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頭痛が酷くて執筆が遅れて投稿が遅れました。

すみません。

「確かに今の自分の強さが知りたいから。練習相手いないか?聞いたけどなんでマルサ姉様がいるの?」


 ヒッポは史上初の男性騎士になる事を決意したが、どうやったらなれるのかさっぱりわからなかったため、取り敢えず強くなる事にした。

 そこで現在の自分の強さを知りたく、実戦練習を頼んだのだ。


「あら?私じゃ、不満?」


「そんな事ないけど、いつ帰ってきたの?」


 マルサは学園に通う学生である。

 全寮制であるため、現在は家に帰ってきていない筈だ。

 それなのに、マルサがいる事にヒッポは疑問に思っていた。


「ヒッポが男聖学園に乗り込んだって私に抗議の話が来たのよ。」


 どうやら、それで事の真相を知るために実家に帰ってきたようだ。


「そしたら、騎士達がヒッポの相手を誰がするかで悩んでいたから。私が名乗りあげたってわけ。」


 騎士達もマルサがいつの間にか帰ってきていた事に驚いていたが、これ以上ヒッポを待たせるわけにも行かないので、マルサに任せる事にした。

 因みに、騎士達は二人の邪魔にならないように遠巻きに見ている。


「まぁ、いいや。それじゃあ、よろしくね。姉様。」


「えぇ、どっからでもかかって来なさい。」


「………………マルサ様!マルサ様がかかっていくのですよ!」


 無言の空間が数秒続いた後に見守っていた騎士が大声でマルサの誤解を解いた。


「えっ?そうなの?」


「そうですよ。僕の結界の強度を見てもらうのが目的だよ。」


 ヒッポは丸い結界を展開するとその場から動かずにじっとマルサが攻撃してくるのを待っていた。


「そう、それなら遠慮なくいくわよ。」


 マルサは模擬剣を構えると一直線にヒッポへ切り掛かった。


「かったいわね。それなりの力で振ったんだけどね。」


 平均的な結界なら壊せるくらいの力で剣を振ったマルサはヒビすら入らないヒッポの結界に内心驚いていた。


「…………ヒッポ。貴方の結界、何処か違和感があると思ったけど、盲点がないじゃない。」


「盲点?」


 マルサの言っている盲点とは結界で一番強度が低い場所のことである。どれだけ優れた男性が作った結界でも存在するというものである。

 それがヒッポの結界には存在していなかった。


「だから、ヒッポの結界に盲点がないのは可笑しいのよ。」


 盲点なんてそうそう分かったりしないのだが、マルサの類い稀ない勘の良さの前には一瞬にして結界の盲点を看破する事が可能なのである。


「それなら、直しましたよ。」


 ヒッポは自分の作る結界に強度のムラがある事を知った。

 そして、それは自分の悪い癖なのだと勘違いしたヒッポは強度を均等化させる為に自分で壊しては直すを繰り返していた。


「直しては壊すって……………ねぇ、それって結界を展開しながら動けるという事?」


「そうですが、それがなにか?」


 マルサはヒッポの返答を聞くと、顔に手を当てて天を仰いでいた。


「ヒッポ、貴方、よく自分には才能がないとか言っているけど、もう言わないほうが良いわよ。嫌味にしか聞こえないわ。」


「どういう事?」


 ヒッポには自分自身に才能があるようには思えなかった。


「はぁ、良い。貴方には才能があるわ。それも化け物クラスのね。」


 マルサは呆れたようにヒッポに言った。


「防御魔法と回復魔法を使っている間、動くことは困難よ。少なくても10歳の子供が出来る芸当ではないわ。」


 それに加えて、敵の前で使う攻撃魔法とは違って後方支援に使う防御魔法や回復魔法は動いて使う事を想定していない。

 その事から防御と回復の発展は効果に特化していた。


「ふーん。それは皆が雑魚なだけじゃない?」


 ヒッポは自分が凄いのではなく、他の者達が雑魚だから。自分の評価が上がっているだけだと感じた。

 そもそも、ヒッポの比較対象が歴史や物語に名を残す英雄達なのである。


「まぁ、良いわ。それじゃあ今度はもっと力を入れて切るわよ。」


 マルサはこれ以上ヒッポに言っても無意味だと思って実践で分からせる事にした。

 そして、今度はヒッポの結界にヒビが入った。


「修復速度も高い。本当に厄介な結界ね。これで初歩の結界だというのだから。本当に末恐ろしいわね。」


 一瞬にしてマルサが付けたヒビを直していた。

 ヒッポは剣術や身体を鍛える事を優先した為に、防御魔法も回復魔法も初歩の初歩しか習っていなかった。


「次は二本で数十分切っていくから。耐えてね。」


 マルサは元々二刀流である。

 手加減する時にしか一刀である事はない。

 片手になった為に威力は一刀の時より劣る筈なのに、2刀になっても威力が落ちる事はなかった。

 ヒビが入っては直してのマルサとヒッポの攻防が続いていった。

 ずっと続くように思えた攻防の終わりは呆気ないものだった。


「ふむ。30分どころだな。実戦では及第点だね。」


「はぁ、はぁ、意外と長く持った、かな。」


 ヒッポの魔力切れによってヒビの修復が追いつかなくなって一瞬にして結界が壊れたのである。

 魔力効率もそこまで高くない初歩的な魔法でここまで持ったら普通は及第点どころではないのだが、なんだかんだ言ってもマルサの評価対象も高いのである。


「実戦で確実に活躍したいなら、もっと魔法も頑張らないと無理よ。特に攻撃魔法が苦手な男子はね。」

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