46 星降る日
「あー、今日はあっちいなぁ」
岩清水は、水を飲んでも扇いでも熱くてたまらないと友人に愚痴った。
「夏だけど、それにしても暑過ぎだよな。アイスなんて冷凍庫から出した瞬間から溶けるんじゃね?」
「温いアイス汁とか勘弁だわ」
そんな会話をしている所に、暑くても元気にやって来た人が一人。
「お、おい。ニュース聞いたか!?」
「いや、何にも。というか、よくもこんな暑い日に全力疾走してきたな。汗で倒れるんじゃないか?」
温いを通り越して、グツグツ聞こえてきそうな水を差し出す岩清水。
「いや、水飲むどころの話じゃないって」
先ほどは元気にと表現したが、彼は大慌てだった。
「自分が倒れかねないっていうのに、どんな話を聞いたんだ?」
友人が彼に尋ねた。
「星だよ、星。降ってるんだよ」
「天体ショーって事か? そんなに星好きだったっけ?」
場に居る全員が星に興味がある人間じゃないよなと、岩清水。
「この星が今、どっかの星の重力に引っ張られて、燃えてる最中なんだよ」
「ああ、なるほどなー。そりゃあ、暑い訳だ」
「この星の星常装置が機能してなかったら、俺達死んでたな」
岩清水と友人は笑いあった。一人、この情報を持ってきた彼だけが笑っていなかった。
能天気な二人に呆れたのか、彼は真顔で言った。
「後何分かで、消滅するんだよ。この星……」
「「えっ!?」」
岩清水達は同時に聞き返した。
その瞬間、オートメーション化され、人間達が危機に関する危険性の認知が乏しくなった超高度文明の星が消えた。