分かりました言っておきましょう」
俺の金が欲しい願いは叶った。
金は近くにあったんだって、思ったんだ。