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鼻血がぶっ!は!

「それではヒッポ様。結界を張って下さい。」


「おい。」


「なんでございましょう?」


 ヒッポはいつになく不機嫌だった。

 そのわけはヒッポが渡されたものにあった。


「何だこれは?」


「これは貴方の玉肌を傷をつかないための最高の防具であります。」


 そう言う騎士の目線の先にはヒッポが渡されてきた鎧にあった。


「動けないんだか、そして、見えない。」


「人体で最も無防備なのは目です。男性なら股間も入りますが、目は最悪死ぬことがあります。なので、顔を守るために兜が一番硬く重くなっています。」


 ヒッポはいや、全体的に重いんだがと思った。


「これ、僕、狩りに行けないんだけど。」


「ですが、この村には村全体に結界を張れる者がいないのでヒッポ様には居てもらわないといけません。」


 他の騎士も狩場でヒッポを連れて行き守るつもりだったのだが、去年、この村に結界を張っていた老人の男性が数日前にお亡くなりになっていた。

 村の守護する後継人が育成する前にお亡くなりになってしまったのでこの村全体に結界を張れる者が今年いない事になるのでヒッポに狩りが終わるまでこの村で結界を張ってもらわないといけない。


「なら、結界を張って移動したらいいじゃない?」


「ヒッポ様が結界を張りながら動ける事は知っていますが、完全に結界外に出て大丈夫なのですか?」


 騎士達の認識では結界内を動くことが出来る。もしくは一部なら結界外に出させると考えていた。


「持続時間は?狩場までの距離で複数の結界を維持する事は可能ですか?」


「一日なら余裕。最大持続時間は3日だよ。この村から狩場までなら四つは余裕だね。」


 この討伐隊の隊長がヒッポに結界の持続時間と結界の複数維持を聞いた。

 それを聞いた隊長は吟味していた。


「分かりました。ヒッポ様を連れて行こう。」


「正気ですか?!!」


 鎧でヒッポを雁字搦めにしようと思っていた騎士が隊長の正気を疑った。

 

「ヒッポ様が出来ると言っているのだ。私が止める要素はない。」


「じゃあこの鎧、脱ぐね。」


「「「「?!!!」」」」


 冬に近づき外は寒くなったが、室内は暖炉を焚いている為、室温は隙間がほぼない鎧を着るには暑すぎたのだ。

 その為、鎧の下に着ていたヒッポの服が汗で透けていたのである。

 この書物でしか見たことのないシチュエーションに騎士達は不覚にも興奮して鼻血を出していた。


「ふぅ、暑かった………って何しているの?」


「いえ、お気になさらず………それよりヒッポ様、服が……」


 騎士達は鼻血を出しながら倒れている者や倒れるのを堪えながら上を向きヒッポのあられもない姿を見ないようにしていた。


「これからずっと過ごすんだから。これくらい慣れてほしいな。」


「こ、これくらい………ぶ!!!」


「この馬鹿!ヒッポ様でどんな想像をしたんだ!!」


 ヒッポの発言で仕える者として不適切な想像をした騎士がより多くの鼻血を出して溺れかけていた。

 そんな騎士に鼻血を滴り落としている他の騎士が怒鳴っていた。


「はぁ、早く鼻血を止めて行くよ。もう結界は張ったから。」


「えっ?」


 隊長はヒッポの発言の真相を確かめる為、索敵したら結界が確かにこの村全域を守っていた。

 鼻血で気が抜けていたのもあるが、想像以上のヒッポの早技に純粋に驚いていた。


「気が付かなかった。それにこれはかなり強固な結界。」


 外に出ると一人の騎士が結界を叩いて強度を確かめていた。

 一つの歪みのない半円の結界は見ただけで完成度の高い結界であると理解できる代物だった。


「うん。この規模なら余裕だね。消耗しても2日は持ちそう。」


 ヒッポはあまり大規模での結界を展開したことがなかったが、この村程度の規模ならあと二つ増やしても余裕であると実感していた。


「油断しないで下さい。ヒッポ様。これより先はいつ死んでもおかしくない地です。一瞬の気の緩みが命取りになります。」


 隊長はヒッポが一瞬見せたこの任務への一瞬の緩みを見逃さなかった。

 そこには卑猥なヒッポの姿で顔が緩み切っていた情けない隊長や騎士の姿がなかった。

 その姿を見てヒッポはより一層気を引き締めた。

 結界の外に出たらそこからは飢えた獣が闊歩する危険な地である。騎士達も命の限りヒッポを守るつもりだが、何があるのか分からないのが死地である。

 ヒッポにも出来る限り己の命を守ってもらわないといけない。

 元々、ヒッポは守られるつもりはないが、それでも覚悟が必要だった。

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