129 まめのき
とある星に空から丸い物体が落ちてきた。
衝突の衝撃で舞った土煙が納まると、その物体が開いた。
「ほぉ、良さそうな星じゃないか」
「へ、そうだな」
男が二人、物体の中から出てきた。
彼らは生命のある星に降りては力で手に入れる侵略者だった。
「ムッ、待て。気配があるぞ。……近いな」
「微かにだが、十って所だな」
彼らは周囲を目視する。しかし、姿は見えない。
「こちらに気付いていないのか? 豆粒みたいに小さいな。それに、動きが無いぞ」
「豆粒みたいに気配が弱いだけあって、震えているんじゃないか?」
「ふっ。ならば更に震え上がらせてやろうじゃないかっ!!」
そう言った男は、気配がする十の場所に両手を向けた。
すると、手を向けた場所がドンドンと硬いものがぶつかったかのような音と共に窪んだ。
彼らは目に見えないものを発射する不思議な技を身に付けていた種族だった。
「……消えた、な」
「挨拶してやったというのに、消えたな。その程度か」
罪悪感など全くなく、彼らは笑った。
「!? いや待て。増えたぞ」
「じゅ……。いや、百……。千!? まだ増えていくぞ」
今まで感じていなかった気配を一気に感じ取る二人。
「くっ。手伝え。殲滅させる」
「応よ」
二人はそう言って先程の攻撃を繰り返した。しかし、気配はどんどん増えていく。
「な、何だ、この星は。気色が悪い。引き上げるぞ」
「ああ、そうだな」
二人は急いで物体の中に入り、飛び去った。
この後、逃げ帰った彼らの情報により、立ち入り禁止の星となった。
それから数週間後。大地に至る所に小さな木が生えた。
更に数日経つと、その木から小さな粒が勢い良く発射された。
この星の主である豆達の誕生の瞬間だった。