129/166
123 フライハイ
「ひゃっほぉぉぉう」
俺は叫んだ。今、全てから解放され、自由に飛び回っているからだ。
今まで何をうじうじしていたのだろう。
引け目なんて感じる必要は無かったんだ。
さっきまでのモジモジしていた自分に言ってやりたい。
「たった一つあれば良い」
それが何を指すのか。それは自由に飛び回るこの自慢の羽さ。
この高速で動く羽が、俺の体を浮かせてくれる。このイカした音が俺を前へと突き進ませる。
「付いて来いよ、俺がいつでも先に居る」
上の方で随分遠くで浮かんでいる光の粒に声をかける。
聞こえなくたって良いさ。俺の飛ぶ様を見て感じてくれれば良い。
今夜、羽を手に入れた俺は止まらない。
限界なんて無いからさ。
視界に入る邪魔っけなものを横切り、突き進む。
一際大きい青い光を見つけ、俺はドンドン近付いていく。
とても魅力的なその輝きを手に入れたいと思ったから。
あの青い光が見えたその時から、俺の鼓動が激しさを増した。
「待ってろよ、俺の光!!」
光に飛び込んだ瞬間、衝撃と大きな音が鳴った。
「ママ~。今、ハエがバチッて言って落ちたー」