表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんだこれ劇場  作者: 鰤金団
33/166

30  いせき調査

 新たな遺跡が発掘され、私こと岩清水をリーダーに調査隊が結成された。

 準備万端で我々は遺跡に入った。

「博士。中に入ってみましたが、ここは掘られたというよりも、筒状の何かの中に居るみたいですね」

 私は、とても優秀は博士に同行を依頼し、参加してもらった。

 彼は、自身の目で見て、触れてみるとそれが何か分かるというほど材質に詳しい人物だった。

「そうだね。骨だね」

「ほ、骨ですか? すると私達は今、人が入れるくらいの巨大な生物の骨の中に入っているという事ですか。いやあ、そんな生物がかつて存在していただなんて、驚きだぁ」

 クジラの骨よりも大きくて太いだなんて、どんな姿をしていたのかも想像出来なかった。

 更に調査を進めていくと、更に広い広場に出た。そこには、巨大な岩がごろごろと転がっていた。

「博士、これは何でしょう?」

 博士が撫でて感触を確かめる。

「そうだね。胆石だね」

「た、胆石ですか!? という事は、ここは肝臓があった場所という事ですね」

 大人四人でやっと周囲を囲めるほどの大きさに、百八十センチ以上の大きさの胆石とは……。

 よほど肝臓の機能が悪い生き物だったのか。恐らく、巨大すぎて内臓などの機能が追い付けなくなっていたのだろう。が、生物には必ずつがいとなる相手が存在するもの。

 この時代に生きていたこの生き物が何体もこの辺りを歩いていたと想像すると、昔見たアニメ映画の一場面を彷彿とさせる。

 更にこの広場を調査していくと、また石が転がっていた。これは先程の胆石よりも小さく、数が多かった。

「博士。この石の確認をお願いします」

 中には手で持ち運べるほどの大きさの物があり、私は博士に手渡した。

 見て、撫でて、手の平で転がして確認する博士。

「そうだね。胃石だね」

「胃石? 歯を持たない生物の消化を助けるあれですか? という事は、この生物は歯が無かったという訳ですか」

 つまりは、スナック菓子を口の中に放り込むような感じで食事をしていたという事だろう。

 雑食性だったのか。この巨体だ。一食の食事量も相当だろう。

 今も存在していたら、地球は禿げていた違いない。

 そう考えると、淘汰されて良かったとも思う。

 そのような事を考えながら調査をしていくと、湧き水だろうか。湖のような場所を見つけた。

「これは一体?」

 いきなり触るのは危険なので、手近にあった胃石を投げた。

 ジュッという音と共に消える胃石。

「は、博士。これは硫酸でしょうか?」

 確認を求めるため、博士に調査を依頼した。

 博士は、臆さず手を伸ばした。

「え、ちょ、博士!?」

 伸ばしたから溶けていく博士。

「そうだね。胃酸だね」

 それが博士の最後の言葉だった。

 私達はこの惨事が原因で撤退する事となった。

 世界有数の知識と鑑定力を持っていた博士を失った事で、私は世界中からバッシングされ、リーダーの席を奪われた。そして、調査隊のメンバーからも外されてしまった。

 以降、世間に遺跡の情報が出る事は無かった。

 遥か古代の胃酸が残るあの地で、何が起こったのだろうか。

 もう私には知る術も無い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ