久しぶり
今回はかなり短めです。
「やぁ、ヒッポ。待ってたよ。」
首都に着いたヒッポ一行を待っていたのは、ナターハ・キングス、猛獣の妹が待っていた。
「ナターハだっけ?どうして君がここに?」
「どうしても何も此処は首都だよ。王族があるのは当然でしょう。」
ヒッポはそんな事を聞きたくて質問した訳じゃない。
首都には王族が住む城があるのだ。そんな事は聞かなくても分かりきっている。
ナターハはヒッポに名前を覚えてもらっていた事が嬉しかったのか終始笑顔だった。
「そんな事は聞いてない。なんで、ナイティー家の屋敷にいるのかを聞いているの。」
「君に一刻でも早く会いたかったからね。」
自信たっぷりな笑みを浮かべながらナターハは言った。
「はぁ……まぁ良いよ。それだけじゃないんでしょう?」
「勿論、そうだけど。君に会いたかったのも本当だよ。1番の目的は来年から同級生になる君へご挨拶をしにかな。」
ヒッポはそれを聞いてピンときた。
「君もキンガーに入学するんだね。」
「その通り、私もキンガー騎士学園に入学が決定したのだ!」
声高らかにナターハは言った。
「でも、僕はまだ入学は決まってないよ?」
「何を言っているんだい?君なら必ず通るさ!入学試験も今の君の実力を見る為のものさ!気負う必要はないよ!」
これは確かに事実ではあった。
ヒッポは知らない事だったが、学園側もヒッポが化けた事を知ってヒッポに対する試験を化け物様に変えたのである。
だから、その時点で入学は決定している様なものだった。
「ナターハ様、それは内緒にしておく筈です。」
「そうだったか?キャロル。まぁ、別に良いだろう。結果は変わるまい!」
アハハ!と笑うナターハにキャロルと呼ばれたメイドは呆れてため息を吐いていた。
「初めてまして、ヒッポ様。私はキャロル。ナターハの専属メイドです。」
自分の主人を無視してメイドは自己紹介し始めた。
「ナターハ様、今日はこれまでにして帰りましょう。」
「もうかい?」
ナターハは不満そうに言った。
まだまだヒッポと一緒に居たいらしい。
「ヒッポ様一行は長旅で疲れているのです。長居は無礼でしょう。」
「それもそうだね。それじゃあ、僕らはこの辺で帰るよ。またね、ヒッポ。」
ナターハはウィンクをしてから帰って行った。
「なんですか?あの人は?」
「サワ、あの人はこの国の王女様よ。」
サワは記憶を失っている為、ナターハの事を知らなかった。
それをサラビアは説明し出した。
「あれがあの王女の妹ですか?なんて言うか普通ですね。」
「そう言うな。あの方に比べたら大抵の王族は普通だ。」
それだけナタリー・キングスは異常なのである。
通常、王族から化け物が生まれる事はない。
それは化け物になる条件が危機に瀕していたりと大半がピンチの場面でしか起きない為である。
王位継承での醜い権力争いではそんな事にならない様にするので、王族自らが戦場に立ちでもしない限り起きないのである。
その為、王族が化けた国は長くない。と言われている。
それだけその国がピンチに追い込まれている証拠である為だ。
でも、このナイトヘブンの昔では王族も前線で戦いまくっていたので、化け物になる事もあった。
ただ、そんな事を続けていたら王族の血を継ぐ者が一人という王家存続の危機になった為、他国同様に王が前線に立つ様な事は無くなった。
そんな中、薄くなった化け物の王族の血がナタリーで覚醒したのである。
生まれながらにして化け物という異常個体が誕生した。




