114 ネタなら俺の横で寝てる
私はスマホに送られてきた画像を見て怒りに震えた。
あいつは、私が苦しんでいる間にお楽しみしていやがった。
許せない。自分との戦い? 戦っている間に別の闘いおっぱじめてるんじゃねーよ。
あいつはあれこれ私があたまをこねくり回している時に、別のをこねくり回してやがったって事じゃねーか。
怒り心頭で私はあいつに怒鳴り込んだ。
「私の隣りに居ないで、何やってんのよ!!」
そうしたら、あいつ、ベッドの上で一戦交えた後みたいな気だるさを出しながら私に言った。
「おっそいじゃねーか」
私とこいつの付き合いは長い。口調だって似てくる。
「あんたが居ないせいで、私がどれだけ苦労したと思ってるのよ」
「おいおい、勘違いするなよ。お前がトロトロしてたせいだろ。俺は何時だって、頑張るお前に寄り添っていたじゃねーか」
最初に手を離したのは私だとでも言いたげな口振り。それがとっても腹立たしい。
もう我慢が出来ない。私は、こいつの隣で起き上がりもしない奴の顔を見る事にした。
「何時まで寝てんのよ」
「あ、おい、待てよ」
言葉だけの制止なんて意味が無い。シーツを巡り上げ、その乱れた姿を嘲笑ってやる。
そう、こいつの隣りに居た奴の姿を認識するまではそう思っていた。
私は、驚いて掴み上げていたシーツを落としていた。
「あ、あんた、何やってるのよ!!」
ベッド上の二人を交互に見て、私は言った。
するとこいつは言った。
「遅すぎだよ。寝かせ過ぎたんだ、お前はよ」
こいつの言葉に、私は動揺していた。
「く、腐ってるじゃない!!」
――とある喫茶店にて
「どうですかね。次はこんな物語で」
会心の出来だと、担当さんに感想を求めた。
担当さんは、自身のこめかみを数回人差し指でトントンした後に言った。
「岩清水さん。これは異常性愛って事?」
「違いますよ。主人公の私が無気力状態になっている間に、私のやる気がネタと寝てたんです。どうです、このドロドロ展開」
「えーっとね。うん。君、病んでるね」
担当さんはそう言うと、原稿を私に戻した。ボツだった。