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11 個から個へ
「では、始めます」
始まりはたった一つです。
もう守り続ける必要はありません。
硬い殻を割り、柔軟で柔らかな個を取り戻しましょう。
解放されてもなお、個を守る柔らかなものに守られていた事に気付くでしょう。
さあ、自分と自分を守っていたものとを一つにする時です。
柔らかなものに包まれていたものから中身が出てきましたね。
そう、本当はどのような隙間にだって入り込めるくらいに個とは自在なのです。
さあ、混ざり合うのです。過程で幾つもに別れたとしても大丈夫。元は一つです。
真に一つになったら、次は自身を取り戻すための情熱を取り戻しましょう。
ここからが大事です。この柔軟性を残すのか。それとも我が道を行く硬い意志を手に入れるのか。
最後に、情熱で身を焦がさないように気を付けましょう。
決めた道を進み始めたら戻る事は出来ません。
燃え尽きては動く事すらままならないのですから。
さあ、自身の形を決めたら、外へと飛び出しましょう。
「以上、玉子から玉子焼きへ」
表現の授業でこれを発表した石清水は、この日から教祖と呼ばれるようになった。