12 じの無い物語
「今日の仕事の成果をもってこい」
「はい」
「ああ? たったこれっぽっちか。捨て子のお前を育てるには、日にこれの十倍はいるんだよ。俺が楽をするには十五倍だ。全く足りねぇ。さっさと、稼いで来い」
「……」
「返事が聞こえないぞ。お前らはなぁ、俺達の言う事に『はい』とだけ言って従えば良いんだ。分かったか?」
「はい……」
「ならさっさと行け。ったく、何でも良いからもっと稼いで来いよな。ん? 外が騒がしいな。うわっ」
「俺は正義の味方。捨て子を集め、悪事を強制する貴様らを倒しに来た。覚悟しろっ!!」
「舐めた奴だな。おい、集まれ。袋にするぞぉっ!! おい、どうした。何故誰も出て来ない!?」
「フハハハハ。貴様の仲間は全て袋に詰めておいたぞ。さあ、覚悟しろっ!!」
「こいつ……強い!? うわぁ。ぎゃぁぁぁぁ」
「手足を封じれば、逃げる事も出来まい。この後は、牢屋で自身の罪と向き合うんだな」
「子ども達。私が君達に悪事を強制していた者達を捕まえた。君達はこれから、この町の孤児院で新しい日々を送るんだ」
「はい」
「よーし。それじゃあ、子ども達。立派な大人になって、幸せに暮らすんだよ」
「はい」