99 実は魔王の幹部だった俺の母さんが実は姉だった上に義姉で一緒に暮らしてる
「という展開はなかったりしない? 母さん」
「無い。タイトルだけで終わらせるような事言うんじゃありません」
ここはメタ空間。どのようなメタ発言も起こりえるメタな空間です。
母親は息子の突拍子も無い発言を否定していましたが、内心ではドッキドキでした。
(い、言えない。実はあなたの母さんは元魔王で男だったけれど、勇者に倒された時の呪いのせいで女に体が変わってあなたを生んだ後に、転生したら何故か姉ポジションになっていたけれど、元の体に戻ろうとして時の魔法を使った結果、体が更に幼くなって時系列的に妹になっているのだけれど、魔法の力で姉に見せているだなんて。口が裂けても言えない)
「そう言えばさ、父さんって会った事無いけど、どうしたの? ペコも知りたいよな?」
ペコとは、この家で飼っている息子が生まれた時には既に居たペットだった。
(い、言えない。世界が平和になった後に、周囲の視線に耐え兼ねて人の姿をいったん捨てようとして形態変化の魔法を使った結果、解呪の呪文を唱えられなくなって、そのままの姿で雨に濡れていた所を助けた私と出会い、一日の過ちであなたが生まれたという事だけは絶対に言えない)
「だ、だから何時も言っているでしょ。ペコがあなたのお父さんだって」
「いやいや、それ聞き飽きてるし。人と動物とかメタ的にも無理あるでしょ。遺伝子違うし」
(言えない。あなたはそう言うけれど、元魔王と勇者の子なのよと。それに、ペコの野性的な逞しさが種族を越えたという事も……)
人知れず、ポッと頬を赤く染める母親。
「そもそもなんだけどさ」
「ど、どうしたの?」
「この話の展開とオチはどうするつもりなの? 原稿用紙一枚にも満たない状態でグダッてるんだけど。もうこれ、完全に尺か――」
「それ以上は止めなさい!!」
ここはメタ空間。メタなら何を言ってもOKだと思われがちですが、タイトルだけの一発ネタでは流石にどうしようも無かったようです。