表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんだこれ劇場  作者: 鰤金団
119/166

113 飯は出来ているか?

 一月ぶりに男が帰ってきた。

 家の戸を開け、出迎える妻に男は言った。

「飯は出来ているか?」

 妻は言う。

「はい、出来ています」

「そうか」

 男は、唯一の荷物を妻に手渡した。

「湯の準備も出来ています」

 荷物を受け取った妻の知らせに、男は頷いた。

 風呂場へ向かい、男は烏の行水のように手早く身を清めた。

 何せ、飯が待っている。待つ訳にも、待たせる訳にもいかないのだ。

 身綺麗になった男が浴室を出ると、先ほど手渡した荷物と妻が出迎えた。

「では、行こうか」

「はい」

 男の言葉に妻は頷き、共に並んで広間に向かった。

 広間には、親戚一同が集まり、談笑していたが、二人の姿を見るとシンと静まり返った。

 二人は、それぞれに荷物を分け、左右からそれを親戚一同に配っていく。

 不備無く配り終えると、二人は自分達の席へと向かい、皆に言った。

「皆が集い、囲う今日この日。皆が家族と、食を共にし、絆としましょう。いただきます」

 言葉と共に、自身が持ってきた物を掲げる男。

 それに続き、皆が掲げ、口を揃えて言う。

「いただきます」

 そして始まる食事会。

 これは、とある地域に住まう箸職人が夫婦となった時に行われる行事。

 箸渡しとも、家族箸とも呼ばれるこの儀式は、両家の親族を集め、皆に箸を配り、同じ食事を食べる事で絆を結ぶとされる、箸職人伝統の行事である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ