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心地良い時間

「ヒッポ。お前は来年、学園に入学しろ。」


「えっ、嫌だ。」


 母に呼ばれたヒッポはすぐさま否定して退出しようとした。


「待て待て。別に男聖学園に通えとは言っていない。お前が通うのは騎士学園だ。」


「騎士学園?あそこは女子しか入っていませんが?」


 この世界の学園は騎士学園や男聖学園などの性別での専門職を学ぶ所と文武を学んで様々な事を学ぶ学園のふた通りがある。

 ヒッポはナイトナイトにある学園でヒッポが通うとしたら前にヒッポが襲った男聖学園だと思っていた。

 それが女子しかいない騎士学園だと聞いて疑問しか浮かばなかった。


「お前の才能と能力から男聖学園に通わせるより騎士学園に通わせた方が有意義だと話し合ったんだ。」


「それで何処の騎士学園に通うのですか?」


 こう聞いたヒッポであったが、十中八九ナイトナイトにあるナイトディア騎士学園だと考えていた。

 そこならナイティー家の関係者が多く運営も血縁者がしている為、男である自分も問題なく入学できると考えていた。


「王立キンガー騎士学園だ。」


「………本当ですか?」


 王立キンガー騎士学園。

 ナイトヘブン二大学園の一つである騎士学園で、昔、母も通い現在は姉も通っている学園である。

 世界的にも有名で何より多くの生徒が他国なら騎士団長クラスになれる実力者が通っていると言われるほどの実力主義の学園として有名である。

 先生も現役の王族直属である近衛兵から騎士団長も臨時講師として師事してくれると聞いている。


「入れるのですか?」


 そんな他国からも貴族が通う事のあるこの国の誇りである学園に男子が入る事が出来るのかヒッポ自身些か疑問にあった。


「あぁ、学園長(やつ)の試験に受かればだけどな。」


 王族や公爵など貴族の中でも位の高い家で優秀なものしかなれない学園長を奴呼ばわりするのは母ぐらいしかいないだろうとヒッポは母の話を聞きながら思った。


「アイツは昔から学園のモットーを愛し実践してきた奴だから。試験の内容も検討がつく。」


 母が予想した試験内容は模擬戦で学園長が選んだ者達に勝つ事だった。


「実力主義な学校らしい試験ですね。」


「アイツの昔からやっている選抜方法だ。今回も多少は内容が変更しているだろうが合っているだろう。」


 知り合いである母の思考を読んで別の試験にする可能性は無いのかとヒッポは考えた。


「ないとは言えないが限りなく無いな。試験内容が読まれた程度で受かるほど楽な内容では無いからな。読まれても困らないのもアイツがこの試験を好んでいる理由の一つだ。」


 確かに読まれた所で難易度は然程変わりはしない。


「お前にはこれから今まで以上の特訓をつける。」


「それは望む所ですが。時期が時期ですよ。」


 この冬が近づいてくるこの時期は冬眠の準備中の魔物や生物が餌を探して人里に降りてくる時期であり、それを過ぎたら冬眠ができなかった魔物や生物が人里に積極的に降りてくる季節になる。

 その為、この街の実力者は領地の各地に行って防衛の手伝いをしないといけない事になっている。


「だから、お前にも討伐に参加してもらう。」


「………いいんですか?」


 ヒッポは笑みを浮かべながら母に尋ね返した。

 それは前々から母に頼み断れてきた内容である。前に行った討伐とは危険度は比較がならないほど危険な仕事になっている。


「………正直に言えば嫌だが、お前の結界のレベルは大人顔負けだ。成長させないのは宝の持ち腐れだ。」


 命の危険に晒されることによって生物は強くなる。

 この家に伝わる家訓であり、この家の女が全員がその身で実感していることである。


「成長してこい。ヒッポ。」


「えぇ、期待には答えますよ。」


 ヒッポは母から期待が心地良かった。

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