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なんだこれ劇場  作者: 鰤金団
9/166

9 トップハンバーガーマウンテン

「俺、ハンバーガーのバンズになりたい」

 小さな子どもなら、将来の夢で食べ物になるという子が居るが、この発言をしたのは高校生だった。

 彼の友人は、この発言に「おいおい、マジかよ……」という反応。

 しかし、友人は優しくて、この発言を拾おうとした。

「高校生にもなって子どもかよ」

 友人にはこの返しで精一杯だった。対して彼はこう返した。

「バンズはバンズでも、上の方な」

 もう、どう拾えば良いのか、友人は分からなくなった。

 沈黙していると、彼は理由を説明し始めた。

「人生はハンバーガーなんだよ。俺達はさ、生まれたら生という包み紙の中で生きるだろ。下のバンズはそうだな、人間だな。下のバンズは生物としての土台だ」

 訳の分からない事を言い出したと思ったが、友人はどこまで行くのかと思い、そのまま耳を傾ける事にした。

「次に自分の方向性だな。これはマヨやケチャップみたいなソース系に例えるだろ。次はレタスか。これは学習だな。学ぶっていう行為だ。次にハンバーグは自身を支える学んだものだな。薄いよりも厚みがある方が良いだろ。しっかりずっしりしていると、それだけ安定するからな。そこからトッピングでチーズとかの色んな物が雑学やら技術だなそれらを積み上げて、高いハンバーガーの一番上に来るのは何だと思う? そう、押さえる上バンズだ」

 どや顔の彼の説明を自分なりに、好意的に噛み砕こうと頑張る友人。

「中身がたくさんある方が人生は有利だから、そうなりたいって事か?」

 色々と試行錯誤した結果の解釈が合っているか確認する友人。

「ああ。それに、厚みがあれば、色んな味を楽しめる。どんな場面にも対応出来るスーパー人間になれるって訳だ」

「スーパー人間って、めちゃくちゃださいな。この時点でお前のバーガー、薄くないか?」

「俺はまだレタスの段階だぜ。ありとあらゆるソースを塗り終えて、学んでいる途中だ」

「そうか。まあ、タワーみたいなハンバーガーに成れると良いな」

 話を終わらせるには丁度良いだろうと、友人はそう言って会話を終わらせた。

「おいおい、ハンバーガーの話してたのかぁ~?」

 席を外していたもう一人の友人が戻って来た。

「ああ、してたぞ。ハンバーガーは人生だってな」

「そんなにハンバーガーが好きだとは知らなかったぞ。そうだ、帰りにここ行かない? 新しく出来たバーガー屋なんだ」

 もう一人の友人は、自分のスマホの画面を二人に向けた。

 お目当ての店のバーガーは、絶対に一口に収まりきらない高さの商品を売りにしていた。

 商品は、高すぎるバーガーなら約束と言って良い刺してバランスを取るタイプだった。

「う、うわぁぁぁ」

 写真を見た途端、ハンバーガーになる事を夢見ていた彼が叫び出した。

 どうしたのかと思い、友人は尋ねた。すると、彼は悔しそうに言った。

「どれだけ積み重ねても、突き抜けた奴には敵わねぇ……」

 友人は、心配してこれほど損したと感じる事は無いと思った。

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