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31.メイド男爵、謎の暗黒令嬢と一緒に撃退作戦を考案する!


「ひぇえええ、どうしよ!? 人間相手とか、最悪なんだけどぉおおお!」


 しかし、私はビビっていた。

 そりゃそうだ、相手は人間である。

 ゴブリンとかなら良心の呵責なく突き落とすこともできたけど、流石に人殺しは抵抗がある。

 甘ちゃんのセリフかもしれないけど、なかなか腹の据わらない私なのであった。

 マツの作ってくれたスリングショットは強力だけど、あんまり使いたくない。

 たぶん、人が死ぬ。

 それに、あっちは敢えて「生け捕りにしろ」と言っているのだ。


「ふふふ、大丈夫ですよ! 人間は首を90度に折れば死にます!」


「大丈夫じゃないし、そう言う意味じゃない!」


 私の言葉にメイメイは思いっきりバイオレンスな返事を返す。


 この子、暗殺者一族の生き残りとかじゃないよね?

 笑顔で敵の頭部をぐるんぐるん回したり、心臓を抜き取って見せつけながら破壊したりしないでしょうね。

 私、思いっきり嫌なんだけど、そういうの。


「大丈夫です! まだ人間はやったことがありませんから、心躍ります!」


「大丈夫じゃないよ、さっきから!」


 メイメイは笑顔でガッツポーズを作るが、そんな問題じゃない。 

 ひぇええ、私は師匠として彼女を殺人者にするわけにはいかないし、愛する砦ちゃんを人間の血で汚されるのも勘弁だ。

 マツの作ってくれたスリングショットという武器もあるけど、直撃したら人が死ぬよね、たぶん。

 

 困ったなぁ、どう対処すればいいんだろう。


「ふふふ、しゅこーっ、私にお任せあれですよっ! しゅこーっ」


 暴走しそうなメイメイを抑えていると、聞きなれた声が聞こえる。

 っていうか、うちの砦には三人しかいない。

 つまり、その一人は当然、マツなのであって、声の主は彼女だろう。


「って、誰!?」


 振り返ると、そこには奇妙なヘルメットをかぶった人物が立っていた。

 頭部全体を覆い隠す形状なのだが、顔部分は一つ目でかなり不気味だ。

 まぁ、ツナギを着ているから、誰かってことはすぐわかる。

 しかも、どうやら呼吸が漏れるたびに変な音がする。

 苦しくないのだろうか。


「私は天才魔道具エンジニアの暗黒令嬢マン! ふははは、しゅこ、げふげふげふっ」


 奴はこんな状況にもかかわらず、摩訶不思議なことを言ってポーズをとる。

 しかも、やはり呼吸が苦しいらしくすぐに咳き込む始末。

 この子、アホだ。

 いや、分かってたけど。


「マツでしょ? そもそも、暗黒令嬢ウーマンじゃなくて? いや、暗黒令嬢でよくない?」


「謎の変態黒光り紳士の方がいいですよ!」


 悪ふざけするマツに私たちは冷静にツッコミを入れる。

 メイメイのそれはもはや悪口に聞こえるけど。


「んながぁっ!? しゅこーっ、わ、私は暗黒令嬢! 君たちに策を授けようじゃないですか! しゅこーっ、たぶん、人を殺さずに撃退する方法がありましゅこーっ」


 私たちのツッコミが効いたのか、一瞬にして名前を変更するマツ。

 彼女はなんと敵を撃退する方法を考え付いたという。

 しかも、私の望む不殺による撃退方法であるとのこと。


「おぉ、いいじゃない! どうやるのさ?」


「ふふふ、これを使います! しゅこーっ」


 私の問いかけに、暗黒令嬢、いや、もうマツでいいやめんどくさい、は意外なものを見せてくる。


「あ、それ私の作ったキノコスープじゃん!? どういうこと!?」


 そう、マツが私たちに見せつけたのはさきほどまで作っていたお鍋だった。

 私の愛情がたっぷり詰まった、萌え萌えキュンキュンするキノコスープである。

 皆で美味しく頂こうと思っていたのに、どういうこと?

 食べ物を無駄にするなんて許されないんだけど!


「ふふふ、しゅこーっ、これはただのキノコスープではありません。しゅこーっ、見てください、この禍々しい笑顔マークの浮き出たキノコは、しゅこーっ、メガワライタケの一種でしゅこーっ、げふんげふん」


「は?」


 だがしかし、マツの答えは意外なものだった。

 なんと、私が調理に使ったキノコはまたしても毒キノコだったとのこと。


 うっそぉお、普通のキノコなんだよ?

 王都に出回っているピイタケそっくりなんだけど!?

 確かにちょっと変な模様があるなぁとは思ったけど。

 ここら辺の地域、毒キノコが多くない!?


「メガワライタケなんて、笑いが止まらなくなって気絶する奴ですよ!? そんな凶悪なスープを作るなんて、さすがお師匠様! こういう事態を予測してたんですね!」


「おぉお、そうだよ!? よく、わかったね、メイメイ!」


 このスープを皆で食べようとしてたなんて知られたらやばい。

 そんな風に恐れていたのだが、メイメイが超絶勘違いした助け船を出してくれる。

 もちろん、その船に全力で乗っかる私である。

 

「しゅこーっ、この神経毒たっぷりの鍋を連中にぶっかければ、たぶん、いなくなります! しゅこーっ、毒消し魔法でどうこうできる量のキノコじゃないですもの! ぬひひ、げふんげふん!」


 マツは咳き込みながら、その恐るべき作戦を授けてくれる。

 すなわち、敵に毒キノコスープぶっかけ大作戦である。

 語呂が悪い。

 っていうか、いい加減、その仮面、外しなさいよ。


「男爵とメイメイは敵を一か所に集めてください! しゅこーっ、そしたら人の心を失くした暗黒令嬢たる私がこの神経毒をぶちかましてやります! ぐふふ、しゅこーっ!」


 マツはそう言うと、壁にかかった黒板に絵を描いて作戦を伝える。

 敵の数が多い以上、奇襲をもって一気にかたをつけるべきという考えらしい。


 ふぅむ、敵を一か所にねぇ。

 さきほど、あの偉そうな人は部隊を三手に分けるとか言ってたんだけど。

 そんなことできるかしら。


 どごぉおおんっ!


「あいたっ!?」


 腕組みをして考えていると、砦の扉が大きな音をたてる。

 同時に私の下腹部に激しい痛みも。


 くぅううう、砦とシンクロナンテしたくないっ!


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