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なんだこれ劇場  作者: 鰤金団
155/166

149 タイムリミットヒーロー

「怪獣だー。巨大怪獣が現れたぞー」

 人々が叫び、逃げ惑う。

 そんな時は俺の出番だ。懐に忍ばせた真空加工で温度の変わらない水筒の蓋を外し、変身アイテムのインスタイマーにお湯を注ぐ。蓋をすれば変身完了だ。

 巨大化し、巨人の姿で戦うこの姿の時の名前はタイマーメン。俺は正義の味方タイマーメンなのだ。



「ふぅ、今日も怪獣退治終了っと」

 必殺技で怪獣に遥かな眠りの旅を捧げた所で、活動限界がやって来て、俺は本来の姿である岩清水に戻る。

 変身アイテムのインスタイマーは、お湯を注ぎ、蓋をしてから三分間の間だけタイマーメンになれるという仕様だ。

 インスタイマーのおかげで、俺は何度も世界の平和を救ってきた。けれど、最近思うんだ。

(敵、強くなってね?)

 最初はピンチにならずに倒せていたけれど、最近は時間ギリギリだ。

 俺はヒリヒリした場面は好きじゃない。それに、もしも時間内で倒せなかったらと思うと胃に穴が開きそうだ。

 この世界には、怪獣退治に特化した国の組織なんて無い。だから余計に俺に世界平和が圧し掛かっていた。



 ある日、俺の悩みを解決するヒントをテレビから得た。

 その手が在ったかと、膝を叩くほどの衝撃だった。

 丁度良く、怪獣も出現し、これは試す時だと、俺は変身を試みた。

 すると、変身が出来た。

(ふう、かなりの強敵だったが、倒せたぞっ)

 戦い済んで、ホッと一息。時間で言えば五分は戦っていただろう。

 そう、三分の壁を超える強敵だったんだ。

(さて、これからどうしようか)

 今までの活動限界を越えた事、閃きに有効であった事は嬉しいけれど、この後の事は考えていなかった。

 色々試した結果、俺は新たな事実を発見した。

 インスタイマーは途中で変身を解除する事は出来ない。

 そう、時間が来るまで、タイマーメンの姿のままなのだ。

 集まってくる人々。足元にはわらわらと人が集まり、取材だ、インタビューだと言っている。

 俺は困り果てていた。

 だって、まだ十分しか経っていない。

 水を入れて作るカップ麺は三十分で出来るらしい。俺もそれに倣って水を入れてみた。

 後二十分をどう過ごせば良いのか。

 夕日に照らされ、気まずく途方に暮れた俺は天を仰いだ。

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