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なんだこれ劇場  作者: 鰤金団
25/166

23 ネギス 巻

 茶色く伸びたヘアーを靡かせ、くすんだ白い肌の年寄りが今日も行く。

 彼の名前はネギス 巻。

「ネギスさん、こんにちは」

「今日も散歩かい? ネギスさん」

 彼が歩けば、人が声をかける。

 地域の有名人。その顔の広さは市議会議員にまで広がるという。それがネギス 巻。

 そんな彼がある時、誘拐された。

 人通りの少ない道を歩いていると、黒塗りのワゴンが彼の前で止まり、四人であっという間にネギスを簀巻きにし、連れ去ってしまった。



「さてと、どこから攻めていくか?」

 市議の事務所の電話番号を見ながら、主犯の男が言った。

「ちまちま行くよりも、大物からがっぽり貰おうぜ」

「いやいや。ちりつもだろ。全部行くべきだろ」

 莫大な利益を想像し、犯人達は浮かれていた。

 が、悪事がそう長く続く訳が無い。

「お前達、私を誘拐した事を後悔するが良い!!」

 威勢の良い声に犯人達が振り返ると、簀巻きが潰れ、その隣には若い男が居た。

「だ、誰だ!? お前は!!」

 主犯が問う。

「誰だだって? 私の名前はネギス 巻。お前達が攫った者だ」

 そう言って簀巻きを投げつけるネギス。

「なんかしなびた皮みたいのしか残ってないぞ。しかも、なんか中が滑ってる。きもちわりぃ」

「ネギスは年寄りのはずだ。ありえねぇ」

「一皮向ければスッキリはつらつ。それがこの私、ネギス 巻なのさ」

 鮮やかに輝く緑の頭髪に、煌めくパールホワイトな肌。

「かまわねぇ。やっちまえ!!」

 主犯が指示を出すと、仲間がネギスに襲い掛かった。

 しかし、立派に硬いボディで悪人共はなぎ倒された。

「さあ、残るはお前だけだ」

「こ、こなくそぉぉぉ」

 やけっぱちになった主犯。しかし、高く飛びあがり、くるっと一回転して主犯の男に体当たりしたネギスの攻撃により、あっさりのびてしまった。

 こうして地域の悪党を対峙したネギスは、犯人達を警察に突き出した。

 そう、彼は一皮剥ければ若さと力を取り戻すネギ人間だった。

 今日もネギスは行く。地域の平和のために。

 行け、ネギス 巻。皮を剥く必要が無くなるその時まで!!

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