52 川流れ
むかーし、むかし。
ある所に、おじいさんとおばあさん達が流れていました。
そこに一人の女の子がやって来ました。
「おじいさんとおばあさん達は何をしているの?」
女の子が訊ねた二人は、既に遠くに流れています。ですが、流れた先から順を追って返事の伝言ゲームが始まりました。
「流れているんだよ。河童だからね」
その答えを聞いた女の子は納得しました。
(ああ、だから体が緑なのね)
女の子は帰って行きました。
翌日。女の子はきゅうりを持って、またやって来ました。
「おじいさんとおばあさん達、きゅうりは食べる?」
女の子が訊ねた二人は既に見えなくなっていましたが、逆登りのように返事が返ってきました。
「ありがとう。でも、味噌が欲しいな」
それを聞いた女の子は頷きました。
(味噌。やっぱりきゅうりには味噌なのね)
女の子は来た道を戻っていきました。
その翌日。女の子は味噌を持ってやって来ました。
「おじいさんとおばあさん達。味噌だよ」
声をかけた二人は豆粒のように小さくなるほどに流れの先へと行っていました。
そこから流れにあらがうように返事が彼女の元へとやって来た。
「このお礼は必ずするからね」
味噌を受け取った二人は、その重さで沈まないように頑張りつつ、味噌を受け取りました。
そして女の子は、自身が経営しているメゾンドリバーの201号室に帰っていきました。
翌朝、彼女の部屋の前には大量のきゅうりと味噌が。
最初は味噌を付けて食べていた女の子も、流石に限界です。
(そうだ。味噌漬け。きゅうりには味噌漬けだわ)
閃いた女の子。
これは彼女が長者様になる、その始まりの物語。